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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

「反対」が「賛成」上回る(JNN調査)、「評価」逆転(NHK調査)~ 国葬に民意の多数の支持はない ※追記:読売調査も「世論が二分」

 先週末に実施された2件の世論調査の結果が報じられています。NHKが8月5~7日に実施した調査と、JNN(TBS系列)が8月6、7日に実施した調査です。2件の調査とも、安倍晋三元首相の国葬に対しては、否定的な回答が肯定的な回答を上回りました。うちNHKの調査では、肯定的な回答の方が多かった前回調査と逆転しています。旧統一教会と政治の関係についても、非常に厳しい結果が出ています。
 NHKの調査では、岸田文雄内閣の支持率は3週間前の前回調査から13ポイントも急落しました。岸田首相は、安倍元首相の国葬を押し通そうとする一方で、旧統一教会と自民党の関わりについては、きちんとした調査を行うこともないままです。そうした点が支持率の急落に結び付いているように感じます。岸田首相は8月10日に内閣改造を行いますが、国葬や旧統一教会の問題をそのままにしておいて、支持が回復するかは疑問です。特に国葬はこれだけ民意から支持されていないのが明らかなのに、なぜ強行するのか。これでは安倍政治の手法そのままです。
 以下に、二つの世論調査の結果のうち、国葬と旧統一教会に関するものを書きとめておきます。いずれも詳しい質問文は分かりません。

【安倍元首相の国葬】
▼NHK
 政府が来月27日に安倍元総理大臣の「国葬」を行うことへの評価
「評価する」 36%
「評価しない」50%
▼JNN
「賛成」42%
「反対」45%

【旧統一教会と政治との関係について】
▼NHK
政党や国会議員が十分説明しているかどうか
「十分説明している」 4%
「説明が足りない」 82%
▼JNN
・政治家が旧統一教会や関連団体との関係を断つ必要があるか
 「必要がある」77%
 「必要はない」15%
・旧統一教会との関係について、各政党が党や党所属の議員を調査する必要があるか
 「必要がある」76%
 「必要はない」17%
・旧統一教会と政治の繋がりについて、国会での審議を通じて実態解明をする必要があるか
 「必要がある」72%
 「必要はない」21%

 安倍元首相の国葬について、「賛成」か「反対」かを尋ねた世論調査は、7月末の共同通信、日経新聞・テレビ東京に続いてJNNが3件目です。いずれも「反対」が「賛成」を上回っており、共同通信調査では「反対」「どちらかといえば反対」の合計は53%と過半数でした。

news-worker.hatenablog.com

 NHKの前回調査(7月16~18日実施)では、安倍元首相の葬儀を「国葬」として今年秋に行う政府の方針に対して、「評価する」49%、「評価しない」38%でした。今回は質問が異なるようですので、単純な比較はできませんが、肯定的な見方と否定的な見方が逆転しています。
 なお、私見ですが、「評価するか、評価しないか」と「賛成か、反対か」とは似て異なる尋ね方です。国葬には法的な根拠がなく、また費用を全額国費で賄うことは、弔意の強制の意味合いを帯びています。憲法違反の疑いが濃厚です。そうした国葬を強行することは、それ自体が違法、違憲の疑いがあり、とても「評価」の対象にしていいものではありません。国葬に賛成か、反対かを尋ねるのが適切だと思います。

※追記 2022年8月9日8時45分
 読売新聞が8月5~7日に実施した世論調査の結果が報じられています。安倍元首相の国葬への「評価」について、読売の記事は「世論が二分」としています。岸田内閣の支持率は、参院選直後の前回調査(7月11、12日実施)から8ポイント急落の57%、不支持率は8ポイント増の32%でした。政党支持率でも自民党の38%は前回から6ポイント減です。

◆政府は、安倍晋三・元首相の国葬の実施を決めました。この決定を、評価しますか、評価しませんか。
・評価する  49%
・評価しない 46%
・答えない   5%

◆自民党などの複数の国会議員が、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)から、選挙での支援や寄付を受けていたことを明らかにしました。政党や国会議員は、旧統一教会とのつながりについて、説明責任を果たしていると思いますか、思いませんか。
・思う    8%
・思わない 87%
・答えない  5%