読売:1面と最終面で祝祭感、産経:「希望の聖火」、朝日:緊迫の救急外来、毎日:「異形の祭典」~東京五輪・在京紙の報道の記録①

 7月23日の東京五輪開会式を、東京発行の新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)は、翌24日付朝刊でそろって1面トップで報じました。
 目を引いたのは読売新聞です。全国紙では異例の1面と最終面をぶち抜いて日本選手団の入場行進の写真を大きく掲載しました。二つ折りの写真では分からないのですが、紙面の下3分の1は大会ゴールドパートナー(公式スポンサー)アシックスの真っ赤な広告が入っており、全体として白と赤、つまり日の丸を色覚として想起する紙面だと感じました。祝祭感が前面です。産経新聞の「希望の聖火 東京五輪開幕」の見出しも、他紙にはないポジティブな表現です。
 対して朝日新聞は1面左肩に病院の救急外来の緊迫のルポを、毎日新聞は「異形の祭典」を見出しに取った同紙主筆の署名評論を掲載し、ともに全体として抑制基調だと感じます。日経新聞を含めて、全国紙5紙は発行新聞社が大会公式スポンサーに名を連ねているのですが、紙面のトーンは二分の印象を受けました。
 各紙の記事に目を通して疑問に思ったことがあります。23日午後に実施された航空自衛隊・ブルーインパルスの曲技飛行です。東京新聞は「東京都内は緊急事態宣言中だが、見物人で密集状態の場所も生まれた」と伝えています。テレビニュースでも、国立競技場周辺の「密」状態が分かりました。
 わざわざ、家の外に出ることを促すようなイベントです。緊急事態宣言発出を決めた政府は自重し、また東京都は中止を主張するべき立場ではなかったでしょうか。同じことは国立競技場での開会式の花火演出にも言えます。競技場周辺に大勢の見物人が集まって混雑した様子がSNSなどでもうかがえます。
 新聞各紙も、「取りやめるべきだった」との主張は見当たりません。紙面の中には感動仕立ての記事も目に付きました。緊急事態宣言の実効性がさらに失われることを危惧します。

 この東京五輪期間中、マスメディアは競技の進行や結果、とりわけ日本選手の成績と、東京や周辺のコロナ禍の状況の双方を重要ニュースとして報じていくことになります。もともとパンデミック下での五輪のような大規模国際イベントの開催は、普通はないはずです。この異例の事態を東京発行の新聞各紙がどう伝えたのか、後世への記録の意味も兼ねて、各紙の朝刊1面の掲載記事を随時、記録していきたいと思います。

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 以下は7月24日付朝刊です。
▼朝日新聞
①「東京五輪 コロナ下の開幕/1年延期し無観客 1万1000人出場」
②「熱戦の隣 鳴りやまぬ救急電話/横浜の五輪指定病院では」
③「『祝い』表現使わず/天皇陛下が開会宣言」
④「アスリートに託す希望」稲垣康介編集委員
▼毎日新聞
①「東京五輪開幕/1964年以来2度目 コロナ下 無観客/205カ国・地域 1万1000人参加」
②「『異形の祭典』を心に刻む」前田浩智主筆
▼読売新聞
①「東京五輪開幕/コロナ戒厳下 57年ぶり開催」
※最終面
②「無観客 悲劇ではない」特別寄稿・作家 浅田次郎さん
③「日本 金30個目標」
④「聖火点火 大坂なおみ」
▼日経新聞
①「東京五輪 開幕/コロナ下 大半無観客/57年ぶり2度目」
②連載企画「取捨選択、欧州が主導 ルールが決する競争力」第4の革命カーボンゼロ GXの衝撃5
③「EV部品生産6倍/日立、日米中に新工場」
▼産経新聞
①「希望の聖火 東京五輪開幕/57年ぶり コロナ禍無観客/最終走者 大坂なおみ」
②「令和の東京五輪に幸あれ」別府育郎特別記者
③「都内感染1359人」
▼東京新聞
①「東京五輪 歓声なき開幕/犠牲者に黙とう」ルポ コロナ禍のオリンピック
②「聖火の輝き どこへ」

※追記 2021年7月25日9時15分

 読売新聞の1面~最終面です。

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