朝日新聞社が11月19、20日に実施した世論調査の結果が報じられています。
安全保障関連法によって可能になった自衛隊PKO派遣部隊の「駆け付け警護」任務について、段階を追って質問を進める方式を取っているのが目に付きました。安倍晋三政権は11月15日、南スーダンPKO派遣の自衛隊部隊に「駆け付け警護」任務を付与する閣議決定を行い、18日に命令を出しました。朝日の世論調査では最終的に、この任務の付与に対して賛成28%、反対56%と反対が過半を占め、賛成を大きく上回っています。
※朝日新聞デジタル「南スーダン駆けつけ警護『反対』56% 朝日新聞調査」=11月22日
駆けつけ警護の質問ではまず、この新たな任務をどの程度知っているか尋ねた。「よく」と「ある程度」を合わせた「知っている」38%に対し、「あまり」と「まったく」を合わせた「知らない」は61%に上った。
次に、駆けつけ警護とは、他国の兵士や民間人が武装勢力に襲われた場合、PKOで派遣された自衛隊が武器を持って助けに行くという任務であることを説明したうえで、この任務を行うことの賛否を聞くと、「反対」の49%が「賛成」の37%を上回った。
そのうえで、南スーダンへの派遣部隊に対し、安倍政権が今月、駆けつけ警護の任務を付与したことについて聞いた。「反対」56%、「賛成」28%と賛否の差はさらに広がったほか、内閣支持層でも43%が「賛成」、44%が「反対」と賛否は拮抗(きっこう)した。
ちなみに「駆け付け警護」を巡る最近の世論調査では、NHKが11月11日から13日にかけて実施した調査で、「賛成」が18%、「反対」が42%、「どちらともいえない」が32%だったと報じられています。今回の朝日新聞の調査結果と合わせて考えれば、自衛隊の「駆け付け警護」任務に対しては、世論は反対が圧倒とまでは言えないにしても、世論の理解や支持が十分に得られているとは言い難い状況であると言ってよいのではないかと思います。
「駆け付け警護」任務の命令を受けた11次隊の先発隊は11月20日に出発して既に現地入りしており、今後、10次隊との引継ぎを終えて12月12日に活動を開始。この日から「駆け付け警護」任務が可能になります。自衛隊はこれまで実任務では1発も発砲していません。世論の十分な理解と支持を欠いた現在の状況のままでは、駆け付け警護の実施は時期尚早と言わざるを得ないのではないかと感じます。仮に相手側であれ自衛隊員であれ、武器の使用によって死傷者が生じるような事態が起こらないよう願っています。
ほかに朝日新聞の調査結果で目に留まったものを書きとめておきます。
▼内閣支持率 支持51%(前月比3ポイント増) 不支持25%(同7ポイント減)
▼「自民党は、自民党総裁の任期を最長6年から9年に延長する方針を決めました。これにより、安倍首相が2年後の自民党総裁選に勝てば、最長で2021年の秋まで総裁を続けることが可能になります。自民党が総裁の任期を延長する方針を決めたことを評価しますか。評価しませんか」
評価する 34%
評価しない 47%
▼「アメリカの大統領選挙についてうかがいます。大統領選挙は、共和党のトランプさんが、民主党のクリントンさんを破って、次の大統領になることが決まりました。トランプさんが勝ったことは、よかったと思いますか。よくなかったと思いますか」
よかった 20%
よくなかった 44%
▼「トランプさんがアメリカの大統領になることで、世界はよい方向に向かうと思いますか。悪い方向に向かうと思いますか。それとも、変わらないと思いますか」
よい方向に向かう 9%
悪い方向に向かう 26%
変わらない 40%
▼「トランプさんがアメリカの大統領になることで、日米関係はよい方向に向かうと思いますか。悪い方向に向かうと思いますか。それとも、変わらないと思いますか」
よい方向に向かう 9%
悪い方向に向かう 22%
変わらない 49%
▼「安倍首相は18日、アメリカでトランプさんと会談しました。安倍首相がトランプさんと会談したことを評価しますか。評価しませんか」
評価する 72%
評価しない 16%
【追記】2016年11月27日21時55分
7月以降、目に付いた世論調査の内閣支持率の推移は以下にまとめています。
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20160816/1471301488