広島県知事「お隣ご一家を家ごと吹き飛ばす爆弾」の例え

 広島市で8月6日に開かれた原爆の日の平和祈念式典で、広島県の湯崎英彦知事があいさつの中で核抑止論を批判しました。「簡単に子供に説明するとすれば,このようなものではないでしょうか」と前置きして指摘した核抑止論の本質が、例えとして、まさに子どもに説明するのにちょうどよく、分かりやすいと感じます。当該部分を中心に引用して紹介します。 

 「いいかい,うちとお隣さんは仲が悪いけど,もし何かあれば,お隣のご一家全員を家ごと吹き飛ばす爆弾が仕掛けてあって,そのボタンはいつでも押せるようになってるし,お隣さんもうちを吹き飛ばす爆弾を仕掛けてある。一家全滅はお互い,いやだろ。だからお隣さんはうちに手を出すことはしないし,うちもお隣に失礼はしない。決して大喧嘩にはならないんだ。爆弾は多分誤作動しないし,誤ってボタンを押すこともないと思う。だからお前は安心して暮らしていればいいんだよ。」
 一体どれだけの大人が本気で子供たちにこのような説明をできるというのでしょうか。
 良き大人がするべきは,お隣が確実に吹き飛ぶよう爆弾に工夫をこらすことではなく,爆弾はなくてもお隣と大喧嘩しないようにするにはどうすればよいか考え,それを実行することではないでしょうか。
 私たちは,二度も実際に一家を吹き飛ばされ,そして今なおそのために傷ついた多くの人々を抱える唯一の国民として,核抑止のくびきを乗り越え,新たな安全保障の在り方を構築するため,世界の叡智を集めていくべきです。 

 あいさつの全文は広島県のサイトで読むことができます。
 ※「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式における知事あいさつについて」=2018年8月6日
 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/52/30heiwakinensikitentijiaisatu.html

 湯崎氏は通産官僚出身で3期目。知事1期目だった2010年10月、第3子誕生後に、都道府県知事として初めて「育児休暇」を取って話題になりました。ウイキペディアの記載によると、同年11月29日の定例記者会見で、10月26日から11月25日までの1カ月の間に取得した育児休暇は、計12日間でのべ約20時間だったと公表。育児の重要性をPRするうえで効果があったと自己評価したとのことです。
 ※ウイキペディア「湯崎英彦」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%AF%E5%B4%8E%E8%8B%B1%E5%BD%A6

 東京発行の新聞各紙の7日付朝刊には、湯崎氏のあいさつに触れた記事やあいさつ全文、要旨などは見当たりませんでした。広島原爆の日のマスメディアの報道は、ある種、パターン化したところがあり、報道の柱になる記事の「本記」では、まず広島市長の平和宣言、次に内閣総理大臣のあいさつの紹介が中心です。この二つは全文や要旨を掲載するのがおおむねどの新聞も共通しています。小学生が読み上げる「平和への誓い」を全文掲載する新聞もありましたが、限られた紙幅に、広島県知事のあいさつまで即日載せるスペースはありません。ただ、ことしの湯崎氏のあいさつは、後日でもいいので記事化して伝えるだけの価値があると思います。