ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

日韓のメディア労組が共同宣言「事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう」

 新聞労連や民放労連、出版労連など日本のメディア関連労組でつくる「日本マスコミ文化情報労組会議」(略称MIC)と韓国のテレビ、新聞などメディア労働者の「全国言論労働組合」(略称NUM=National Union of Mediaworkers)が9月27日、共同宣言を発表しました。全文を紹介します。
 MICの公式サイトからもPDFファイルでダウンロードできます。
 ※http://www.union-net.or.jp/mic/

●日韓両国のメディア労働者共同宣言
―事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう―

 歴史問題に端を発した日韓両国の政治対立が、さまざまな分野での交流を引き裂き、両国の距離を遠ざけている。
 歴史の事実に目を背ける者に、未来は語れない。
 過去の反省なしには、未来を論じることはできない。
 排外的な言説や偏狭なナショナリズムが幅をきかせ、市民のかけがえのない人権や、平和、友好関係が踏みにじられることがあってはならない。いまこそ、こつこつと積み上げた事実を正しく、自由に報道していくという私たちメディア労働者の本分が問われている。

 今日、日本の「マスコミ文化情報労組会議」と韓国の「全国言論労働組合」に集うメディア労働者たちは、平和と人権を守り、民主主義を支えるメディアの本来の責務をもう一度自覚して、次のように宣言する。

一、我々は今後、あらゆる報道で事実を追求するジャーナリズムの本分を守り、平和と人権が尊重される社会を目指す。

一、平和や人権が踏みにじられた過去の過ちを繰り返すことがないよう、ナショナリズムを助長する報道には加担しない。

2019年9月27日
日本マスコミ文化情報労組会議
韓國 全国言論労働組合

 

 日韓両国政府の関係は過去最悪で、日本社会の一部にも韓国を激しい表現で批判する論調があります。そういう時に、日韓のメディア労組が連帯し、「国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指す」と宣言したことには少なからぬ意義があると思います。

 MICとNUMには交流と連帯の歴史があります。戦後50年の1995年に両者は東京で交流の場を持ち、10年後の2005年8月には韓国・ソウルで、共同のシンポジウムを開催しました。当時、わたしもMIC議長として参加しました。
 以下はわたしが2005年当時に運営していたブログに書いた記事です。今、読み直しても、基本的な問題意識は変わっていません。

※ブログ「ニュース・ワーカー」
・「日韓言論シンポ」=2005年8月17日
 https://newsworker.exblog.jp/2515494/
・「ソウルの8月15日」=2005年8月16日
 https://newsworker.exblog.jp/2506593/
・「長崎での日韓交流」=2005年8月12日
 https://newsworker.exblog.jp/2483219/