安倍晋三内閣の2人の女性閣僚が10月20日、相次いで辞任しました。先週来、関連政治団体の政治資金収支報告をめぐり疑惑が指摘されている小渕優子・経済産業相と、選挙区でうちわを配ったことが公職選挙法に抵触するとして国会で追及され、刑事告発もされた松島みどり法相です。安倍首相は20日、2人の辞表を受理した後に首相官邸で記者団の取材に応じた際、自らの任命責任を認めました。この一件が、ここまで高い支持を受けてきた安倍首相と政権の今後にどう影響していくのか。現在は大きなターニングポイントにあるのかもしれません。
2人が辞任する直前の10月18日(土)〜19日(日)に実施されたマスメディア各社の世論調査があります。結果を以下に書き留めておきます。
▼毎日新聞
支持率 47% 前回調査(9月3、4日実施)と同じ
不支持率 36% 前回より4ポイント増
「関心がない」16% 前回より2ポイント減
▼産経新聞・FNN(フジニュースネットワーク)
支持率 53・0% 前回調査(9月6、7日実施)より2・7ポイント減
不支持率 37・9% 前回より7・6ポイント増
▼共同通信
支持率 48・1% 前回調査(9月3、4日実施)に比べ6・8ポイント減
不支持率 40・2% 前回より11・2ポイント増
いずれも不支持が上昇している点が共通しています。産経新聞・FNNと共同通信は支持が減少しています。調査が実施された2日間は、既にマスメディアの報道で、小渕氏の辞任は避けられないとの見通しが大きく報じられていました。小渕氏の「政治とカネ」の問題への有権者の受け止め方が反映されている可能性があります。ただ、支持が下がったといっても、少なくとも40%台後半を維持しているのは、やはり高い水準だと感じます。今後実施される他社の調査も注視したいと思います。
ちなみに、9月上旬にマスメディア各社が実施した調査結果は以下の通りでした(カッコ内はその前の調査との対比)。
▼読売新聞:支持率64%(13ポイント上昇)不支持率29%(12ポイント減)
▼日経新聞・テレビ東京:支持率60%(11ポイント上昇)不支持率26%(10ポイント減)
▼NHK:支持率58%(7ポイント上昇)不支持率28%(5ポイント減)
▼産経新聞・FNN:支持率55・7%(3・9ポイント上昇)不支持率30・3%(6ポイント減少)
▼共同通信:支持率54・9%(5・1ポイント上昇)不支持率29・0%(同10・1ポイント減)
▼朝日新聞:支持率47%(5ポイント上昇)不支持率30%(5ポイント減)
▼毎日新聞:支持率47%(前回と同じ)不支持率32%(2ポイント減)「関心がない」18%
※参考過去記事「安倍内閣を支持しない人は3割〜世論調査結果まとめ」=2014年9月10日
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20140910/1410305311
9月調査では支持率は分かれましたが、不支持率はおおむね3割と読み取っていいのではないかと感じていました。
▽伊丹万作と「戦争責任者の問題」
昨年5月にアップした過去記事へのアクセスがこの数日、伸びています。
※「伊丹万作『戦争責任者の問題』と憲法96条〜『だまされる罪』と立憲主義」=2013年5月7日
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20130507/1367881891
19日夜にNHKが放映した「カラーでよみがえる東京」で、伊丹万作と「戦争責任者の問題」が紹介され、関心を持った方々が検索してこのブログにも訪問していただいているようです。ご訪問にお礼申し上げます。
戦前に映画監督、脚本家として活躍した伊丹万作が「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」との警句を残したのは、敗戦間もない1946年8月でした。今日、改憲志向をむき出しにし、しかし改憲への道のりは遠いと考えたのか、閣議決定で憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認に突き進んだ安倍晋三首相の内閣が高い支持を得ている中で、伊丹のこの警句は今日的な意味を持ち得ていると考えています。多くの方に、伊丹と「戦争責任者の問題」のことが知られてほしいと思います。