「加計学園が再会見を拒否」の報じられ方~雑感:記者会見と記者クラブ

 岡山市の学校法人「加計学園」が7月4日、愛媛県今治市での獣医学部新設を巡り、今後、記者会見をする予定はないことを表明しました。最初にわたしの目に止まったのは、朝日新聞デジタルの6月4日午後にアップした記事でした。

 ※「『今後会見の予定ない』 加計学園が記者クラブにFAX」
 https://www.asahi.com/articles/ASL74460HL74PTIL00K.html

 学校法人「加計学園」(岡山市)の愛媛県今治市での獣医学部新設をめぐり、学園は4日、愛媛県庁を担当する記者クラブに対して「今後の記者会見について対応予定はございません」とするファクスを寄せた。記者クラブは6月28日と7月3日、地元での加計孝太郎理事長の記者会見を文書で要請していた。

 朝日のサイトにはFAXの全文も掲載されています。以下の通りです。文中の「大学・交通記者クラブ」は岡山の記者クラブです。

 

 件名:ご依頼について
 平素より学園の教育活動にご理解とご協力を賜り誠に有り難う御座います。
 ご依頼の件につきまして下記のとおり回答致します。
 本学園は、大学・交通記者クラブ加盟者の各社(通信社2社 新聞社7社 放送会社6社)の要請を受けて、6月19日、学園本部において、理事長及び学長が記者会見を行いました。共同などの通信社、NHKのほか全国ネットの系列テレビ局、及び地方紙のほか全国紙を含む新聞社の記者さんから多数の御質問を受け誠実に対応させていただきました。新たな質問が出なくなり、質問が出尽くしたことから記者会見を終わり、次の日程に移動した次第です。
 今後の記者会見について対応予定はございません。
 貴意に添えない形となりますが何卒ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。 

 夜にはNHKもサイトにアップしました。
 ※「『以後 会見に応じない』加計学園が報道機関にFAX」
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180704/k10011508831000.html 

 加計学園の獣医学部新設をめぐる問題で学園側は、愛媛県内の報道機関が加計理事長に申し入れていた記者会見について、先月、岡山市で行った会見で質問は出尽くしたとして今後は応じない考えを示しました。
 (中略)
 この時の会見は出席が岡山県内の報道機関に限られ、時間も30分足らずで打ち切られたことから、愛媛県内の報道機関は再度、加計理事長の記者会見を申し入れていましたが、学園側は4日付けで「以後、会見には応じない」とFAXで回答しました。 

 このほか共同通信も4日夕に記事を配信しています。
 一方で5日付の東京発行の新聞各紙朝刊では、朝日は第2社会面で比較的大きく記事を掲載しましたが、他紙には記事は見当たりませんでした。愛媛県庁の記者クラブの要請に対する回答なので、朝日以外の全国紙各紙は愛媛県版に記事を掲載しているのかもしれません。しかし、加計学園が再度、記者会見に応じるかは全国的なニュースバリューがあります。例えば事前に加計理事長が安倍晋三首相と面会し、獣医学部新設の計画を説明したとの指摘に対し、6月19日の会見で加計理事長はただ否定するだけで、何ら説得力のある説明もなければ、資料の提示もありませんでした。一国の首相の動向に絡むことです。再度、会見に応じて、説得力のある説明をするのかどうかは、全国的な関心ごとです。その当事者の加計学園が、もはや記者会見には応じないと表明したのですから、ことの善悪の判断はともかく、ニュースとして全国的に報じられていいように思います。

 もう一つ思うのは、記者会見と記者クラブの関係です。6月19日の岡山市での会見について加計学園は「大学・交通記者クラブ加盟者の各社(通信社2社 新聞社7社 放送会社6社)の要請を受けて」と、記者クラブの要請を受け入れたものだったことを認めています。そうであるならば、記者会見の主催は記者クラブ、ないしは記者クラブと加計学園の共催であるのが筋です。そのあたりの詳しい経緯や実状は承知していないのですが、少なくとも記者クラブ主催の記者会見であれば、出席者を地元の記者に制限したり、予定時間よりも早く一方的に打ち切ったりといった進行にしてはならないでしょう。
 また、記者クラブはそれぞれ自主自立的に運営されています。岡山で会見したから愛媛では必要ない、というものではありません。岡山と愛媛では、行政もメディアも住民も関心の所在や問題意識に違いがあって当然です。岡山で記者クラブの要請を受けて記者会見に応じたと言うのであれば、愛媛でも応じるべきです。岡山と同じ質問しか出ない、ということはあり得ません。

 

【追記】2018年7月5日21時10分

 当初の「加計学園が再度の記者会見」から改題しました。