感染者は過去最多 五輪中止の選択肢「ありません」(菅首相)~東京五輪・在京紙の報道の記録③7月27、28日付

 東京発行の新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)が東京五輪をどのように報じたかの記録です。各紙の1面が中心です。

【7月28日付】
 ■中止の選択肢ないと明言
 東京都で7月27日に新たに確認された新型コロナウイルスの感染者が、過去最多の2848人に上りました。1週間前から倍増。東京都は2週間前の7月12日から緊急事態宣言下にありますが、感染は縮小に向かうどころか、拡大する一方です。ワクチン接種が進み、重症化しやすい高齢者の感染は減っているようですが、それでも感染者が増えれば医療が逼迫することに変わりはありません。
 ※ちなみに28日の東京の新たな感染者は、さらに増えて3177人でした。千葉、埼玉、神奈川各県も最多を更新し、全国の合計は9000人を超えました。

 こうした状況で五輪を継続しても大丈夫なのか、不安を抱くのは当然です。しかし、菅義偉首相は27日の記者団とのぶら下がり取材で、五輪の中止の選択肢はあるのかを問われると「人流も減っていますし、そこはありません」と明言しました。何をもって「人流が減っている」と判断しているのか、説明はありません。東京で生活しているわたしの実感でも、通勤時の電車の混雑は増していることはあっても、減ってはいません。
 何より、現に東京の感染者数はかつてない勢いで増加しています。緊急事態宣言は効果がないことが明らかで、ほかに何か政府や東京都が対策を取っている様子はありません。五輪関係者の感染も連日、報告されている中で、首相がかねて強調していた「安全、安心」は確保できていると言えるのでしょうか。根拠も示さないまま、五輪中止が選択肢にないことをいとも簡単に言い切ってしまうのは無責任です。
 五輪、さらには8月下旬から予定されているパラリンピックの行く末にもかかわる大きなニュースです。東京発行新聞各紙の28日付朝刊では、朝日新聞と東京新聞が1面トップで扱いました。
 一方で五輪の競技では、27日も日本選手が柔道とソフトボールで金メダルを取りました。特にソフトボールは、北京大会での日本の金メダル後、五輪競技からは外れており、今回は13年越しの連覇。そして次回のパリ大会ではまたも外れます。そうした濃いストーリーがあり、従来通りの五輪報道なら間違いなく全紙そろって1面トップではなかったかと思います。こちらは毎日新聞、読売新聞、産経新聞が1面トップでした。読売、産経の両紙は連日、日本選手のメダル獲得を1面トップにしています。
 
 ■新聞は地域性が強いメディア
 28日付朝刊で興味深いのは毎日新聞です。全国紙のうち朝日新聞、毎日新聞、読売新聞は東京、大阪、福岡に編集・発行拠点を持ち、それぞれに紙面を編集しています。新聞は地域性が強いメディアですので、全国紙も全国で同一の紙面というわけではないのです。
 毎日新聞の28日付朝刊では、東京本社の発行紙面では前述の通り、五輪の日本選手のメダルが1面トップでしたが、大阪本社、西部本社の発行紙面は東京のコロナ感染状況が1面トップでした。
 ※毎日新聞のサイトでは、以下のページで各地域の1面のサムネイル画像を見ることができます。
 https://mainichi.jp/viewer/

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▼朝日新聞
①「東京 感染最多2848人/首都圏3県 緊急事態要請へ/大阪・沖縄も急増」/「首相、五輪中止を否定/『人流は減少、心配ない』」
②「永瀬『金』 柔道81キロ級」/「ソフト『金』未来へつなぐリレー/上野から後藤 区切りの東京で快投」
▼毎日新聞
①「ソフト13年越し連覇/柔道男子81キロ級 永瀬が金」/「『冬の時代』を越えて」
②「東京 最多の2848人感染/首都圏3県 緊急事態要請検討」/「五輪 中止ない 首相」
▼読売新聞
①「ソフト連覇/北京以来 米破る」「永瀬『金』柔道」「五十嵐『銀』サーフィン」
②「コロナ 都内感染 最多2848人/先週の倍 若年層目立つ」/「首相『強い警戒感』」
▼日経新聞
①「雇用保険料引き上げへ/雇調金増、財源が不足/22年度にも/安全網の再構築急務」
②「勝者は中銀か民間か/揺らぐ国家の通貨主権」キャッシュレス新世紀(下)
③「ソフト 日本『金』/柔道男子・永瀬も」
④「東京、最多2848人感染/首都圏3県 緊急事態要請へ調整」
▼産経新聞
①「上野締めた ソフト『金』/永瀬『金』柔道81キロ級/サーフィン男子 五十嵐『銀』」/「米撃破 耐えた13年」/「台風接近備え 一部日程順延」
②「都内感染最多2848人/首相『五輪中止はない』」
▼東京新聞
①「都感染最多 2800人超/緊急宣言 歯止めならず/20~30代で5割超」/「4連休で満床の病院も」「今後1、2週間増え続ける恐れ」
②「首相、五輪中止『ない』/記者団に明言『人流減っている』」

【7月27日付朝刊】
 ■「黒い雨」訴訟で上告見送り
 広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡り、「被爆者」の認定範囲の拡大が争われた「黒い雨訴訟」で、菅義偉首相が7月26日、原告全員を被爆者と認定した14日の広島高裁判決を受け入れ、上告しないことを表明しました。広島市や広島県も国に受け入れを強く求めており、最後は菅首相の政治判断だったと報じられています。原爆禍から76年。国家の行為による戦争被害の現実的な救済と言えそうですが、もっと早期にできなかったのかと思います。
 “平和の祭典”である五輪期間中の、戦争と平和を巡る大きなニュースです。27日付朝刊では、朝日、毎日、東京の3紙は1面トップの扱いでした。一方で26日の五輪競技では、日本選手は3種目で金メダルを取りました。読売新聞、産経新聞はこちらが1面トップ。産経は「黒い雨」訴訟の本記は2面でした。

 ■開会式視聴率
 7月23日夜に行われた東京五輪開会式のテレビ視聴率が26日、報じられました。ビデオリサーチの調査によると、平均世帯視聴率(関東地方、視聴率)は56.4%、瞬間最高は61.0%、個人視聴率は40%(同)とのことです。1964年の東京大会は61.2%でした。開催には今も賛否がありますが、関心も高いようです。

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▼朝日新聞
①「『黒い雨』上告見送り/首相『直ちに手帳交付』/『受け入れ難い部分もある』」
②「遊ぶ10代 これがスケボー/技見せ合い 磨き合い」/「卓球混合 初の『金』」
③「高速道『変動料金』 国交省が導入検討」
▼毎日新聞
①「『黒い雨』訴訟 上告断念/原告以外にも救済拡大 政府」
②「卓球 混合で悲願の金/柔道・大野、スケボー・13歳西矢も」
③「温室ガス 家庭排出66%減/政府計画素案 目標大幅引き上げ」
▼読売新聞
①「水谷・伊藤組『金』/卓球日本勢初 中国破る/大野連覇 柔道/13歳西矢『金』スケボー」
②「『黒い雨』国が上告断念/首相表明 原告勝訴確定へ」
▼日経新聞
①「温暖化リスク算定 新手法/企業の情報開示基盤に 三井住友銀/衛星やAI駆使」
②「グーグル参入の衝撃/勝者なき消耗戦」キャッシュレス新世紀(中)
③「水谷・伊藤組『金』卓球/大野連覇 柔道/13歳西矢も金 スケボー」
④「黒い雨訴訟 上告断念/首相『被爆者手帳を交付』」
▼産経新聞
①「日本卓球 初の『金』/混合ダブルス 水谷・伊藤組/『王国』中国を破る」「最年少13歳 西矢『金』 スケートボード女子ストリート」「大野連覇 柔道 男子73キロ級」
▼東京新聞
①「黒い雨訴訟 国、上告せず/首相表明 被爆者手帳交付へ/広島原爆76年 高齢原告救済に道」
②「水谷と伊藤 金の絆/混合ダブルス 日本卓球初の頂点」
③「相模原殺傷5年」写真