なぜ橋下徹氏はこんなに潔いのか

 大阪市橋下徹市長の宿願だった「大阪都構想」の賛否を問う大阪市住民投票は17日、即日開票の結果、賛成69万4844票、反対70万5585票で否決されました。投票率は66・83%でした。
※「『大阪都構想』否決 橋下氏、政界引退を表明」(47news=共同通信

 大阪市を廃止し、五つの特別区を新設する「大阪都構想」への賛否を問う住民投票が17日投開票され、反対70万5585票、賛成69万4844票のわずか1万741票差で否決された。大阪維新の会代表の橋下徹市長は市内で記者会見し、12月までの市長任期を全うした上で政界を引退する意向をあらためて表明した。
 維新の党の江田憲司代表ら執行部も18日未明、総退陣を表明した。野党再編や、維新の党との連携を見据えていた安倍晋三首相の改憲戦略にも影響しそうだ。
 投票率は66・83%で、大阪府知事選とのダブル選となった2011年の市長選の60・92%を5・91ポイント上回った。

 さしあたっての感想です。とりあえず感じることをいくつか、書きとめておきます。
 橋下氏は12月までの市長任期をもって政治家を引退するとのことですが、本当に「大阪都」が必要と信じて疑わないのであれば、何度でも実現を目指すという道の取り方、選び方もあるように思います。ましてや住民投票の結果は僅差です。なぜそうしないのか。以前、このブログで書いたことですが、わたしは橋下氏にとって政治や「大阪都構想」は「自分探し」だったのではないか、との仮説を持っています。
 ※参考過去記事「『背を向ける有権者』『怒る無効票の山』『勝者不在 続く混迷』〜橋下氏再選を伝える在阪紙の紙面」2014年3月25日
  http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20140325/1395711606
 政治家になって何をしたい、あれをしたい、これをやりたい、というコアがないままに人気先行で大阪府知事になり、そして「さあ、何をやろうか」となった時に目についたのが統治機構論、つまり大阪都構想だったのではないか、との仮説です。今回の政治家引退の「潔さ」は、この仮説の裏付けの一つになるのではないかと感じます。
 一方で橋下氏は随所で、意見が異なる相手と対話を尽くすというよりは「民意がすべて」「選挙で選ばれた自分が正しい」という理屈でねじ伏せるような手法を取ってきました。だから、住民投票で負けた以上は自分は退場する、という潔さを示しているのかもしれません。そうであっても「大阪都」が必要と信じてやまないのであれば、自らは退くけれどもその後のことを誰かに託す、なおあきらめずに実現をめざす政治運動を残す、というやり方もあるだろうとも思います。大阪市長の任期いっぱい、橋下氏の言動に注目したいと思います。
 もう一つ思うのは、教職員に式典での日の丸掲揚、君が代の起立斉唱を義務付けた条例のように、橋下氏と大阪維新の会大阪府大阪市で作った、公務員へ過剰とも思える規律を要求するいくつかの条例のことです。橋下氏の行政手腕の特徴の一つは、職員組合との徹底的な対決路線でした。そこから日の丸君が代条例などが生まれたのですが、一方で職員組合をめぐって職員に実施したアンケートが不当労働行為と認定されるなど、行き過ぎも明確に指摘されています。仮に大阪市長の任期満了で引退するとして、橋下政治が終わってもこれらの条例は残ったまま、ということになるのかどうか、気になります。


 住民投票の結果は東京発行の新聞各紙も18日付朝刊の1面トップでそろいました。