朝日新聞社が公式サイトに5月26日、「東京2020オフィシャルパートナーとして」を掲載しました。一部を引用します。
https://www.asahi.com/corporate/info/14357747
新型コロナウイルス感染の拡大により、大会の開催を懸念する声が広がるなど、さまざまな議論がなされる状況となっています。感染状況などを注視し、オフィシャルパートナーとしての活動を続けてまいります。
一方、2016年1月に大会組織委員会とオフィシャルパートナー契約を結んだことをお伝えした際、「オフィシャルパートナーとしての活動と言論機関としての報道は一線を画します」とお約束しました。朝日新聞が五輪に関わる事象を時々刻々、公正な視点で報じていくことに変わりありません。社説などの言論は常に是々非々の立場を貫いています。今後も引き続き紙面や朝日新聞デジタルで、多角的な視点からの議論や提言に努めます。
朝日新聞は26日付の社説で「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」を掲げ、五輪の中止を明快に主張しました。ならばオフィシャルパートナー(大会公式スポンサー)も降りるべきではないか、との反応もSNS上では散見されます。
何度かこのブログでも触れてきたことですが、公式スポンサーの言論としての主張だからこそ、中止要請には格段の重みがある、とわたしは考えています。公式スポンサーにとどまる朝日新聞社の判断は、それが正しいかどうかは別として、理解はできます。
朝日新聞の社説の主張は、海外でも広く報じられているようです。その要因の一つは、やはり朝日新聞社が公式スポンサーに名前を連ねていることのようです。
※中日スポーツ「東京五輪オフィシャルパートナー朝日新聞の『五輪中止呼び掛け』が世界各国で速報」=2021年5月26日
https://www.chunichi.co.jp/article/260910
今や日本の世論調査では「五輪中止」の意見が多数を占め、「再延期」を含めれば今夏の開催に反対の意見が圧倒しています。五輪開催が強行されるのかどうかは、社会の関心が極めて高いテーマになっています。大会組織員会の森喜朗・前会長の女性蔑視発言では、大会の公式スポンサーからも声が挙がっていました。今回もマスメディアは、公式スポンサーの各企業に開催の可否をどう考えるか、取材してもいいのではないかと思います。
朝日新聞社と同じオフィシャルパートナーには、新聞社ではほかに毎日新聞社、読売新聞社、日経新聞社の3社が加わっています。うち読売新聞は27日付で「東京五輪 開催へ感染防止策を徹底せよ」との社説を掲載しました。
※読売新聞「東京五輪 開催へ感染防止策を徹底せよ」=2021年5月27日
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210526-OYT1T50242/
政府に対して「安全な大会の実現に向けた道筋を明確に示さなければならない」と、中止ではなく安全策の徹底と丁寧な説明を求めています。
※参考過去記事
「東京五輪中止」掲げるのは地方紙~「強行すれば首相退陣だ」(沖縄タイムス)、「理解得られぬなら中止を」(西日本新聞) 【追記】公式スポンサーの朝日新聞も「中止の決断を首相に求める」