地方自治の視座から、政府に転換求める地方紙~名護市長選に対する地方紙、ブロック紙の社説、論説

 沖縄県名護市長選の結果に対する新聞各紙の扱いの続きです。地方紙・ブロック紙の社説も、各紙の自社サイトで確認できるもののみですが、チェックしました。
 この選挙結果をもって、辺野古新基地の建設推進を地元の民意が容認したとは言えない、との点が各紙とも共通しています。また、民意を顧みずに新基地建設を進めようとする日本政府への批判も目立ちます。中でも、信濃毎日新聞が「安全保障政策の影響は全国に及ぶ。密室同然で方針を決める政府に説明責任を求め、地方自治をないがしろにするやり口に各地から転換を迫る必要がある」と指摘している点は、「中央政府対地方自治」の視点で、辺野古新基地と沖縄の基地負担の問題をとらえる視座であり、地方紙ならではの切り口だと感じます。
 以下に、各紙の社説、論説の見出しを書きとめ、リンクを張っておきます。いくつかの社説は、本文の一部を書きとめておきます。

【1月25日付】
▼北海道新聞「名護市長選 辺野古容認と言えない」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/637338?rct=c_editorial

▼東京新聞「名護市長再選 『辺野古容認』は早計だ」
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/156219?rct=editorial

▼信濃毎日新聞「名護市長選 民意を奪う手口あらわに」
 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022012400894

 辺野古の埋め立て承認を県が取り消し、撤回しても、政府は法制度を乱用してねじ伏せた。県からの対話要請や条件提示にも応じない。玉城県政に意趣返しするように、来年度予算案から沖縄振興費を削減してもいる。
 過去の選挙結果は一顧だにされず、法廷でも敗訴が続く。呼応する全国の声も響かない。諦めや無力感が沖縄を覆い、基地問題への不安や不満の表出を妨げているのなら、ゆるがせにできない。
 安全保障政策の影響は全国に及ぶ。密室同然で方針を決める政府に説明責任を求め、地方自治をないがしろにするやり口に各地から転換を迫る必要がある。

▼京都新聞「沖縄の民意 『移設是認』とは言えぬ」
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/718343

▼山陰中央新報0125「沖縄・名護市長選 基地黙認の意味は…」
 https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/154449

▼西日本新聞0125「名護市長選 基地『黙認』迫られた住民」
 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/866620/

 米軍基地移設と子育て支援は本来、直接の関係はない。これを事実上セットにして「基地を黙認すれば、生活が楽になり、反対すれば苦しくなる」という構図で国策の受け入れを迫るのだとすれば、地元住民にとって実に理不尽なことだろう。
 このように交付金を使う「アメとムチ」の手法は沖縄に限らない。全国の基地や原発が立地する自治体などでも見られる。国策のひずみを財政力の弱い地方に強引に押し付けるものだ。

【1月26日付】
▼神戸新聞「名護市長選/基地移設の容認ではない」
 https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202201/0015011364.shtml

ただ、生活が厳しい中でも、移設反対を掲げて「交付金に頼らない」と訴えた岸本氏を、投票者の4割以上が支持した。政府はその民意を重く受け止めるべきだ。
(中略)
「基地問題か、経済か」の選択を迫り、市民を分断する国の手法は強権的と言うしかない。
市長選前に共同通信社が行った世論調査では、岸本氏支持層の9割、渡具知氏支持層の5割が、基地移設に反対する玉城県政を評価した。渡具知氏自身も「市民に反対が多いのは変わらない」と認めている。「移設中止も、地域振興も」と望むことは、沖縄では許されないのか。