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「本土の皆さんも第二の加害者」(朝日)「本土の皆さん 第二の加害者は誰ですか」(毎日)―6・19沖縄県民大会、在京紙の報道の記録

 沖縄県うるま市の女性を殺害した疑いで、元海兵隊員の米軍属の男が逮捕された事件に抗議する沖縄県民大会が19日、那覇市で開かれ、主催者発表では約6万5千人が参加しました。報道によると、被害者の父親はメッセージを寄せ「次の被害者を出さないためにも全基地撤去、辺野古新基地建設に反対。県民が一つになれば可能だと思っています。県民として強く願っています」と訴えました。採択された大会決議は、繰り返される米軍関係の犯罪や事故に対する県民の怒りと悲しみは限界を超えていると指摘し、県民の人権と命を守るためには、米軍基地の大幅な整理縮小、中でも海兵隊の撤退は急務だと訴えたとのことです。

 ※琉球新報電子版「沖縄県民大会、6万5千人が追悼 海兵隊の撤退求める 被害者の父がメッセージ」
 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-300866.html

 大会には沖縄県の翁長雄志知事も出席しましたが、県議会野党の自民党公明党は、決議案の内容や社民、共産両党などが入る主催団体の構成に難色を示し、大会には参加しなかったと報じられています。
 この大会を東京発行の新聞各紙も20日付朝刊で取り上げました。朝日新聞は1面トップ。1面に入れたのはほかに毎日新聞産経新聞東京新聞の3紙。この4紙はいずれも社会面でもトップで大きく展開しています。日経新聞は本記は2面で、社会面にも関連記事を掲載しました。目を引くのは読売新聞で、第2社会面に1段見出し、全文30行の本記のみで写真もありませんでした。突出して小さな扱いでした。

 社会面では、朝日、毎日がともにオール沖縄会議共同代表の大学生、玉城愛さん(21)のスピーチから「本土の皆さんも第二の加害者」(朝日)「本土の皆さん 第二の加害者は誰ですか」(毎日)と、大きく見出しに取っているのが目を引きました。沖縄に過剰な基地負担を強いているのは直接的には日本政府かもしれませんが、その背後に日本本土に住む日本国民の無関心があるとの指摘が、少しずつかもしれませんが本土マスメディアでも取り上げられるようになってきていると感じます。ただし、それは一部のことで、一方では沖縄の基地集中に対する本土メディアの取り上げ方は二極化しています。今回も読売新聞は極端に小さな扱いでした。産経新聞は扱いは大きいものの、朝日や毎日、東京とは違ったスタンスです。
 ※玉城愛さんのスピーチ全文は、琉球新報のサイトで読めます。
 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-301239.html


 以下に、各紙の1面と社会面、社説の主な見出しを書きとめておきます。各紙の報道のトーンがうかがえるのではないかと思います。
朝日新聞
1面トップ「海兵隊撤退求め決議」「沖縄県民大会 元米兵事件に抗議」「自公、参加せず」
社会面トップ「沖縄 涙 怒り」/「『本土の皆さんも第二の加害者』大会共同代表の大学生」/「『変わるんだと思ったが…』21年前も参加した65歳」
社説「沖縄県民大会 怒りと抗議に向き合え」
毎日新聞
1面準トップ「『沖縄海兵隊撤退を』」「県民大会 女性殺害に抗議」
社会面トップ「慟哭の沖縄」「殺害抗議県民大会」「本土の皆さん 第二の加害者は誰ですか」
社説「沖縄県民大会『繰り返さない』の誓い」
▼読売新聞
第2社会面「女性殺害に抗議 沖縄『県民大会』」
日経新聞
2面「米軍属事件 6万人集会」「知事『米海兵隊撤退を』」
社会面準トップ「『次の被害女性出すな』」「米軍属事件、怒る沖縄」
産経新聞
1面「沖縄『県民大会』、超党派ならず」「女性暴行殺害に抗議」
社会面トップ「『オール沖縄』に疑問の声」「『一方的…基地問題への意見は人それぞれ』」※「被害女性の父 メッセージ全文」掲載
東京新聞
1面準トップ「沖縄 抗議の県民大会」「6万5000人 米海兵隊撤退を要求」
社会面トップ「『沖縄変える』新たな有権者18、19歳動く」「私たちの声届ける人を」
第2社会面「『奴隷じゃない』続く事件 涙の抗議」「同世代 玉城さん 喪服で登壇」
社説「沖縄県民大会 耳傾けるべき声がある」