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ひとこと:朝日新聞と中日新聞が提携合意

 朝日新聞社名古屋市に本社を置く中日新聞社が14日、新聞印刷を相互に委託しあうことで基本合意したことを発表しました。2011年春をめどに「朝日新聞社北陸地方で発行する本紙の印刷を中日新聞社金沢市内の工場に委託、中日新聞社は主に首都圏で発行している東京新聞朝夕刊の印刷の一部を朝日新聞社系列の川崎市内の工場に委託する計画」(朝日新聞記事を引用)とのことです。
 朝日新聞サイト「朝日新聞中日新聞が相互委託印刷で提携」
 http://www.asahi.com/business/update/1014/TKY200910140237.html
 朝日の記事によれば「両社は北陸や首都圏を中心とした新聞の共同輸送や販売協力などについても検討する」とのことです。
 既に2007年10月に朝日、日経、読売の3紙が頭文字を取って「ANY」とも呼ばれる相互提携に乗り出し、その後も大手紙と地方紙の提携や、毎日新聞産経新聞の提携の動きなどが続いている中で、中京圏を中心に強固な経営基盤を持つ中日新聞社朝日新聞社を提携のパートナーにしたことは、新聞産業内では大きなニュースだと思います。
 産業として先行きが暗い新聞社の経営上の努力として、他社との提携は印刷にとどまらず、やがては販売面でもあちこちで進むと思います。収益を確保するめどが立たない以上、経費削減に努めるしかないことは理解できますが、仮にリストラが免れないとしても、印刷にせよ販売にせよ、そこで働き新聞発行を支えてきた人たちの働く者としての権利が侵害されることのないよう、経営者たちは軟着陸に努めるべきだと思います。

※参考過去エントリー
「今はコストカットしかない新聞経営〜産経新聞が九州地区の印刷を毎日新聞に委託」=2008年12月12日
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20081212/1229018865