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安倍元首相の国葬、旧統一教会との関係で急落した岸田内閣と自民党の支持率~内閣改造後の共同、読売両調査から

 8月10日に岸田文雄首相が内閣改造を行ったことに対し、共同通信と読売新聞がそれぞれ10~11日に実施した世論調査の結果が報じられています。内閣支持率は共同通信調査が54.1%で、前回7月30、31日の調査から3.1ポイント増、読売新聞調査は51%で、前回8月5~7日調査から6ポイント減でした。
 時間軸をそろえて傾向を見るために、自民党が大勝した参院選直後の調査(7月11、12日実施)の結果と比較してみました。以下の通りです。 

  7月11、12日 8月10、11日  
共同通信調査   63.2%   54.1% 9.1P減
読売新聞調査   65%   51% 14P減

※Pはポイント
 参院選から約1カ月で10ポイント前後も急落しています。自民党の支持率も、以下のように下がっています。

  7月11、12日 8月10、11日  
共同通信調査   46.1%   40.6% 5.5P減
読売新聞調査   44%   35% 9P減

 参院選で大勝したのにもかかわらず、岸田内閣の支持率、自民党の支持率がそろって下がっている要因は、参院選後に噴き出してきた事情、つまりは旧統一教会(「世界平和統一家庭連合」)と自民党との関係と、安倍晋三元首相の国葬を強行しようとしていることの二つだとみていいと思います。
 以下は、8月10、11日の共同と読売の調査のうち、旧統一協会に関連した質問と回答の状況です。

■読売新聞

・岸田首相は、今回の人事で、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との関係を、新しい閣僚や党役員が自ら点検し、見直すことを求めました。こうした対応は、十分だと思いますか、思いませんか。
思う 36%
思わない 55%
答えない 10%

■共同通信

・宗教団体の「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と自民党の国会議員との間で、選挙支援などの関わりが次々と判明しています。あなたは、自民党や党所属の議員が十分に説明していると思いますか、説明が不足していると思いますか。        
 十分に説明している  6・9%
 説明が不足している  89・5%
・あなたは、政治家が旧統一教会や関連団体と関係を絶つべきだと思いますか、関係を絶つ必要はないと思いますか。
 関係を絶つべきだ 84・7%
 関係を絶つ必要はない 12・8%

 共同通信の調査では、安倍元首相の国葬についても尋ねています。

・政府は、安倍晋三元首相の葬儀を、全額国の費用で賄う国葬として実施すると決めました。岸田首相は、敬意と弔意を国全体として表す国の公式行事として開催するのは適切だとしています。あなたは、首相の説明に納得できますか、納得できませんか。
 納得できる 42・5%
 納得できない 56・0%

 安倍元首相の国葬について、これまでのマスメディア各社の世論調査では、肯定的な回答が過半数に達した例はありません。肯定的な回答と否定的な回答はよくて拮抗。調査によっては否定的な回答が過半数を占める状況が続いています。
 国葬の意味合いを、故人の遺徳を、国を挙げてたたえ、しのぶ機会だと考えるなら、国葬を巡って社会が二分されている状況それ自体が、国葬実施の大前提を欠いています。そもそも法的な根拠を欠いている国葬は違法、違憲の疑いが濃厚です。中止すべきです。