広島原爆の日、黙とう呼び掛けず~東京五輪・在京紙の報道の記録⑦8月2日付

 東京発行の新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)が東京五輪をどのように報じたかの記録です。各紙の朝刊1面が中心です。

【8月2日付】

 8月1日に発表された新型コロナウイルスの新たな感染者は、東京で3058人でした。全国では1万人を超えました。感染拡大が続いています。
 1日は日曜日で政府や自治体にコロナ対応で特段の動きはありませんでした。東京発行各紙の2日付紙面では、朝日新聞と産経新聞がふだんの週明けのような1面のように感じられました。
 朝日の1面トップは米軍撤退を控えたアフガニスタンの“リモートルポ”。筆者はニューヨーク特派員。産経は日米共同訓練ものの独自ダネがトップ。五輪は二つ折りにすると見出ししか見えない位置です。前日までは読売新聞とともに、五輪に大きなスペースを割いていたのですが、この日は少し趣きが異なります。

■黙とう呼び掛けず
 五輪大会は「平和の祭典」であるはずですが、納得しがたいニュースが8月1日夜に流れました。2日付の朝刊紙面では毎日新聞が報じているほか、東京新聞は共同通信配信記事を掲載しています。

※共同通信「広島原爆の日、黙とう呼び掛けず IOC、閉会式で思い共有」=2021年8月1日
 https://nordot.app/794478397353181184

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 東京五輪・パラリンピック組織委員会は1日、国際オリンピック委員会(IOC)が五輪開催期間中の「広島原爆の日」の8月6日に、選手や大会関係者に黙とうを呼び掛けるなどの対応をしない方針だと明らかにした。広島市や広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)が、黙とうの呼び掛けを要請していた。

 2日には、IOCのバッハ会長から広島市に正式に意向が伝えられたと報じられています。
 中国新聞は「バッハ会長は原爆資料館も見学し、理解があると信じていたが裏切られた思いだ」「実現すれば、平和の祭典という位置付けを示せた。全ての戦争犠牲者への思いを込めて黙とうの呼び掛けを要請しており、実行してほしかった」などの被爆者らの声を伝えています。

※中国新聞「広島の被爆者ら『裏切られた思い』 IOC方針に失望感」=2021年8月1日
 https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=779284&comment_sub_id=0&category_id=256

www.chugoku-np.co.jp

 大会には第2次世界大戦の戦勝国も、核保有国も参加しています。IOCにはそうした国々への配慮でもあるのでしょうか。しかし、バッハ会長とコーツ副会長は7月16日、緊急事態宣言下の東京をわざわざ抜け出してそれぞれ広島と長崎を訪問していました。それが表面的なパフォーマンスではなかったと言うなら、なぜ黙とうを呼びかけないのか、納得が得られるだけの説明が必要です。そうでなければ、反対がある中で訪問を受け入れた被爆者を侮辱するのも同然です。

■米国で視聴者数が低迷
 1日には、思わず「なんだよ」と口にしてしまったニュースもありました。

※共同通信「米国の東京五輪視聴者数が低迷 NBCが補償交渉と報道」=2021年8月1日
 https://nordot.app/794469304754028544

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 米国で東京五輪の視聴者数が低迷し、放映権を持つNBCユニバーサルが広告主と補償策について交渉を進めていると、米ブルームバーグ通信が1日までに関係者の話として報じた。7月27日までの視聴者数は前回リオデジャネイロ五輪と比べ42%減少しており、広告主の間で不安が広がっているという。

 新型コロナウイルスの感染拡大以前から、この時期の東京での大会開催には、暑さの面から異論や疑義がありました。しかし、莫大な放送権料をIOCに支払うNBCの意向であるとされていました。ふたを開けてみれば、視聴者数がリオ五輪から激減のありさまです。時期をずらして例えば1964年大会と同じく10月としていれば、少なくとも熱中症のリスクは減っていたはずです。

■「医療崩壊」
 8月2日午後には、新型コロナウイルス対策をめぐるこんなニュースもありました。政府が、肺炎などの症状がある中等症について重症化リスクが高い人を除き、自宅療養とすることを決めたとのことです。

※共同通信「政府、肺炎など中等症も自宅療養 原則入院を転換、重症者に限定」=2021年8月2日
 https://nordot.app/794881306802929664

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 「入院対象を重症者などに厳格化し限られた病床を効率的に使うのが目的」としていますが、中等症とは酸素吸入が必要なレベルとされます。そんな病状でも入院できないのは、医療ひっ迫を越えて「医療崩壊」に入りつつあるのではないかと感じます。新聞各紙は3日付朝刊で、どのように位置付けて報じるのでしょうか。

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 以下、2日付在京各紙の1面記事の記録です
▼朝日新聞
①「米軍撤退の裏 取り残されて/アフガン通訳 退避進まず/タリバーン『敵の協力者』」
②「多様な性 問いかける/女性に性別変更の選手 きょう出場」
③「萱『銅』 あん馬17年ぶり」
▼毎日新聞
①「40~50代 重症化急増/感染力強力 デルタ株まん延/進まぬワクチン接種影響」
②「萱、あん馬銅/ゴルフ松山 メダル逃す」/「池江『パリでもっと強く』 競技終了」
▼読売新聞
①「首都圏3県・大阪 発令/全域で酒提供停止 緊急事態/計6都府県 月末まで」「インド型拡大『局面が変化』厚労相」
②「萱あん馬『銅』」「並木メダル確定 ボクシング」「文田『銀』以上 レスリング」
③「国軍トップ 首相に/暫定政府発足 統治強化 ミャンマー」
▼日経新聞
①「マネーと経済 切れた連動/金対比 ドル50年で98%下落」通貨漂流 ニクソン・ショック50年(1)
②「銀行、顔認証で入出金/りぞなやパナソニック 決済の基盤にも」
③「緊急事態、4府県追加/きょうから 酒提供を一律禁止」
④「配当総額伸びた企業 独自市場で稼ぐ ホロンは3年で4.7倍」
▼産経新聞
①「陸自 初の海外直接降下/米と共同訓練 離島防衛を想定/空挺団、横田からグアムへ」
②「知事会『帰省中止を』/緊急事態 6都府県に拡大」
③「『最速』ヤコブス 男子100、イタリア初/萱『銅』体操男子あん馬」
※「国益無視のエネ計画案」美しき勁き国へ 櫻井よしこ
▼東京新聞
①「一斉休校の傷痕 今も/ひとり親働けず 1年無収入 再就職月給6万円/支援策一時しのぎ 夏休み 子どもの食事懸念」民なくして 2021年夏
②「都市封鎖の検討 提言/知事会『旅行・帰省中止を』/緊急事態 6都府県に拡大」五輪リスク