ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

オバマ大統領に笑みはなかった

 本命不在と言われていたことしのノーベル平和賞の受賞者がオバマ米大統領と聞いて、少なからず驚きました。「核廃絶」の志向を国際的な潮流に育てたことを「功績」と評価してのことでしょうか。しかし、核廃絶そのものはスタート地点に着いたばかりです。そういう意味では実績はありません。一方でアフガニスタンへの米軍増派を辞さずとの方針もあり、正直なところ個人的には受賞決定に違和感がないわけではありません。
 日本では日付が変わって10日未明、授賞決定に対してホワイトハウスで声明を読み上げるオバマ氏の姿をテレビを見ながら、オバマ氏の顔に最後まで笑みがなかったことが、この授賞の意味をもっとも象徴しているように感じました。「核廃絶」を主導し先頭に立とうとしているオバマ氏に追い風を贈ろうという判断だとしても、オバマ氏にとっては妥協や後戻りが許されない、追い込まれる立場になることを意味するのでしょう。
 そんなことを考えながらテレビを見ていて、選考過程を知りたいと強く思いました。同じように考えている人も多いでしょう。マスメディアの報道がその疑問に答えることを期待したいと思います。