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世論調査は反対50.6〜42%、特定秘密保護法案で朝日、毎日、共同

 特定秘密保護法案をめぐり朝日新聞毎日新聞の2紙が11月12日付朝刊に電話世論調査結果を掲載しました。法案に対する賛否では朝日が賛成30%、反対42%、毎日は賛成29%、反対59%です。少しさかのぼって、共同通信も10月28日付朝刊用に電話世論調査の結果を配信しており、このときは賛成35.9%、反対50.6%でした。
 まとめると以下の通りです。朝日新聞は第3社会面、毎日新聞は1面トップの扱いでした(ともに大阪本社発行の最終版)。
朝日新聞 賛成30%   反対42%   11月9〜10日実施
毎日新聞 賛成29%   反対59%   11月9〜10日実施
共同通信 賛成35.9% 反対50.6% 10月26〜27日実施


 一般に世論調査では、ある事柄に対して簡潔に賛否を問う場合でも、質問の設定、聞き方によっては異なる結果が出ることがあります。今回も各社それぞれに質問は異なっているのですが、いずれも反対が賛成を上回っていること、その差が10ポイント以上あること、賛成はおおむね3割台にとどまっていることが共通しており、意味のある結果が出ているととらえていいのではないかと思います。
 12日付の朝刊では、読売新聞も11月8〜10日に実施した電話世論調査の結果を掲載しています(大阪本社発行最終版)が、特定秘密保護法案のことは出て来ません。やはり、法案への反対を明確に表明している新聞ほど、関連する情報の量が多いと言えるのではないかと思います。


 以下に備忘を兼ねて、各紙の質問を書き留めておきます。
朝日新聞
「特定秘密法案についてうかがいます。特定秘密保護法案は、国の外交や安全保障に関する秘密を洩らした人や、不正に取得した人への罰則を強化し、秘密の情報が漏れるのを防ぐことを目的としています。一方、この法案で、政府に都合の悪い情報が隠され、国民の知る権利が侵害される恐れがあるとの指摘もあります。特定秘密保護法案に賛成ですか。反対ですか。」
賛成30%、反対42%
毎日新聞
特定秘密保護法ができると、外国と機密情報などを交換しやすくなる一方、国民の知る権利が侵害されるという指摘があります。あなたはこの法律に賛成ですか、反対ですか」※この前に特定秘密保護法案に関する質問が3問
賛成29%、反対59%
共同通信
「政府は、安全保障に関する秘密が漏れるのを防ぐため、秘密を洩らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案を国会に提出しました。国民の『知る権利』への配慮は明記されましたが、政府に不都合な情報が隠される恐れがあるなどの懸念も指摘されています。あなたはこの法案に賛成ですか、反対ですか」
賛成35.9%、反対50.6%


※追記 2013年11月13日午前8時
 NHKも11月11日に世論調査結果を放送していました。8〜10日の3日間実施とのことです。賛否のデータはなく、法案が必要かどうかを尋ねた結果が出ています。以下はNHKサイトからの関連部分の引用です。

 政府が今の国会で成立を目指している「特定秘密保護法案」の内容を知っているかどうか聞いたところ、「よく知っている」が3%、「ある程度知っている」が33%だったのに対し、「あまり知らない」が43%、「まったく知らない」が18%で、「知っている」と答えた人は、先月より10ポイント以上増えました。
 また、「特定秘密保護法案」について、政府が、安全保障などの情報を外国と共有するために必要だとしているのに対し、国民の『知る権利』が侵害される可能性があるという指摘も出ていますが、法案が必要かどうか聞いたところ、「必要だ」が25%、「必要でない」が16%、「どちらともいえない」が48%でした。