ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

「港人雨中痛別」 新聞が失なわれた日~横浜・新聞博物館でミニ展示「言論弾圧と新聞」

 過日、横浜市にある日本新聞博物館(愛称・ニュースパーク)を訪ねました。香港の民主化運動の側に一貫して立ち、香港国家安全維持法(国安法)に基づく合法的弾圧で6月24日に廃刊に至った蘋果(ひんか)日報(りんご日報)の最終号の実物が展示されているのを知って、ぜひ見ておきたいと思いました。
 日本新聞協会が運営する同博物館は、蘋果日報の廃刊を契機に「言論弾圧と新聞」の「ミニ展示を企画。同紙の廃刊を報じる日本の新聞各紙の紙面や、かつて日本で行われた言論弾圧を示す資料を紹介しています。
 蘋果日報の最終号1面は、雨の中、最後の編集作業を応援する香港市民の写真と「港人雨中痛別」の大きな見出し。記事の内容は分からなくても、同紙が民衆の支持を得ていたことの強烈な自負と、中国政府によって廃刊に追い込まれる理不尽さへの抗議の意思が伝わってきました。
 日本でも戦前までは、政府や軍による露骨な新聞への弾圧がありました。新聞博物館のミニ展示ではその一端を知ることもできます。また常設展示の中にも、関連する資料があります。
 民主主義社会では、自由な情報流通が不可欠であり、新聞は社会の人々の「知る権利」に奉仕する存在です。その役割を全うするために、新聞は今ある「表現の自由」「言論の自由」を最大限に行使しなければなりません。そうすることでしか、それらの自由を守り切ることもできない―。そんなことを改めて考えた新聞博物館訪問でした。

f:id:news-worker:20210723114605j:plain

 ミニ展示「言論弾圧と新聞」については、新聞博物館のフェイスブックページに展示物の紹介があります。現在も開催中です。
 https://www.facebook.com/newspark.yokohama/
 ※公式サイト https://newspark.jp/

 新聞博物館では展示物の撮影許可など、ご配慮をいただきました。ありがとうございました。

f:id:news-worker:20210723114659j:plain

 日本の新聞弾圧に対する抵抗の例として、明治期の高知の「新聞の葬式」があります。3年前のことですが、高知市立自由民権記念館を訪ね、「新聞の葬式」のことを詳しく知る機会がありました。以下は、その際の記事です。

news-worker.hatenablog.com