ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

不祥事続きでも安倍政権支持率は40~50%で安定~要因にスマホ普及

 3月にマスメディア各社が実施した世論調査の結果から、安倍晋三内閣の支持率を書きとめておきます。同じ週末に実施された調査結果同士を比べてみても、どうも支持率の増減などに共通の傾向を読み取るのは難しいように思います。強いて言えば、いずれの調査でも「支持」はおおむね40%から50%近くあるということでしょうか。

 首相主催の「桜を見る会」を巡る問題、東京高検検事長の定年延長、河井案理参院議員陣営の選挙違反事件、そして森友学園への国有地売却を巡る公文書の改ざんで自殺した近畿財務局職員の手記公表と、個々に問えば安倍政権への批判や疑問が多数を占める出来事、不祥事が続いているのにもかかわらず、なぜ内閣支持率は一定の水準の幅で安定するのか。マスメディアで働く一人として、報道が足りないのか、それとも報道が社会に届いていないのか、その両方かと考えています。そうした中で、非常に示唆に富んだ論考に目がとまりました。

※文春オンライン「なぜ『安倍内閣支持率』は不祥事連発でもコロナ危機でも下がらないのか――“3つのポイント”とは」=2020年3月24日

https://bunshun.jp/articles/-/36797

bunshun.jp

 筆者の東洋大教授、薬師寺克行さんは元朝日新聞の政治記者です。

内閣支持率が不祥事などに左右されず安定的に推移するようになったタイミングと、スマートフォンの普及が高原状態に達したタイミングが一致しているのである。(中略)新聞社がいくらこぶしを振り上げて政権を批判しても、伝わりにくい仕組みができているのだ。

 ニュースに接するツールがスマートフォンだけという層が増えていることと、スマートフォンで流通するニュース(コンテンツ)の内容の二つがポイントのようです。特に新聞のジャーナリズムが以前のようには社会に届いていない側面があるのは、間違いないように感じます。

 以下は3月の内閣支持率です。※カッコ内は前回比、Pはポイント
・日経新聞・テレビ東京 3月27~29日実施
 「支持」48%(2P増)
 「不支持」42%(5P減)
・共同通信 3月26~28日実施
 「支持」45.5%(4.2P減)
 「不支持」38.8%(0.7P増)

・産経新聞・FNN 3月21、22日実施
 「支持」41.3%(5.1P増)
 「不支持」41.1%(5.6P減)
・読売新聞 3月20~22日実施
 「支持」48%(1P増)
 「不支持」40%(1P減)

・共同通信 3月14~16日実施
 「支持」49.7%(8.7P増)
 「不支持」38.1%(8.0P減)
・朝日新聞 3月14、15日実施
 「支持」41%(2P増)
 「不支持」38%(2P減)
・毎日新聞 3月14、15日実施 ※前回は1月18、19日実施
 「支持」43%(2P増)
 「不支持」38%(1P増)
 「関心がない」18%(3P増)

・時事通信 3月6~9日実施 ※対面調査
 「支持」39.3%(0.6P増)
 「不支持」38.8%(1.0P減)
・JNN 3月7、8日実施
 「支持」48.9%(0.9P減)
 「不支持」47.5%(0.7P増)
・NHK 3月6~8日実施
 「支持」43%(2P減)
 「不支持」41%(4P増)