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橋下徹代表はいずれ国政に?〜「日本維新の会」設立を届け出

 橋下徹大阪市長が代表の新党「日本維新の会」が9月28日、大阪府選挙管理委員会を通じて総務相に政党設立の届け出を提出し、受理されました。既成政党を離党し新党に参加した現職の国会議員松野頼久氏ら7人。本部は大阪、国会議員と地方議員が基本的に同格という例のない形態です。次期衆院選には全国で350人規模の候補擁立を検討すると伝えられています。
 党規約など新党の骨格はあらかた事前に報じていたためか、このニュース自体には既視感がありましたが、大阪発行の新聞各紙は翌29日の朝刊では本記を1面に置き、ほかに総合面や社会面に課題や今後の見通しをまとめた長めの記事を掲載しました。
 各紙が指摘しているのは、大阪市長である橋下氏が新党代表を兼ねることに対し、物理的・体力的に無理なのではないかとの懸念と、自治体首長が国会議員を指揮することの違和感です。首相は国会議員から選出されることが規定されています。これまでは、衆議院第一党の党首がそのまま首相になるのが恒例でした。維新の会は、代表の橋下氏が大阪市長職にとどまる限り、所属国会議員の中から首相候補を決めなければなりません。さすがに橋下氏も、衆院選の際にはだれが首相候補かを示すと表明しました。しかし、仮に現状のまま維新が第一党になったと想定すると、日本国の首相が、維新の党内では、大阪市長である党代表の指揮を受けることになってしまいます。
 また、党内で国会議員を特別扱いしないことに対して、既存政党を離党して維新の会に参加した国会議員には不満が残っているとの報道も、ちらほら目につくようになっています。
 こうした違和感を解消し次期衆院選に向けて勢いをつけるには、橋下氏が大阪市長を辞職して衆院選に出馬するのがもっとも分かりやすい選択肢のように思えます。橋下氏が市長職にとどまるのか否かは、いずれ各マスメディアの取材の最重要課題になると思います。
 
 少し日がたちましたが、以下に備忘も兼ねて29日付朝刊各紙の主な記事と見出しを書き留めておきます(大手紙は大阪本社発行の最終版)

【朝日】
1面「『日本維新の会』誕生」
3面「維新 課題多き党運営」「首長党首 橋下代表 多忙の兼務」「意思疎通 権限強化 大阪で指揮」
【毎日】
1面準トップ「日本維新の会発足」「橋下氏『衆院選首相候補示す』」
3面・クローズアップ「『第三極』どう打ち出す」「選挙態勢には遅れ」「対決の自民/揺れる民主/注視の公明/連携探る みんな」
【読売】
1面準トップ「日本維新の会 発足」「橋下氏 衆院選首相候補示す』」
第2社会面「維新の台所 パー券頼み」「企業へ販売 『抜け穴』と容認」「衆院選へ 塾生、資金に不安」
【日経】
4面(政治面)「『日本維新の会』発足」「国会議員7人参加 代表の権限強く」
【産経】
1面準トップ「橋下氏『首相候補示す』」「『日本維新の会』正式発足」
1面・連載企画「解剖維新の会」4回目「他党との関係で『変質』」
社会面トップ「『竹島、韓国と共同管理』発言に波紋」「維新にも異論 火だねに?」「『イメージダウン』『外交理解していない』」
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【京都】
1面準トップ「『日本維新』政党届け出」「大阪に本部、代表は市長」「衆院選公募に400人」
2面「波乱含み維新船出」「代表選『党員も1票』・企業献金を廃止」「国会議員側、規約に反発」
【神戸】
1面「衆院選350人擁立検討」「『日本維新の会』政党設立届け出」
第2社会面「橋下新党 難産の末の産声」「党規約で激しい綱引き」「大阪側、押し切り決着/国会議員側、くすぶる不満」


※追記2012年10月2日7時50分
 日本維新の会に参加した国会議員団をめぐっては、昨夜も以下のような報道がネットにアップされました。
 ▼msn産経ニュース「橋下氏、維新合流の松浪議員をけん制」

 日本維新の会代表の橋下徹市長は1日、同党に合流した松浪健太衆院議員が自らのブログに「国政における決定は(国会)議員団ですべきことを橋下代表も認めた」などと書き込んだことについて、「党の大きな方針や戦略は僕が方針を出す」とクギを刺した。

 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/121001/waf12100123080034-n1.htm