ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

自衛隊

「唐突感は否めない」(佐賀新聞)、オスプレイ受け入れ佐賀県知事が表明

陸上自衛隊が導入する米国製の輸送機V22オスプレイの佐賀空港配備計画について、佐賀県の山口祥義知事が8月24日会見し、受け入れを表明しました。会見に先立ち同日、小野寺五典防衛相と会談し、国が20年間で100億円の使用料を支払い、県がこれを…

「暴言3佐、懲戒せず」に抱く危惧

防衛省の統合幕僚幹部に所属する3等空佐が4月16日夜、東京・永田町の参院議員会館付近で小西洋之参院議員に暴言を吐いた問題で、防衛省が5月8日、最終報告を公表し、3佐を訓戒としたことを明らかにしました。訓戒は内規に基づく措置で、自衛隊法が定…

安倍晋三首相の悲願「9条改憲」に民意は冷ややか

ことしも5月3日の憲法記念日を迎えました。安倍晋三首相は昨年のこの日、読売新聞の紙面に掲載されたインタビューや、改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで、憲法9条の現行条文はそのままに、自衛隊の明記を加える改憲案を唐突に掲げました。その後、…

続・議論と理解が進んでいない憲法9条改正と自衛隊~世論調査結果から

前回の記事の続きになります。 1月20、21日実施の世論調査結果3件が報じられています。憲法9条の改正問題では、朝日新聞が「安倍政権のもとで」を前提に、自衛隊の存在を明記する改正の賛否を問うたところ、賛成34%に対し反対は46%と12ポイン…

マスメディアに「準有事」の自覚あるか~北朝鮮ミサイル報道巡るいくつかの懸念

北朝鮮が8月29日早朝、弾道ミサイル1発を発射しました。 備忘として書きとめておくと、午前5時58分に発射され、北海道・襟裳岬付近の上を高度約550キロで通過して、襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に午前6時12分に落下したと伝えられていま…

稲田防衛相がPKO日報の組織的隠蔽を了承~本人否定、しかし各紙の取材結果はそろいつつある

陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報が廃棄したとされながら、その後、陸自内で保管されていたことが明らかになる問題がありました。この問題を巡って、稲田朋美防衛相が2月に、保管の事実を非公表とする方針を防衛省幹部から伝え…

居座る稲田朋美防衛相~「誤解」34回、「緊張感」16回、理解も納得もできない釈明

一つ前の稲田朋美防衛大臣の「自衛隊としてもお願い」発言に関する投稿「防衛相の資質問われる『自衛隊としてお願い』発言」の続きです。 稲田氏が特定の都議候補の名を挙げて「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と述べたことに対しては…

防衛相の資質問われる「自衛隊としてお願い」発言

稲田朋美防衛相が6月27日夜、東京都議選の自民党候補の集会で応援演説に立ち「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言しました。自衛隊員の政治的行為の制限を定めた自衛隊法を持ち出すまでもなく、自衛隊や防衛省を自民党の候補支…

世論の理解や支持を十分に得ているとは言い難い自衛隊の「駆け付け警護」―朝日調査では「反対」56%

朝日新聞社が11月19、20日に実施した世論調査の結果が報じられています。 安全保障関連法によって可能になった自衛隊PKO派遣部隊の「駆け付け警護」任務について、段階を追って質問を進める方式を取っているのが目に付きました。安倍晋三政権は11…

自衛隊「駆け付け警護」で報道制限の恐れはないか―イラク派遣時を忘れない

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣される陸上自衛隊部隊に対し、安全保障関連法に基づき「駆け付け警護」任務を付与することを安倍晋三政権が11月15日、閣議決定しました。交代部隊として派遣される青森市の第5連隊の部隊に稲田朋美防衛相…

安倍政権が沖縄で海保、警察、自衛隊にやらせていること〜所信表明演説の拍手劇の何が問題か

臨時国会が開会した9月26日、安倍晋三首相の衆院本会議での所信表明演説中に、何とも奇異な光景が出現しました。安倍首相が演説の中で海上保安庁、警察、自衛隊をたたえて壇上で拍手。呼応して自民党議員たちが一斉に立ち上がって手をたたき続けたとのこ…

「駆け付け警護、反対48%」毎日新聞世論調査(備忘) 

毎日新聞が9月3、4両日に実施した世論調査結果が報じられています。 備忘を兼ねて、主な項目を書きとめておきます。・内閣支持率 支持46%(前回比1ポイント減) 不支持35%(同1ポイント増) 「関心がない」16%(±ゼロ) ・安倍首相とロシア・…

「説明不十分」「議論尽くさず」が圧倒するも安倍晋三内閣支持率なお35―40%台〜安保法制成立後の世論調査

集団的自衛権の行使容認などを含む新たな安全保障法制の成立を受けて、マスメディア各社が9月19、20日に実施した世論調査の結果が報じられています。手元の紙面やネットで確認できるデータを項目ごとにまとめてみました。後掲しますが、特徴的な点は以…

民意の支持を欠いた安保法制は発動されていいのか

このブログ記事を書きながら、日付は9月18日から19日に変わりました。参院では、安全保障関連法案を本会議で可決させて成立させようとする自民、公明両党に対し、民主、共産、社民、生活の野党各党の抵抗が続きました。今夜も国会前には多くの方が集ま…

海自ヘリ搭載護衛艦「かが」と旧日本海軍の空母「加賀」

海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦の進水式が27日、横浜市で行われ、「かが」と命名したと報じられています。護衛艦とは言っても、艦首から艦尾まで平らな飛行甲板を備えており、見かけの形状は空母(航空母艦)のようで、いわゆるヘリ空母と呼んでいい…

読売、日経も安倍内閣「不支持」が「支持」上回る〜誘導質問にも「安保法案反対」過半数

読売新聞社と日経新聞社・テレビ東京がこの週末の7月24〜26日に実施した世論調査で、いずれも安倍晋三内閣の支持率は不支持が支持を上回り、逆転しました。とはいえ支持率は読売新聞は43%で「40%」の底は維持。日経も38%で「3分の1」は上回…

安保法案「今国会中の成立確実」と報じていいのか〜安倍内閣支持「40%」底割れ ※追記:共同、毎日、朝日に加え、産経・FNN、ANN調査も「支持」30%台

安全保障関連法案が16日に衆院で可決後に共同通信社、毎日新聞社、朝日新聞社が実施した世論調査で、安倍晋三内閣の支持率がいずれも下がり、不支持率が上回る結果が出ています。まとめると以下の通りです。カッコ内は前回調査からの変動です。 ▼共同通信 …

朝日新聞、NHKも逆転、安倍内閣「不支持」が上回る〜それでも安保法案の採決に突き進むのか(差し替え)

※7月14日未明に記事をアップした後、NHKの世論調査結果も報じられていたことを知りました。追記の形ではなく、差し替えとして、改題して再アップすることとしました。 前回の記事(「仮説:安倍政権『支持』が減っているというより『積極不支持』が増…

朝日新聞7月調査も「不支持」が「支持」上回り逆転〜それでも安倍政権は安保法案の採決を強行するのか

※この記事をアップした後に、NHKの世論調査でも「支持」「不支持」が逆転したことを知りました。追記ではなく、全面差し替えをアップしました。 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20150714/1436826291 前回の記事(「仮説:安倍政権『支持』が減ってい…

仮説:安倍政権「支持」が減っているというより「積極不支持」が増えている ※追記・NNN調査も「支持」「不支持」逆転

6月下旬以降、マスメディア各社の世論調査結果が相次いで報じられました。安倍晋三内閣の支持率がそろって低下しています。また国会で審議中の安全保障関連法案に対して、大勢は反対が賛成を上回っています。 調査結果のうち、内閣支持率を並べてみます。カ…

政権支持派は主張控え目か〜安保法制国会審議の各紙社説

今週末の28日に、東京で労働組合のセミナーにお招きいただき、講演をさせていただくことになりました。今までと同じように「表現の自由」を軸にして、わたしたちの社会は今、どんな局面にあるのか、これからどんなことが起こるのかなどを話そうと考え、準…

「戦場に立つことになる自衛官」を伝える新聞、伝えない新聞〜安保法制閣議決定の在京紙報道の記録

安倍晋三政権は5月14日の臨時閣議で、自衛隊の活動をめぐり、集団的自衛権の行使容認やPKO活動中の駆けつけ警護、他国軍への弾薬の供与など、従来は憲法9条によって「できない」とされていた分野へ拡大する内容の関連法案を閣議決定しました。※「安保…

日米間の軍事協力拡大の報道2極化〜在京紙の紙面の記録

4月末に日米間の軍事協力関係をめぐって大きなニュースが続きました。日米両政府は27日、外務・防衛担当閣僚による協議で、日米防衛協力の新たな指針を決定しました。翌28日には安倍晋三首相とオバマ米大統領が会談しました。※「日米、地球規模へ協力拡…

再び「2つの『3月20日』」

3月20日はオウム真理教による「地下鉄サリン事件」から20年の日でした。1995年のこの日の朝、東京の営団地下鉄(現東京メトロ)3線の車内で猛毒のサリンがまかれ、地下鉄職員や通勤客ら13人が死亡し、6千人以上が重軽症となりました。東京都内…

民間船と船員の戦争犠牲の歴史〜毎日新聞「民間船員も戦地に」に感じたこと

8月になりました。6日、9日の広島、長崎の原爆の日、15日の終戦の日を控えて例年この時期、新聞各紙には戦争と平和に関連した記事が目につくようになります。8月に顕著な傾向であることに対して、時に「8月ジャーナリズム」などの揶揄もありますが、…

集団的自衛権容認を閣議決定、在京各紙の報道の記録〜朝日「9条崩す解釈改憲」、産経「『積極的平和』へ大転換」

政府は7月1日の臨時閣議で、いわゆる集団的自衛権の行使を容認することを決めました。5月15日に安倍晋三首相が憲法解釈を変更する方針を自ら表明して1カ月半。批判や異論が根強い中での強行と、わたしの目には映ります。 ※47news=共同通信「集団的…

戦争許容社会と表現の自由、知る権利〜福岡県歯科保険医協会の市民公開講演会で話したこと

5月24日の土曜日、福岡県歯科保険医協会のお招きを受け、協会の第37回定期総会に続いて福岡市内のホテルで開かれた市民公開講演会で講演をさせていただきました。昨年11月、全国保険医団体連合会(全国保団連)の機関紙誌交流会でお話をさせていただ…

地方紙はやはり反対、批判が圧倒〜安倍首相の憲法解釈変更表明の報道

安倍晋三首相が15日、集団的自衛権の行使容認へ向けて、憲法解釈を変更する方針を表明しました。第2次大戦後の日本社会が大きく変質しかねない分岐点に来ていると感じます。 「首相、憲法解釈変更の検討指示 集団的自衛権を限定容認」(47news=共同通…

海自の隠蔽体質を批判した東京高裁判決が確定〜護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺訴訟

以前の記事で取り上げた海上自衛隊護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺訴訟は、上司らの責任や海自による文書隠しを認め、約7300万円の支払いを命令した東京高裁判決が8日午前零時をもって確定しました。海自は、文書隠しを内部告発した3等海佐を処分しない…

護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺訴訟と秘密保護法

海上自衛隊の護衛艦たちかぜ乗組員だった21歳の1等海士が2004年10月に自殺し、遺族が「先輩のいじめが原因だった」として、国と先輩の元隊員に賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は4月23日、いじめを苦に自殺する恐れがあることを上官らが予…