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「9条護り平和へ攻める『老人党』」〜毎日新聞「今、平和を語る」なだいなださん

 9日は新聞休刊日で在阪の全国紙、京都新聞神戸新聞は10日付の朝刊発行を休みました。
 10日の夕刊各紙の記事の中で興味深く読んだのは、毎日新聞が2面に掲載した作家で精神科医のなだいなださんと、ネット上のバーチャル政党「老人党」の記事です。冒頭部を引用します。

今、平和を語る:作家・精神科医、なだいなださん
 ◇常識ある賢い国になろう 9条護り平和へ攻める「老人党」
 師走の総選挙がたけなわである。これまでになく、外交と安全保障の分野で強硬な主張が目立ってきた。「強い国」は心地よく耳に響くが、ここは「賢い国をめざす」というスローガンに耳を傾けたい。「日本を戦争をしない国とする」を目的に掲げているのは、インターネット上のバーチャル(仮想)政党「老人党」である。提唱者で作家・精神科医のなだいなださん(83)に聞いた。<聞き手・広岩近広>

 −−党首はなく、入党資格も党費も不要で、みずから名乗れば若くても党員となれる党「老人党」を、2003年にインターネット上に創設しました。互いに掲示板で意見を述べ合う党の公式サイト(http://6410.saloon.jp/)は、05年に一度リニューアルして以降だけの分でも累計アクセス数が約73万になります。現在の政治状況と世情をどうみられますか。

 なだ 日本にかぎらず多くの国の政党が、「強い国を目指す」というスローガンを掲げて選挙を戦っているようです。せめて「賢い国になろう」をスローガンにできないのかと思う。人口が1000万とか500万の国が世界にはあります。そうした小国が強い国を志向しますか。たとえばスウェーデンノルウェーやスイスが、強い国を目指しているかと、僕は言いたい。戦争の世紀は第二次世界大戦までで、今や21世紀になったのだから、賢い国をつくっていくべきでしょう。

 紙面ではほぼ1ページを埋める長文の記事ですが、コモンセンス=常識の変化を説き、憲法や日米同盟、沖縄にも触れながら、最後を「平和の大切さも失われたときに初めてわかる。老人党の僕は、戦前と戦後を知っているから、このことだけは断言できる。平和はいい。老人党は今後も常識の党であり続けたい」と結んでいます。読み応えがありました。この記事はネットでも読めます。
※ http://mainichi.jp/area/news/20121210ddf012070004000c.html
※老人党 http://6410.saloon.jp/


※以下は全国紙各紙の主な記事の記録です。大阪本社発行の最終版です。選挙関連の記事は、1面と社会面の記事2本ずつを原則とし、そのほかに目を引かれた記事を書き留めています。
▼12月10日夕刊
【朝日】
(1面なし)
第2社会面「党首訴え 力点様々」「『社会保障』『デフレ脱却』『脱原発』…」※8党首の演説分析
第2社会面「『想定外』言わぬプロを」電気料金値上げ・芸人千原せいじさん

【毎日】
1面・写真囲み「『暴走』する80歳」維新・石原代表(東奔西走)
第2社会面「『思い届く』手応え」「『浜岡』住民投票求め署名活動」(1票の底流 変わる有権者たち)
※2面「常識ある賢い国になろう」「9条護り平和へ攻める『老人党』」作家・精神科医なだいなださん(今、平和を語る・聞き手:広岩近広専門編集委員

【読売】
(1面なし)
2面・囲み「225人 女性候補 2番目の多さ」(衆院選 数字で見る)
第2社会面「『逮捕されたら助けて』」「橋下氏、演説で…」

【日経】
1面囲み「我慢の冬 問われる原発」未来・嘉田代表、新党大地・鈴木代表(師走の決戦4)
社会面トップ「『ネット選挙』解禁状態」「あふれる書き込み」「支持者がコメント・動画投稿」

【産経】
1面「首相『自民外交 主張なし』」「安倍氏『日本 侮られている』」(乱戦 9日の党首街頭演説)
1面・写真囲み「光の街で訴え」(師走乱)
第2社会面「不明朗な公選法 形骸化批判も」「ネットで運動/“高級品”ジュース提供は違反」(乱戦)
第2社会面「社会保障を変えられるか」関西大学教授(地域システム論)白石真澄さん(私の視点)