検察庁法改正反対 民意の高まりの発起点~コロナ禍の下の政治意識とマスメディア

 新型コロナ禍の緊急事態宣言が続く中で、国会採決の強行が危惧された検察庁法改正案は5月18日の月曜日、政府・与党が今国会での採決見送りを決めました。「束ね法案」としていた国家公務員の定年延長法案丸ごとの措置です。5月8日の衆院内閣委での審議入り以降、ツイッターで検察庁法改正案に反対の投稿が相次ぎ、著名人も次々に加わったことを社会現象としてマスメディアが追随して報じる流れが続きました。コロナ禍に政府がどう対応するのか、政治への関心が高まっていたことが大きな力を生む元になったと感じます。元検事総長らが異例の反対表明を行ったことも含めて、ネット上に表れた民意が現実を動かしたという、かつてなかった出来事であり、コロナ禍の下で起きた社会の大きな変化と言っていいのではないかと考えています。
 しかし、これをマスメディアの組織ジャーナリズムに引き寄せて考えると、8日の衆院委の審議入りがニュースとしては決して大きく扱われていなかったことに留意しておく必要があると思います。このブログの以前の記事に書きとめていますが、9日付の東京発行新聞各紙の扱いを例に取れば以下の通りです。1面に入れたのは朝日だけで、読売新聞は見出しに「検察」の2文字がなく、日経新聞、産経新聞は記事が見当たりませんでした。

・朝日新聞:1面「検察の定年延長 与党が審議強行/法相出席応じず 野党反発」
・毎日新聞:3面「野党が審議欠席/与党の法相出席拒否で 検察官定年」
・読売新聞:3面「『65歳定年』法案 実質審議入り/一部野党欠席」
・日経新聞 ※見当たらず
・産経新聞 ※見当たらず
・東京新聞:3面「検察官対象に反発 野党が審議を拒否/衆院委 国家公務員定年延長法案」

news-worker.hatenablog.com

 ツイッター上で最初に「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグを投稿した方のブログ記事を読みました。そこには以下のように書かれています。

 4月から法案の行方が気になってはいたのですが、5月8日(金曜日)にいきなり内閣委員会で野党欠席のもと審議されて、来週には法案が通ることになったというニュースを見て震え上がりました。マスコミも大々的に報道せず、こっそり隠して採決まで持ってこうとしているようにも見えました。いても立ってもいられなくなり、とりあえず金曜の夜に1人でTwitterデモをやってみました。自分から発信した初めてのオンラインデモでした。

note.com

 留意すべきは、反対の民意の高まりの発起点が、マスメディアの報道というよりも、報道が少なかったことだったと考えた方がいいのではないか、ということです。コロナ禍による社会の変化、その後の社会のありようを考える時に、マスメディアの組織ジャーナリズムはどうなるのか、何ができるのか、何を目指すべきなのか。様々に考えています。

 ※検察庁法改正案の今国会採決見送りは、東京発行の新聞各紙も19日付朝刊で大きく扱いました。朝日、毎日、読売、東京の4紙が1面トップ、日経、産経両紙も1面で報じました。

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 ※検察官の定年延長を巡るさまざな問題の発端は、黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を安倍晋三政権が1月に閣議で決めたことでした。その黒川氏を巡って週刊文春が21日発売号で、新聞記者との賭け麻雀を報じることが明らかになりました。黒川氏が職にとどまることは難しいようです。思いもかけなかった展開です。成り行きを注視しています。 

※47news=共同通信「黒川検事長、辞職は不可避 与野党批判、検察幹部も」2020年5月20日 

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