経理部長の自死を報じる意味~東京五輪を「働き方・働かされ方」から見る視点

 いたましい出来事です。
 日本オリンピック委員会(JOC)の52歳の経理部長の男性が6月7日午前、東京都内の都営地下鉄駅で電車にはねられ亡くなりました。報道によると、男性が自ら飛び込むところを駅の警備員らが目撃しており、警視庁は自死とみているとのことです。

 7月23日に開幕が予定されている東京五輪を巡って、新型コロナウイルス禍の下での開催には世論の慎重意見も目立ち、国会でも質疑が続いています。そのさなかのことであり、また招致段階での工作資金疑惑をはじめ、東京五輪にまつわる金の問題が以前からさまざまに指摘されていることなどから、経理部長の死をめぐっても、憶測が飛び交っているようです。
 ※一例として、日刊ゲンダイの「JOCはショック! 経理部長の飛び込み自殺で囁かれる『五輪とカネ』」(6月8日配信)との見出しを書きとめておきます。リンクは貼りません。

 自死の理由や動機は他者には分かりません。しかし、過重労働によって「うつ」に陥っての自死、過労自死であれば、そのメカニズムは知られるようになっています。そこは客観的に、一定の事情を判断できる部分だと思います。
 東京五輪の開催関係者が現在、負荷の高い働き方を強いられているであろうことは、想像に難くありません。仮に、その結果として過労自死まで起きてしまったのであれば、東京五輪の功罪を考える際に、考慮すべき要因に加えられていい出来事です。その意味で、経理部長の自死は社会で共有されるべきニュースだろうと思いますし、憶測でしかないあれやこれやの前に、まず「働き方・働かされ方」が客観的に検証されるべきだろうと思います。

 このニュースは7日当日のお昼ごろから、民放がいくつか報じ始めましたが、新聞は総じて慎重で、各紙のサイトにアップされたのは夕方以降でした。警視庁も慎重に捜査したのであろうことがうかがえます。
 以下は、東京発行の新聞各紙の8日付朝刊の記録です。経理部長を実名で報じたのは日経新聞と産経新聞でした。朝日、読売、東京は匿名。共同通信の配信記事も匿名でした。毎日新聞は記事を載せていません。

・朝日新聞・第2社会面1段、匿名
 「JOCの経理部長 駅ではねられ死亡/東京・品川」
・毎日新聞
  ※見当たらず
・読売新聞・第3社会面短信、匿名
 「JOC経理部長が自殺か」
・日経新聞・社会面1段、実名
 「電車にはねられJOC部長死亡/飛び込み自殺か」
・産経新聞・第2社会面1段、実名
 「JOC幹部が自殺か 電車にはねられ死亡/品川・中延駅」
・東京新聞・第2社会面1段、匿名
 「電車にはねられJOC部長死亡/都営浅草線、自殺か」

 亡くなった男性に謹んで哀悼の意を表します。