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菅政権直結だった宮古島市の前市長逮捕~自衛隊配備、巨大利権だったのか

 沖縄県宮古島への陸上自衛隊配備を巡って、いささか衝撃的なニュースです。沖縄県警捜査2課は5月12日、宮古島市の下地敏彦・前市長(75)を収賄容疑で逮捕しました。
 ※琉球新報「陸自駐屯地めぐり650万円贈収賄容疑 前宮古島市長と千代田CC元社長を逮捕」=2021年5月12日
 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1320166.html

 沖縄県宮古島市上野野原の千代田カントリークラブ所有のゴルフ場への陸上自衛隊駐屯地建設を巡り、国の土地購入に向けて便宜を図る見返りに現金650万円を受け取ったとして、県警捜査2課は12日、前宮古島市長の下地敏彦容疑者(75)と当時の千代田カントリー社長を贈収賄容疑で逮捕した。県警はこれまでに下地容疑者を含む関係者から任意で事情を聞いていた。

 650万円は、わいろとしては決して少額ではありません。逮捕されたばかりで、前市長は金銭授受を認めたものの、わいろ性は否定しているとも報じられていますので、今後の捜査の推移を見守る必要があります。ただ、下地前市長は安倍政権、菅政権と直結の立場でした。自衛隊配備が巨大利権になっていたのだとすれば、防衛省、日本政府も含めた構造的な要因が問われます。
 琉球新報サイトでは、以下のような過去記事も目にしました。

 ※琉球新報「宮古島市長、千代田CC活用を打診 陸自配備めぐり防衛省関係者らに」=2015年5月12日
 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1320167.html

 沖縄県宮古島市への陸上自衛隊配備をめぐり、配備の有力候補地となった同市のゴルフ場「千代田カントリークラブ」の活用について、下地敏彦市長が防衛省や自衛隊関係者に自ら要請していたことが分かった。複数の政府関係者が明らかにした。下地市長は11日にあった防衛省の左藤章副大臣との会談後、記者団に自身の働き掛けについて問われ「防衛省が独自に宮古島の候補地を調査し、絞り込んだ」として否定した。

 部隊配備に協力的な地元首長の要請であれば、日本政府側もむげにはできないはずで、そこに利権が生まれる余地があります。

 以下はウイキペディア「下地敏彦」の一節です。菅政権との親密ぶり、一体ぶりがうかがえます。

 2021年、三期にわたる下地市政と自衛隊基地、新型コロナウイルス感染症対策などを争点とした市長選挙に自民党・公明党の推薦を受けて立候補。菅政権は、菅義偉首相の秘書と自民党職員2人を下地の事務所に派遣し、投票日直前の1月15日と16日には石垣市長の中山義隆が応援に入った。元防衛相の小野寺五典も現地入りし、2019年以降駐屯した約700人の自衛隊関係者らへのてこ入れも図ったが、投開票日の1月17日、元県議の座喜味一幸(社民、社大、共産、立民推薦)が1万5757票を獲得し、下地は2782票差で敗れた。

 今後、何が明らかになるのか、捜査と報道に注目しています。