ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

疑問、異論を受け付けないのなら「広報」ではなく「宣伝」「プロパガンダ」~軍拡と同時に「国策宣伝」強化が進む危うさ

 2027年度予算の概算要求で、内閣広報室が前年26年度の10倍に当たる72億円を計上しました。近年は4~7億円で推移しています。木原稔官房長官は記者会見で「動画やAI(人工知能)の活用など情報収集の方法は変化している」「従来のやり方で幅広い世代の方々に十分な情報を届けることは困難だ」と、改革の必要性を訴えたと報じられています。

※共同通信「内閣広報、情報発信に予算10倍 『政権宣伝へ税金投入』と批判も」=2026年9月20日
 https://news.jp/i/1474303972632134241?c=39550187727945729 

news.jp

 内閣広報室だけでなく、内閣府の政府広報経費の増額要求も報じられています。26年度当初予算の約79億円から約280億円への増額です。
 「幅広い世代の方々に十分な情報を届ける」ということ自体には、異論は多くはないと思います。しかし、その具体的な内容と方法はよく見ておくべきです。高市政権では、高市首相自身が自分のXアカウントでしばしば長文を投稿しています。コメントに返信はありません。一方通行です。その一方で、記者会見は頻度自体が石破前首相や岸田元首相と比べても大幅に少ない上に、記者からの質問も制限が目に付きます。「全社で1問だけ」ということもありました。
 内閣広報官もXのアカウントを運用しています。しばしば、疑問を感じます。最近の例を一つだけ挙げると、9月20日の以下の投稿です。

 「再び、先日の内閣改造の際の写真です」として写真4枚をアップロードしています。いずれもモノクロなのですが、1枚だけ、首相官邸の赤じゅうたんの赤色だけをカラーにしています。写真の改変です。実際に目にすることがない情景であり、ジャーナリズムであればそのまま使うことは許されません。新聞でもコラージュを掲載したりすることはありますが、そのことを明記するのがルールです。

【写真出典】内閣広報官のXアカウント

https://x.com/PressSec_JP/status/2101632978007085419

内閣広報官(色々投稿試し中) on X: "再び、先日の内閣改造の際の写真です" / X

 政府が写真を改変してそれをそのまま発信することが既に行われている。しかも内閣広報官のこのアカウントはコメントを受け付けていません。「この写真はおかしいのではないのか」などの異論は受け付けないということです。政権の主張を一方的に発するだけなら、広報と言うよりも「宣伝」「プロパガンダ」との呼び方が適切だろうと思います。

 この現状で「広報」の名目の予算が大幅に増えれば何が起こるのか。まさにマスメディアのジャーナリズムが監視しなければならない対象です。

 日本の敗戦から80年だった昨年、東京・九段の「昭和館」で特別企画展「社会を映す、動かす-ポスターにあらわれる国策宣伝の姿-」が開催されました。かつて、国策宣伝は戦争と直結していました。新聞もその一角を担っていたことがあらためてよく分かる展示でした。歴史の教訓です。
※参考過去記事

news-worker.hatenablog.com

 軍拡を押し進め、「継戦能力」の強化、スパイ防止法の整備、その先の憲法改正などに躍起の高市政権が目指すのは、戦争遂行が可能な社会体制づくりと考えざるを得ません。広報予算の大幅な増額も「国策宣伝」の強化ととらえれば、高市首相にとっては絶対に欠かすことができないことです。
 歴史の教訓は、戦争遂行が可能な社会はいずれ自由な報道を抑圧する、自由な報道とは両立しない、ということです。

【追記】2026年9月30日7時45分
 記録の意味で書きとめておきます。
 内閣広報官のXアカウントを巡ってもう一つ、疑問に感じる投稿があります。ネット上でも疑問、批判を目にします。
 9月26日夜の投稿。「トランプ大統領との日米首脳電話会談が先ほど始まりました。(写真は今週ニューヨークでの首脳会談時のもの)」との文面と、2枚の写真を掛け合わせた写真を投稿しています。

 https://x.com/PressSec_JP/status/2103817473514738166

 高市首相とトランプ大統領が笑顔で向き合っている構図。日米首脳会談の一コマだと受け取ってしまうかもしれません。笑顔で向き合うシーンが本当にあったのなら、2人を1枚に収めた写真を使えばいいのに、なぜ2枚掛け合わせなのか。
 ネット上では、首脳会談の冒頭の動画を見た人たちから、2人が笑顔で向き合うシーンはなかった、高市首相が笑顔で視線を向けても、トランプ大統領は視線を合わせていない、などの内容の指摘が挙がっています。
 わたしも動画を見てみました。実際に笑顔で視線を合わせたシーンが皆無だったかは、断定は控えたいと思います。それでも、2人を収めた1枚の写真ではなく、わざわざ2枚の写真を掛け合わせて一つの情景のように受け取らせる手法を意図的に取ったのだとすれば、広報の体裁であっても、2人の親密ぶりを強調するための政治的な宣伝、プロパガンダです。実際には、高市首相が「ドナルド」と呼びかけているのにトランプ大統領は一度もファーストネームでは呼んでいないことが指摘されています。2人の「非対称」が際立っています。
 内閣広報官の別の投稿を見ると、切り貼り写真のトランプ大統領の表情と酷似した表情のシーンがあります。連続したシーンのようにも思えます。その投稿では、笑顔の先は高市首相ではなく茂木外相です。

 

 

沖縄県と日本政府の「非対等」、日本本土との「民意の非対称」~沖縄知事選、本土紙の社説、論説の記録

 9月13日の沖縄県知事選の結果を、日本本土の新聞各紙がどのように報じたか。ネット上の各紙のサイト(デジタル版)で読むことができた社説、論説を記録しておきます。
 13日は日本本土の各紙は休刊日のため、14日付の新聞紙面の発行はありませんでした。社説、論説は紙面掲載を前提にしていますので、選挙から2日後の15日付朝刊用、デジタル版では14日夜から15日朝の更新でした。

 全国紙5紙の見出しは以下の通りです。
 ■朝日新聞「沖縄県知事選 苦渋の民意が示す重み」
 ■毎日新聞「沖縄に自民系知事 複雑な民意向き合わねば」
 ■読売新聞「沖縄県知事選 『基地反対ありき』からの転換」
 ■日経新聞「沖縄の期待は負担の軽減だ」
 ■産経新聞「沖縄知事に古謝氏 命と生活守る県政推進を」

 沖縄への基地の過剰な集中と、米軍普天間飛行場の返還、辺野古への新基地建設の問題は選挙戦で直接の争点にはなかったとはいえ、やはり各紙とも中心的な論点としています。
 朝日新聞と毎日新聞は見出しの通りで、基地の過剰な負担を沖縄の民意が是としているわけではないことに力点があるように感じました。
 一方で読売新聞、産経新聞は辺野古新基地建設の推進を求める論調が顕著です。読売新聞の社説には「辺野古移設は米軍の抑止力を維持する上で、現実的な唯一の選択肢である」と、日本政府を代弁するような表現があります。
 産経新聞の本文には「沖縄は防衛の最前線になった」との、かなり強い表現があります。住民の生命を守るためとして、有事の際の南西諸島住民の九州への避難、沖縄本島での地下シェルター整備が必要と強調しています。アジア太平洋戦争末期には、沖縄からの疎開船が米潜水艦の魚雷攻撃で撃沈され1484人が犠牲になった「対馬丸事件」がありました。そうした歴史の教訓が頭に浮かびます。抑止力で平和を守るとの発想は、現実は有事に備えるということになり、その先は「戦争も辞さない」との発想まで一直線に進みかねないと感じます。
 日経新聞も辺野古新基地建設を推進の立場と読めますが、同時に沖縄の負担軽減を重視しています。読売や産経とは違った姿勢を感じました。

 ブロック紙、地方紙の社説、論説では、「国と地方」「政府と自治体」の問題意識を感じる内容のものが目立ちます。地方では新聞もそれぞれに当事性であり、その点が全国紙と大きく異なる点です。特に辺野古の新基地建設を巡っては、国と自治体は対等なはずなのに、司法の場も含めて、自治体の異議は封じ込められた経緯があります。知事選に勝利した古謝氏に対して、政府に毅然と向き合うよう求める内容の社説、論説もいくつか目につきました。「国と自治体は本来対等」との問題意識を沖縄の地元紙と共有しているとも感じます。
 辺野古の新基地建設の推移を振り返れば、日本国と沖縄県の関係は非対称です。この「非対称」は、沖縄の基地の過剰負担をめぐる日本本土と沖縄の関係の本質だと考えています。「非対称」は民意にもあります。沖縄に過剰な基地負担を強いているのは、直接的には日本政府ですが、その政府、政権は民主主義の手続きを経て成り立っています。だから日本政府の行為は、原理的には日本国の主権者の総意に基づくことになります。個々の主権者が政府、政権を支持するか否かとは別の問題です。日本本土に住む主権者は、沖縄に過剰な基地負担を強いている加害行為に対して、当事者性を免れ得ません。そこに「民意の非対称」があります。
 選挙期間中にとりわけ現職の玉城デニー知事に、SNSで本土からすさまじい勢いでデマや誹謗中傷が向けられたことは、日本本土と沖縄の「民意の非対称」が、これ以上はないグロテスクな態様で発露したものだと、わたしは受け止めています。
 日本本土の新聞各紙も大半は、選挙期間中のデマや誹謗中傷を深刻に受け止めています。ただ、日本本土の選挙とは異なる構造にいっそう留意する必要があると思います。

 以下に、各紙の電子版で全文が読める社説、論説の見出しと本文の一部を書きとめておきます。

【全国紙】
■朝日新聞「沖縄県知事選 苦渋の民意が示す重み」
 https://www.asahi.com/articles/DA3S16546449.html

 焦点は経済だったが、辺野古移設に反対の県民はなお多い。基地負担や軍備強化への不安を抱えながら、苦渋の選択で一票を投じたと見るべきで、古謝氏も高市政権も重く受け止める必要がある。
(中略)
 米軍関係者による事件・事故や基地に由来する環境汚染など、米軍基地をめぐる問題はさまざまある。古謝氏に求められるのは、政府の方針にただ従うのではなく、多様な県民の声に耳を傾け、国に是正を求めることだ。政府も強権的な手法はやめ、本当に実現可能な計画なのかという疑問に正面から答えるべきだ。

■毎日新聞「沖縄に自民系知事 複雑な民意向き合わねば」/辺野古容認とは言えぬ/基地負担軽減は急務だ
 https://mainichi.jp/articles/20260915/ddm/005/070/168000c

 毎日新聞などの投票行動調査では、45%が移設に「賛成・容認」と答えた。一方、「反対」は30%、「どちらともいえない」も25%に上った。
 移設に反対しても工事を止めることは難しい。国との対立がさらに深まれば、経済振興への影響も懸念される。そうした無力感やジレンマを抱えながら投票した人も少なくなかっただろう。
 政府は、こうした複雑な県民感情に向き合う必要がある。

■読売新聞「沖縄県知事選 『基地反対ありき』からの転換」
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20260914-GYT1T00336/

 訴訟は昨年までにすべて決着して県の主張は退けられた。県民の間にも辺野古移設を容認する声が増えている。それなのに国との対立を続ける玉城氏に対し、有権者が疑問を抱いたのではないか。
 さらに、3月に辺野古沖で船が転覆し、高校生を含む2人が死亡した事故も打撃となった。辺野古移設に反対し、玉城氏を支援する団体が使っていた船だったことで強い批判を招いた。
 辺野古移設への反対に固執してきた、玉城氏の手法が行き詰まっていたことは明らかだ。
 辺野古移設は米軍の抑止力を維持する上で、現実的な唯一の選択肢である。政府は2030年代半ばに移設を実現するよう、着実に工事を進めねばならない。

■日経新聞「沖縄の期待は負担の軽減だ」
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK144510U6A910C2000000/

 沖縄でも中国の脅威に直面する地政学的な観点から米軍駐留はやむをえないと考える人は少なくない。だがそれに伴う物理的、精神的な負担が沖縄に偏るのは耐えがたい。割り切りたくても割り切れない複雑な思いに寄り添わなければ県民の協力は得られず、再び反基地の機運を招きかねない。
 当選した古謝氏が有事に自衛隊が空港や港湾を使うのを容認する一方、普天間基地の返還期日の明確化を求めるのも県民感情の表れだ。政府は南西シフトで沖縄の自衛隊を強化しているが、これはある意味で米軍の肩代わりである。自衛隊の増強を米軍基地の削減につなげる道を探りたい。

■産経新聞「沖縄知事に古謝氏 命と生活守る県政推進を」
 https://www.sankei.com/article/20260915-FUUCMQDIHVOODL66T3WVSCFCLU/

 県民の命を守るには、辺野古移設を容認するだけでは十分でない。沖縄は防衛の最前線になった。新知事は国民保護法に基づく施策を推進する責務がある。国は、有事に石垣市など先島諸島の住民ら12万人を九州などへ避難させる計画だ。先島諸島では地下シェルター(避難施設)建設も始まっている。だが、遠距離からのドローン(無人機)攻撃がロシアのウクライナ侵略などで常態化している点に鑑みれば、沖縄本島での地下への避難施設整備も必要だ。
 中国共産党政権は、SNSやメディアを利用して、沖縄を本土から分断しようと認知戦をしかけている。玉城氏は傍観していたが、新知事は的確に反論するなど対応してもらいたい。

【ブロック紙・地方紙】
■中日新聞・東京新聞「沖縄県に新知事 基地負担軽減を着実に」
 https://www.chunichi.co.jp/article/1311272

 沖縄県民が知事選や県民投票で辺野古での新基地建設に重ねて反対の民意を示しても、政府は「辺野古が唯一の解決策」との立場に固執。新基地建設が既成事実化する現実を前に、県民に「疲れ」や「諦め」が広がり、新基地問題よりも経済政策を重視して投票したというのが実情だろう。
 (中略)
 政府は台湾有事の可能性も念頭に、南西諸島への自衛隊配備を強化する「南西シフト」を進める。米軍との連携強化により抑止力、対処力を向上するともしており、多くの米軍・自衛隊基地を抱える沖縄の負担は増す一方だ。
 基地負担軽減は古謝氏も訴える沖縄県民の切実な願いである。政権が推す候補が勝利したからといって、さらなる負担を強いていいわけではない。高市政権には県民との対話を深め、基地負担軽減を着実に進めるよう求めたい。

■北海道新聞「沖縄県知事選 国は基地の現実直視を」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1370528/

 玉城氏は辺野古移設を阻止する国との法廷闘争で全て敗訴し、手詰まりに陥っていた。選挙結果は移設問題への関心低下や諦めが背景にあるとみられる。
 政府は米軍の抑止力維持を盾に、玉城県政の移設反対の主張に耳を傾けてこなかった。司法も安全保障は国の専管事項とする考えの下で県の訴えを事実上門前払いにした。沖縄の異議申し立てを国家権力を挙げてねじ伏せた結果の「諦め」だろう。
 古謝氏は普天間返還期日の明確化を政府に求める考えだ。軟弱地盤に阻まれ難航する辺野古移設工事の完成を前提としていては返還が見通せない。政府は普天間返還を、辺野古工事と切り離して一日も早く実現させるよう米側に求めねばならない。

■西日本新聞「沖縄に新知事 政府に物申す姿勢を貫け」
 https://www.nishinippon.co.jp/item/1537988/

 古謝氏の当選で新基地建設が順調に進展するわけではない。難工事によって1兆円近い総事業費はさらに膨らむとみられ、政府は完成時期をはっきりと示せない。米軍は緊急時に使用する長い滑走路も求めている。普天間返還の実現さえ不透明なままだ。
 政府は台湾有事を念頭に、南西諸島で自衛隊のミサイル基地などを整備する南西シフトを急速に進めている。県民は攻撃の標的になることを懸念している。
 米軍基地が集中する沖縄では、米兵が起こす事件事故が多発し、基地の騒音や水質汚染も県民生活に深刻な被害をもたらしてきた。
 知事は県民の生命と安全を守るリーダーである。選挙で政府、与党の支援を受けたとしても、決然と物申す姿勢を貫かなくてはならない。

■東奥日報「対立避け普天間返還図れ/沖縄知事選」
 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/2362382

 玉城氏は辺野古工事を止める一連の法廷闘争に敗れ、大敗を喫した。3月に移設反対派が関わった辺野古沖の船転覆事故で若い命が奪われたことも響いた。ただ交流サイト(SNS)で玉城氏らへの中傷が飛び交ったのは残念だ。分断を深めるべきではない。
 国会の野党多弱化で政権批判は勢いをそがれた。結果として沖縄の世論は基地問題より生活を重視した。米施政からの返還後に生まれた初の知事選出で、沖縄を巡る政治状況は転換点を迎える。
 (中略)
 中国の海洋進出を受け、政府は沖縄など南西諸島の防衛強化を急ぐ。在日米軍専用施設の7割が国土面積の1%に満たない沖縄に偏る現状は理不尽だ。太平洋戦争末期の地上戦で、沖縄は列島防衛の「捨て石」となる惨禍に見舞われた。同盟強化の名の下に、国は同じ轍(てつ)を踏んではならない。

■新潟日報「沖縄新知事 基地負担の軽減も全力で」
 https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/906670

 今回の選挙結果は物価高の中で、県民の関心が米軍基地問題よりも足元の生活支援策に傾いたとの見方ができるだろう。
 県民は知事選などで幾度も「辺野古ノー」の意思を示してきたが、国は移設工事を止めなかった。県民の疲弊や諦めが結果として古謝氏を後押ししたとも言えよう。
 政府は古謝氏の当選を受け、経済振興に前向きだ。27年度の沖縄振興予算について、県が求めてきた3千億円超に増やす方向で調整に入った。
 移設に反対する玉城氏の県政下では、22年度から当初予算で2600億円台が続いた。安全保障と振興予算を関連付ける「アメとムチ」の手法は看過できない。

■信濃毎日新聞「沖縄の県政転換 国との対等な関係こそ」
 https://www.shinmai.co.jp/news/article/gf01dajtipu29c62qgihp8ag

 沖縄には国内の米軍専用施設の7割が集中している。30年前、日米が普天間返還に合意したのは、過重な基地負担の軽減のためだ。ところが、米軍が求める基地機能の移転先は、米側と国の意向で、県内の辺野古になった。
 これに対し、保守系の故翁長雄志氏から玉城氏まで直近3度の知事選で、県民は反対の意思を示してきた。2019年の県民投票でも7割超が反対した。
 それでも国は計画を進め、本来は移設問題と関係のない沖縄振興予算のさじ加減でも揺さぶった。国政選や市長選などで反対派候補は敗退するようになった。
 「沖縄を前へ」と訴えた古謝氏は政府と協調して辺野古移設を進めるという。振興費の増額と引き換えに、国と県との対立はひとまず解消される。だが、基地負担問題の解決は見通せない。

■京都新聞「沖縄で県政転換 国は痛みに向き合う対話を」
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1790733

 ただ、米軍基地の過重負担や深刻な事件・事故の被害に苦しみ続ける沖縄の声に耳を傾けず、国策を力押ししてきた政府の姿勢を、県民が全面的に認めたとは言えまい。
 古謝氏は選挙中、基地問題では政権と一線を引く考えをにじませ、当選後、普天間の返還期日の明確化や基地負担軽減を求める姿勢を表明した。
 新知事のもとで政府は対話に向き直り、沖縄の分断が修復される道を探るべきである。
 (中略)
 政府は早速、振興予算を増額させる方針だが、「アメとムチ」で沖縄と本土の溝を深めてきた轍(てつ)を踏んではならない。
 「唯一の解決策」と言うだけでなく、米軍専用施設の7割が集中する沖縄の痛みを直視し、米との協議に手を尽くす姿勢を求める。

■神戸新聞「沖縄県知事選/県民の分断招かぬように」
 https://www.kobe-np.co.jp/opinion/202609/0020820073.shtml

 今回の選挙では、米軍基地問題よりも、古謝氏が強調した経済活性化に有権者が関心を寄せたとされる。だが県民は、米軍統治時代から「基地のない平和の島」を求めてきた。米兵による凶悪事件や事故が後を絶たず、基地への反発は根強い。観光業など第3次産業に依存するいびつな産業構造も、元々は基地の集中に由来する。経済の自立のためにも、古謝氏には基地の整理縮小に向けた具体的な取り組みが求められる。
 普天間の早期返還には辺野古移設が必要と古謝氏は主張した。ただ、辺野古沖の軟弱地盤改良は前例のない難工事で、完了は不可能との指摘がある。米側が返還条件とする辺野古より長い代替滑走路も定まっていない。古謝氏にはこうした課題についての見解を示す責任がある。

■山陽新聞「沖縄県知事選 基地負担軽減を忘れるな」
 https://www.sanyonews.jp/article/1988640

 とはいえ、辺野古反対の民意は依然として根強く残ることは忘れてはならない。政府は全国の米軍専用施設の7割が集中する基地負担の軽減を進めねばならない。
 この4年の間に県は国との法廷闘争にことごとく敗訴し、工事を止める手段はほぼなくなった。県民の間には「反対しても工事は止められない」といった諦めムードや、対立疲れが広がったとの深刻な見方もある。
 高市早苗首相は知事選を「政権基盤を占う選挙」と位置づけ、古謝氏を全面的に支援した。結果を受けて首相は「経済成長を求める県民の意思が反映されたのではないか。沖縄経済を強くするため力を尽くしたい」と話し、連携に意欲を示した。
 12年ぶりの保守県政となる古謝新知事の誕生に、県民が期待するのは国との円滑な意思疎通にほかならないだろう。県との真摯(しんし)な対話がこれまで以上に求められる。

■中国新聞「沖縄新知事に古謝氏 国と連携し基地負担軽減を」
 https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/894671

 高市早苗首相は、古謝氏の当選を受け「沖縄経済を強くするため、私も力を尽くしたい」と述べ、新知事に協力する考えを強調した。経済発展と引き換えに、防衛面での負担が増えないか懸念される。
 南西諸島では今、中国の海洋進出をにらんだ防衛施設の強化が進んでいる。先の大戦で深い傷を負った沖縄。既に過重な基地負担が強いられているのに、さらに積み増しされることは許されない。新知事は、基地負担の具体的な軽減策を示すよう政府に迫るべきだ。連携して、実現に努めることが求められる。

■高知新聞「【沖縄県知事選】基地負担軽減に力尽くせ」
 https://www.kochinews.co.jp/article/detail/1044020

 直近の選挙で3回連続で示された移設反対の意思を顧みない国の姿勢への反発は根強い。反対しても工事が止まらない状況への無力感が今回の投票行動に影響した可能性がある。そうした思いを県民に抱かせたのであれば責任は重い。
 軟弱地盤の改良は順調とは言えず、工期の遅れが指摘される。早くても36年以降とされる移設完了と普天間返還の時期確定にはなお時間がかかりそうだ。
 古謝氏は、普天間の最も早い返還には辺野古移設が必要と主張した。政府に対し、普天間の返還期日の明確化や基地負担軽減を求めた。
 (中略)
 沖縄は在日米軍専用施設の7割が集中し、米軍関連の事件事故が繰り返される。選挙結果から、基地に対する懸念や反発が下火になったと判断すれば状況を見誤る。対話を重ね、丁寧な対応が求められる。

 

「初の女性首相」の意義はどこに~政務3役の女性数は現状維持どころか減少

 高市早苗首相と政権を巡っては、自民党の歴代の首相と比べても復古主義と家父長制への回帰の志向が強いと感じます。女系・女性天皇への道を事実上閉ざした皇室典範の改正はその顕著な現れですし、夫婦別姓を巡ってもその法制化ではなく、旧姓の通称使用に熱心です。これも事実上、夫婦別姓の法制化を閉ざす方策です。そうした状況を見ていると忘れそうになるのですが、高市首相は「初の女性首相」です。昨年10月の政権発足時、東京発行の新聞各紙は1面に「初の女性」を大きな見出しで報じました。
 日本の政治家は男性ばかりの状況が変わらなければ政治も変わらない。だからこそ「初の女性首相」には大きなニュースバリューがありました。女性首相になって目に見える変化があるとすれば、閣僚や副大臣、政務官など内閣の政務スタッフに占める女性政治家の数です。しかし、女性閣僚は高市首相自身を含めても3人にとどまりました。副大臣、政務官を加えた政務3役でも、73人中11人。15%です。

【写真:2025年10月22日付 東京発行の新聞各紙の朝刊】

 集団の中でマイノリティの割合が3割を超えれば変化が始まると指摘されています。閣僚の人数19人に当てはめれば6人で3割超。3人はその半分でした。安倍政権や岸田政権の際に女性閣僚は最多で5人。その当時と比べても少ない。発足から時間を経れば、女性閣僚、副大臣、政務官は増えるのか。その観点で、9月17日の高市首相の内閣改造、続く18日の副大臣、政務官人事を見てみました。結果は、現状維持どころか減っています。
 昨秋の発足時と改造後の政務3役の女性数を比べると、首相を含む閣僚3人、副大臣2人は変わりませんが政務官は6人が4人になりました。3役ポストの総数は73人から1人増えて74人なのに、女性は11人が9人に減りました。

 閣僚の人選について高市首相は17日の記者会見では「端的に申し上げれば、『アンケートで提案された政策』や、『積極性と情熱』を見極め、『実行力重視』の人選といたしました」と述べています。「人物や能力優先」は結果として女性が登用されない場合もあるのかもしれませんが、そのまま女性を登用しないための口実にもなります。
 高市首相自身の復古主義と家父長制回帰の志向も合わせて考えると、高市首相は閣僚ら政務3役に女性を増やすことには関心がないように感じます。仮にそうであるなら、「初の女性首相」はただ事実としてそれだけのことであり、そこに社会の変革につながる意義は見出しがたいと思います。

 折しも今回の内閣改造にかぶるタイミングで、時事通信の興味深い記事が目にとまりました。世論調査の分析です。

■「『高市離れ』女性に顕著 内閣支持、7カ月で24ポイント弱減 ◆時事通信9月調査【解説委員室から】」
 https://www.jiji.com/jc/v8?id=20260918kaisetsuiin219&

 時事通信社の9月世論調査によると、高市早苗内閣の支持率は44.1%(前月比4.3ポイント減)と4カ月連続で減少し、発足後の最低を更新した。性別では、男性46.2%(同3.9ポイント減)に対し、女性41.8%(同4.7ポイント減)。女性の支持率は、衆院選直後の2月調査から23.9ポイント低下しており、女性の「高市離れ」が顕著だ。(時事通信特別解説委員 高橋正光)

 高市首相の言動を見ながら 「初の女性首相」に社会の変革につながる意義は見いだせない、と感じた女性たちが次々に支持から離れているのではないかとも感じます。

 政務3役の女性数が増えるどころか減ったことのニュースバリューは小さくありません。この点を東京で政治取材を展開している全国紙はどう報じているか、各紙のサイトで電子版の記事を検索してみました。すべてを網羅できているわけではないのですが、朝日新聞、毎日新聞はそれぞれ以下のように報じています。

■朝日新聞
「新たな副大臣・政務官に『裏金』関与の10議員 維新からも初起用」
https://digital.asahi.com/articles/ASV9L36PYV9LUTFK00NM.html
2026年9月18日 19時35分

 女性は副大臣・政務官で計6人を起用し、昨年の政権発足時の8人から減った。自民が政権復帰した2012年以降、最多は第2次岸田文雄改造内閣の11人だった。

■毎日新聞
「『大阪自民に配慮感じない』不満も 維新から副大臣・政務官5人」
 https://mainichi.jp/articles/20260918/k00/00m/010/339000c
 2026/9/18 20:29(最終更新 9/18 22:31)

 政府は18日の閣議で、副大臣27人と政務官28人の人事を決定した。17日の内閣改造で閣内協力に転じた日本維新の会からは副大臣に2人、政務官に3人が起用された。維新側が要求したとされる人数と合致しており、維新との連立を重視する政権の意向がにじんだ。女性の起用は6人で、閣僚を含めた全体で約1割にとどまった。
(中略)
 女性の起用は副大臣2人、政務官4人の計6人。内閣改造で留任した片山さつき財務相、小野田紀美経済安全保障担当相の2人を合わせても計8人で、政務三役計73人の女性割合は約1割にとどまった。首相は「実力主義」「政策本位」の方針を示しており、首相周辺は「首相は性別ではなく、実行力で判断している」と強調した。

 毎日新聞は政務3役全体の割合に触れていますが、昨秋の高市政権発足時から減ったことには言及が見当たりません。関心の中心は裏金議員であり、連立を組む維新からの登用のようです。それも重要な視点、論点ですが、「初の女性首相」の意義をどうとらえるかは、マスメディアの政治報道にとって、継続的な課題です。政治、ひいては社会のありようの根幹にかかわることだからです。これからでも報じ方はあると思います。

「『沖縄保守』からの世代交代」(朝日)「基地疲れ 刷新求め」(毎日)「『反辺野古』勢力 退潮」(読売)「知事選『SNS』で可視化」(産経)~沖縄知事選、在京紙の報道の記録

 9月13日は新聞休刊日のため、14日付の新聞は発行がありませんでした。沖縄県知事選の結果は、日本本土の新聞の大半は15日付朝刊の掲載になりました。14日は静岡県・浜岡原発のデータ不正問題で、中部電力の社長、会長が辞任を発表するニュースもあり、東京発行の新聞各紙の扱いは分かれました。取り急ぎ、記録の意味も兼ねて1面の主な見出しと、沖縄県知事選については総合面の主な見出しを書きとめておきます。

 玉城デニー知事を批判し続けてきた産経新聞が1面トップで「沖縄 動いた民意」の大きな見出しを立て、総合面では「オール沖縄県政に厳しい目/知事選『SNS』で可視化」の見出しを取っていることが目を引きました。玉城知事と県政に向けて、デマと誹謗中傷が日本本土から注がれたSNSに対して、「可視化」と表現するとらえ方は興味深く感じています。

 この沖縄県知事選のSNSを舞台にしたデマと誹謗中傷については、日本本土のマスメディアにも当事者性があり、来年の統一地方選を控えて選挙報道、政治報道にとっても大きな課題だと感じています。

■朝日新聞
①「浜岡再稼働 申請取り下げ/中部電 社長・会長辞任へ/データ不正」

②「沖縄知事に古謝氏 辺野古容認派/普天間返還『期日 明確化を』」/視点「『沖縄保守』からの世代交代」
3面「政権 変わる沖縄との距離感/自民が推す県政12年ぶり 『南西シフト』加速か/振興予算3千億円台回復視野に検討」/「最重視は『経済』50%/うち79%が古謝氏に投票 出口調査」

■毎日新聞
①「沖縄知事 12年ぶり自民系/辺野古容認 古謝氏」
3面・クローズアップ「基地疲れ 刷新求め」「有権者 玉城県政見放す」「『経済振興』重視53%」「南西シフト 加速か」

②「中部電社長・会長辞任/浜岡不正 再稼働申請取り下げ」

■読売新聞
①「中部電社長・会長 引責辞任/原発再稼働 申請取り下げ/データ不正/経営陣の𠮟責 要因 報告書」

②「沖縄知事に古謝氏/12年ぶり自民系 辺野古容認/現職に大差」
 3面・スキャナー「安保政策進展 期待/政府、辺野古や南西諸島」「オール沖縄 牙城失う/『反辺野古』勢力 退潮」

■日経新聞
①「中部電、社長・会長が引責/浜岡原発のデータ不正/安井新社長下で立て直し」
②「米長期金利、一時5%台」

※沖縄県知事選は1面インデックス「沖縄知事に古謝氏/12年ぶりに保守県政」。3面に本記とサイド「対中抑止へ 政府と協力/空港・港湾、自衛隊の活用弾み」

■産経新聞
①「沖縄 動いた民意/知事に保守系・古謝氏」「現職 玉城氏に大差/本土復帰後世代初」/「『辺野古』争点ならず 経済重視に」
 3面「オール沖縄県政に厳しい目/知事選『SNS』で可視化」「辺野古転覆、団体用語の言動/ダンプ事故、映像目を向けず」/「南西シフト防衛に追い風/政権、来春統一地方選へ弾み」/「米、辺野古移設前進に期待」

②「中部電 社長ら辞任/データ不正 浜岡審査取り下げ」

■東京新聞
①「浜岡不正トップ辞任/中部電 再稼働申請取り下げ/経営層圧力で独自の論理/調査報告書指摘」/「社長『安全最優先にできず』」

②「沖縄知事に古謝氏/初当選 12年ぶり辺野古容認」
 3面「安保で協力 政権躍起/空港・港湾の有事利用 加速?」「『基地重視』20%のみ 出口調査」/「辺野古移設 なお見通せず」/「振興予算額 3000億円超で調整」

 

※参考過去記事

news-worker.hatenablog.com

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「県益守り分断の修復を」(沖縄タイムス)「県民は県政刷新を求めた」(琉球新報)~デマと誹謗中傷は本土メディアにも当事者性

 沖縄県知事選から一夜明けました。
 開票結果は古謝玄太候補が42万3124票、現職の玉城デニー候補は27万6060票。圧倒的と言っていいほどに大差が付きました。
 ▽令和8年9月13日執行 沖縄県知事選挙 開票速報
https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/040/303/chijisenkaihyou_saishu.pdf

 この結果を新聞各紙はどうとらえているのか。沖縄タイムス、琉球新報は14日付の紙面を発行していますが、日本本土の新聞各紙は休刊日で14日付の紙面発行はありません。本土紙の社説、論説がそろうのは15日になります。
 沖縄タイムス、琉球新報の社説はネット上の両紙のサイトで読めます(沖縄タイムスは期限付きです)。以下に一部を書きとめておきます。

■沖縄タイムス「新知事に古謝氏 県益守り分断の修復を」
 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1923319

 今回、玉城氏は政党からの推薦を受けず「県民党」を掲げて選挙に臨んだ。辺野古新基地反対を結集軸としたオール沖縄勢力の退潮、衆院選敗北に伴う内部の不協和音が尾を引いていた。
 これに対し辺野古移設を容認する古謝氏は自民、維新、国民、参政、保守、公明県本の6党から推薦を得た。県内11市のうち10市長も支援に回った。
 組織体制が盤石な上に、政策を浸透させる運動量においても、その差は歴然としていた。
 経済界や小規模零細業者の中には、玉城県政の8年を「基地ばっかりだ」と批判する声が多かった。
 経済界にわだかまっていた県政への不満や、「対決より解決」を志向する若い層の声。これらの声を「県政刷新」という一点に集約し、変革のうねりをつくり出したことが大量得票につながったといえる。

■琉球新報「県知事選で古謝氏初当選 県民は県政刷新を求めた」
 https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-5511002.html

 玉城氏は厳しい政治環境の中での選挙戦となった。玉城氏を支えるオール沖縄勢力は2024年の県議選で大敗し、今年2月の衆院選における沖縄2区分裂によって急速に求心力を失った。
 県政においては県ワシントン事務所問題などの不祥事が批判された。今年3月に起きた辺野古沖小型船転覆事故で新基地反対運動への疑念が県民に広がったことも玉城氏には逆風となった。
 玉城氏の敗退で「オール沖縄の時代」は終焉(しゅうえん)を目の前にしている。新基地拒否の民意を結集し、政府に異議を申し立ててきた沖縄の政治潮流は大きな転換点を迎えた。

 選挙戦では辺野古の新基地建設や南西諸島の軍事拠点化など、「基地」は争点になりませんでしたが、だからと言って、沖縄の民意が基地の負担増を承諾したということでもないと受け止めています。沖縄の民意が望んでいない過剰な基地の負担を押し付けているのは日本本土の側であること、その日本政府、政権を合法的に成り立たせているのは日本本土の主権者であることは、まったく変わりがありません。ただし、基地の負担がそうした構造的な問題であることが、いよいよ見えづらくなっているのではないかと感じます。そうしたことも含めて、沖縄の基地の過剰な負担に対する本土の主権者の当事者性には何ら変わりはないと考えています。

 選挙期間中に、玉城知事や県政にSNSでデマや誹謗中傷が浴びせかけられたことに対しては、沖縄タイムスが以下のように社説で触れています。

 ネット上には、玉城氏個人に対する誹謗(ひぼう)中傷や誤情報、偽情報、AIを利用したとみられる差別的動画が氾濫した。
 本紙の分析(8月1カ月)では、知事選を巡るX(旧ツイッター)投稿の発信地は、沖縄県外が9割を占めた。
 基地被害を訴える声に「反日」とレッテルを貼り、「中国の味方」だと決めつける。匿名性に守られ責任を負わない差別的な言論が大量に流れた。
 誤情報や偽情報が氾濫すると、正確な情報にも疑いの目が向けられ、区別があいまいになる。
 SNS選挙が持つ危険な側面は以前から指摘されてきたが、徹底した事後検証が必要だ。

 デマや誹謗中傷を浴びせた側の成功体験に終わらせないために、まずは検証が必要だろうと思います。それは日本本土のマスメディアの課題でもあるはずです。膨大なデマや誹謗中傷が本土の足元から発せられたのです。他人ごとではない。本土メディアにも当事者性があります。

※追記:本記事の見出しのうち、沖縄タイムス社説の見出し「権益」を「県益」に訂正しました

玉城県政「評価」6割(NHK出口調査)、「基地」重視は激減(朝日新聞出口調査)~沖縄県知事選、古謝候補にゼロ当確

 沖縄県知事選は9月13日、新人の古謝玄太候補の当選が確実になりました。午後8時の投票終了と同時に、沖縄タイムスや琉球新報の地元メディアを始め、新聞、放送の各メディアが電子版などで一斉に「当選確実」を報じました。いわゆる「ゼロ当確」。現職の玉城デニー候補に大差を付けたようです。
 まだ速報の段階ではあるのですが、マスメディアの出口調査の結果で気になることを、取り急ぎ備忘を兼ねて書きとめておきます。

■「玉城県政を評価する」6割
 NHKは13日に県内32の投票所で投票を終えた有権者3950人を対象に出口調査を行い、63%にあたる2490人から回答を得たとのことです。

玉城県政について尋ねたところ
▽「評価する」が62%
▽「評価しない」が38%でした。

回答別に見ますと
▽「評価する」と答えた人では
▼玉城さんが50%台後半
▼古謝さんがおよそ40%でした。

▽「評価しない」と答えた人では
▼古謝さんが80%台後半でした。

 世論調査とは異なるので、いちがいに比較はできませんが、「評価」62%は高市早苗内閣の支持率と同程度の水準で、決して低くないと感じます。そうでありながら、その評価層の4割もの人が古謝候補に投票しました。その要因は何なのでしょうか。
 年代別に見れば、若い層ほど古謝候補の割合が高く、10代~30代では70%台半ばから後半に達しています。もっぱらネットで情報を得る、という世代で古謝候補が圧倒しているようです。

https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260907de48824

news.web.nhk

 

■基地へ関心の比重が大きく低下
 朝日新聞社は13日に、沖縄県内60の投票所で出口調査を実施し、2909人から有効回答を得たとのことです。興味深いのは、2018年、22年の知事選との比較です。

 一方、玉城氏は「基地問題」を重視する層の73%から支持を得たが、「基地問題」を重視する層自体が46%→34%→21%と大きく減っており、全体の支持構造を覆すには至らなかった。
 基地問題をめぐる投票者の意識の変化もうかがえる。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古に移設することへの賛否でも、これまでは反対が賛成を上回っていたが、移設をめぐる政府との法廷闘争で県の敗訴が確定した後の今回は賛成50%、反対44%と、賛成が上回った。

 玉城知事は在任中のこの8年間、辺野古の新基地建設に反対を貫きましたが、事態は1ミリも動かず、司法も日本政府の強硬方針を追認する結果に終わりました。「基地問題」の比率がここまで下がっている要因は何でしょうか。

digital.asahi.com

 沖縄の基地の過剰な負担は、沖縄の人たちが望んでいることではありません。しかし反対し続けても何も変わらない。辺野古移設に反対を続けた玉城知事のことは評価しているけれども、どうせ変わらないのなら-。そう考えた有権者も少なくないのではないか。あくまでも仮説ですが、出口調査の数字からはそんなことが頭に浮かびます。
 今回の知事選で基地問題は焦点にならなかったと伝えられています。基地の過剰な負担を沖縄の民意が承諾したわけではありません。

 選挙の結果は結果として、選挙期間中に日本本土から沖縄に向けて浴びせかけられたデマと誹謗中傷が、沖縄の有権者の投票行動にどう影響したのかは、選挙の公正さにもかかわる問題だと思います。デマと誹謗中傷それ自体が、本土の側からの沖縄への差別として、日本社会の恥部、暗部としてとらえられるべきことだと考えています。それを止められないことに、日本本土に住む主権者の一人として差別の当事者性を自覚せざるを得ません。この状況をどうするのかは、日本本土のマスメディアの課題でもあるはずです。

 新知事になる古謝玄太候補は沖縄の日本本土復帰後の生まれの42歳。東大出身で長崎県などへの出向経験を持つ元総務官僚。本人はプロフィールに「沖縄県出身者として50年ぶりに総務省(自治系)に入省」と記しています。日本の国家統治機構の中枢の一員、しかも旧自治省、さかのぼれば旧内務省の系譜です。江戸期の薩摩藩の琉球侵攻、明治政府の琉球処分をも視野に入れて沖縄の近現代史を考えた時に、まさに歴史的な出来事であるようにも感じます。

沖縄知事選のデマ、誹謗中傷と、基地の過剰負担に通底している「非対称性」~「おかしい」とつぶやく、ファクトチェックを拡散する、小さな声でもゼロではない

 異様としか言いようがありません。沖縄県知事選は、かつてないほどのデマと誹謗中傷がネット上で日本本土の側から沖縄に浴びせられる状況が続いたまま、13日の投開票日を迎えます。
 全国どこでも、選挙とSNSとデマ、誹謗中傷は深刻な問題で、2年前の兵庫県知事選以来、マスメディアの政治報道、選挙報道も問われています。ただし、沖縄には他の地域と異なった事情があります。構造的と言ってもいい日本本土との非対称性です。特に日本本土に住んでいると、その非対称性が分からなければ、基地の過剰負担に対する日本本土の側の加害性を自覚できません。
 基地の過剰な負担を巡る沖縄の民意は十分以上に示されています。辺野古の新基地建設に伴う海面の埋め立てを巡っては2019年2月の県民投票で、「反対」が70%を超えました。それでも日本政府は危うさを感じざるを得ない手続きをつないで工事を強行し、司法も日本政府を追認する結果に終わりました。自治体と国は対等の関係のはずなのに、沖縄ではそうなっていない。ほかの地域では起こりえないことが沖縄では起きている。基地の過剰負担の問題で、日本本土との非対称性は顕著です。
 今回の知事選を巡って、本土の側から浴びせかけられ続けている主として現職の玉城デニー候補を巡る膨大なデマ、誹謗中傷に、沖縄の側は対抗できません。基地の過剰負担を巡る非対称性の相似形です。その点に、他の地域の選挙とは異なる沖縄の選挙を巡るSNSの問題があると感じています。
 ここにきて、いくつかの本土マスメディアも選挙を巡るデマや誹謗中傷を報じてはいます。しかし、この非対称性を自覚したと思える報道は見当たりません。現職の玉城候補を巡るデマに触れ、同じように、事実上の一騎打ちとされる自民、維新、国民民主、公明、参政、保守の各党が相乗りの古謝玄太候補を巡る不正確情報にも触れています。あるいはそもそも候補者名に触れていません。実態は量としても質の悪質さの面でも、玉城候補への誹謗中傷が圧倒している「非対称」があるのに、本土メディアは奇妙とすら思えるほどに、「対称」を維持、言い方を変えれば「中立」を固持した報道です。

 日本本土の側が沖縄に過剰な基地負担を強いていることと、デマと誹謗中傷を浴びせ続けていることは地続きです。日本本土に住む主権者が、自分は現政権を支持していないから加害の立場ではないと考えているとしても、その政権は民主主義の手続きを踏んで合法的に成り立っており、それは個々人の姿勢とは別に主権者の総意ととらえられるべきものです。日本政府が沖縄に過剰な基地負担を強いていることに、日本本土の主権者はだれ一人当事者性を免れ得るものではありません。
 沖縄県知事選を巡る日本本土からのデマと誹謗中傷も、直接手を染めていないから加害の立場ではない、あるいはそもそも関心がない、と思っていても、その沈黙は、デマと誹謗中傷の発信にとってはまた追い風です。
 このブログの一つ前の記事でも触れたように、自治体首長の選挙は地方自治の核心です。地方自治が、他地域からのデマと誹謗中傷によってゆがめられかねない。民主主義が破壊されかねない。沖縄県知事選挙で危惧されているのはそのことです。沖縄に日本本土からデマと誹謗中傷が浴びせられ続けている構図は、日本の選挙に外国勢力が介入することの相似形でもあるように感じます。

 外国勢力に対抗するのは困難かもしれませんが、日本社会のことであれば、できることはあります。デマや誹謗中傷に対して沈黙しないことです。「これはおかしい」とつぶやく。沖縄のマスメディアのファクトチェックの情報をクリックして拡散する。一つ一つは小さな声でも、ゼロではありません。

※参考過去記事

news-worker.hatenablog.com

 沖縄タイムスの9月11日の報道を書きとめておきます。今はネット上の同紙のサイトで、無料で全文を読むことができます。SNSで拡散することは、日本本土に住んでいてもできることの一つだろうと思います。

▽「押しつぶされているのは沖縄の人全員」沖縄知事選で悪意に満ちたAI映像が拡散 SNSにどう向き合うか
 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1921653

www.okinawatimes.co.jp

 4人の方の指摘を紹介した記事です。見出しと一部を書きとめておきます。日本本土の側こそ、知っておくべきだと思うことばかりです。

 ■県民見下す露骨な論理 広島修道大教授・野村浩也さん
 玉城デニー氏をローラー車で押しつぶす人工知能(AI)映像が出回っている。基地や米兵犯罪、環境汚染を押し付けられる沖縄の象徴として、玉城氏は扱われている。その意味で、ここで押しつぶされているのは保守も革新も関係なく、古謝玄太氏を含む沖縄人全員なのだ。

 

 ■民主的対話の回復必要 作家・崎浜慎さん
 県内メディアが丁寧にファクトチェックをしているが、差別的発言をする者は事実に重きを置きはしない。その目的は憎しみをあおり立てることにあるのだから。拡散されたデマを信じる人もいる。その結果、沖縄の中からも「沖縄」を攻撃する者が出てくる。憎しみは無方向に広がる。

 

 ■批判や風刺の域超える 作家・オーガニックゆうきさん
 選挙が候補者同士の競争から、憎悪のぶつかり合いになっているように感じる。SNS上にはデマや誹謗(ひぼう)中傷があふれ、街頭演説に足を運んでも、候補者を批判するのではなく、聴衆を威圧するような場面を目の当たりにした。言葉による批判と暴力の垣根が溶解しているようだ。その場にいた私は「民主主義が壊れかねない」と感じた。

 

 ■沖縄の苦悩見せ物扱い ノンフィクションライター・安田浩一さん
 なぜ差別が駄目か。その先にあるのは殺りくや戦争だからだ。沖縄が地上戦の舞台となった背景には、沖縄差別の構造もあったと考えている。差別は確実に被害者を生む。社会を壊す。沖縄の歴史や苦悩を「見せ物」のように扱う言説を決して許してはならない。

【写真出典】沖縄タイムスデジタル版

 以下は1998年から2期8年知事を務めた稲嶺恵一さんにインタビューした記事です。
▽「民主主義を破壊する行為は見ていて悲しい」元知事が危機感 沖縄知事選とSNS、「差別やヘイト」に阻害される政策議論
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1921557

www.okinawatimes.co.jp

 

「戦後、最も激しい沖縄差別」 デマとフェイクが飛び交う沖縄知事選、本土メディアに当事者性

 9月13日に投開票される沖縄県知事選を巡って、SNS上でデマやフェイクが飛び交う状況になっています。とりわけ軽視できないのは、沖縄県外、日本本土からの発信が極端と言っていいほどに多いことです。再生数が上位の動画では、沖縄の自治や「基地反対」の主張を攻撃したり、陰謀論を拡散したりする内容が目立つことが報じられています。
 沖縄のマスメディアである沖縄タイムスや琉球新報の報道の見出しからも、その状況が分かります。以下はその一例です。

▽9月8日 沖縄タイムス
「沖縄県知事選に関するX投稿 昨年の宮城知事選の3倍 11日間に107万件、県外からが91%」
 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1919096

www.okinawatimes.co.jp

【写真出典】沖縄タイムス


▽9月7日 琉球新報
「【沖縄知事選】関連動画5000件の傾向は・・・ 自治や『基地反対』を攻撃 陰謀論拡散も 上位再生数を分析」
https://ryukyushimpo.jp/national/entry-5501564.html

ryukyushimpo.jp

 NHKも生成AIによるフェイク動画を取り上げています。
▽9月9日 NHK
「沖縄県知事選挙 候補者のフェイク相次ぐ 生成AIの偽動画も」
 https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260909de49372

news.web.nhk

 沖縄の基地の過剰集中への考察をわたしなりに続けてきて20年以上になります。このブログにも、問題の本質は地域のことは地域で決める「自己決定権」だと繰り返し書いてきました。江戸期以降の沖縄をめぐる近現代史が日本本土では広く知られているとは言い難いこともあり、もともと基地や安全保障を巡っては、日本本土の側にデマやフェイクが流れやすい下地があります。
 沖縄の自民党の重鎮だった故翁長雄志・前知事が「イデオロギーよりアイデンティティー」を掲げて、普天間飛行場の辺野古移設に明確に反対して以降、沖縄県と自民党政権・日本政府との対立が鮮明になり、県と国が法廷で争う事態にまでなりました。それにつれて、日本本土の側からのデマやフェイクの発信も激しくなっていった感があります。今回の知事選でも、翁長知事の後を継いだ現職の玉城デニー候補へのデマやフェイクに基づく誹謗中傷が目に余る、と感じます。
 選挙に際して、地域住民の意見が外部から脅かされ、地域の民意をゆがめかねない事態です。琉球新報が野村浩也・広島修道大教授の見解を紹介する記事に「戦後、最も激しい沖縄差別が起きている」との見出しを付けているのが目を引きました。同感です。
▽9月8日 琉球新報
「【沖縄知事選】戦後、最も激しい沖縄差別が起きている 野村浩也・広島修道大教授<SNSと選挙 攻撃される自治(1)>」
 https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-5502807.html

ryukyushimpo.jp

 日本国憲法は「地方自治の本旨」を保障しており、それは「住民自治」と「団体自治」を指すものとされています。

日本国憲法
第八章 地方自治
 第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
 第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
 ② 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
 第九十四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
 第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

 正当な意見の表明や論評の範囲を超えて、デマやフェイクに基づく誹謗中傷が、何ら規制を受けることなく、日本本土の側から沖縄に向けて降り注がれ続けています。沖縄のマスメディアがファクトチェックで検証していますが、到底追い付きません。沖縄の側は本土からのデマやフェイクに対抗できる状況にありません。それは、沖縄の民意が県民投票などを通じて一貫して示されているにもかかわらず、日本本土の側が基地の過剰な負担を押し付け続けている構図の相似形です。まさに「戦後、最も激しい沖縄差別」だと感じます。SNS上での玉城候補に対する誹謗中傷は、デマやフェイクがむき出しになっている分、いっそう醜悪です。
 沖縄県知事選を巡るSNS上のデマやフェイクを目にして感じるのは、その発信者の相当多数が「国益」を口にし、玉城候補や県政を「反日」と批判していることです。彼ら、彼女らは、仮に外国勢力が日本の選挙に介入したなら激しく反発し、批判するはずです。それでいて「地方自治の本旨」を損なうようなデマやフェイクに基づく誹謗中傷に無自覚であることは、「愛国心」をふりかざすことの危うさを示しているとも感じます。

 この沖縄県知事選で大量のデマやフェイクが日本本土から沖縄に向けられていることは、日本本土のマスメディアも当事者であることを意味していると受け止めています。その当事者性の自覚が本土メディアにあるか。過剰な基地負担が沖縄のローカルの問題ではないのと同じように、沖縄県知事選でデマやフェイクが横行しているのも沖縄のローカルの問題ではありません。選挙戦は最終盤ですが、沖縄の自治をゆがめさないために、本土メディアにも役割があるはずですし、最後までその役割を果たすべきです。日本社会全体の民主主義のありようにもかかわることです。

 

※参考 野村浩也さんについて

 

皇位男系継承「2600年以上の伝統」の危うさ~歴史研究者の抗議声明をメディアは広く報じるべきだ

 毎日新聞が9月5日朝、デジタル版で配信した1本の記事が目にとまりました。

■「自民幹部『皇位男系継承は2600年超』にNO 歴史学者が抗議の声」
 https://mainichi.jp/articles/20260903/k00/00m/200/154000c

 「皇位の男系継承は、2600年以上にわたって先人たちが守り抜いてきた皇室の伝統です」――。
 皇室典範の改正をめぐり、自民党の小林鷹之政調会長が7月、衆院議院運営委員会で述べた一言に、歴史学者たちが抗議の声を上げている。
 古代史研究者有志が8月、「連綿と続けられてきた古代史研究の成果を否定するもので、到底容認できない」との声明をウェブで公表し、7日間で1341人の賛同者を集めた。代表幹事の古市晃・神戸大教授は「これまでも同様の発言は一部で繰り返されてきたが、皇室典範改正といった場面でも小林氏の発言があった。いつまでも軽視していては古代史家の見識が問われる問題であると考え、他の研究者に声をかけて声明を作成した」と語る。

 記事中の小林政調会長の発言があったのは7月10日でした。女性皇族は結婚後も皇族の地位にとどまることができること、宮家に養子を迎えることができることの2件を内容とする皇室典範の改正案が、衆院議院運営委員会で審議され、その日のうちに本会議採決まで進み、賛成多数で可決。参院へ送付されました。その委員会の審理で、自民党を代表する立場で質問に立った小林政調会長は「皇位の男系継承は2600年以上、先人が守り抜いてきた皇統、皇室の伝統だ」と述べた上で、政府の見解をただしました。答弁に立った木原稔官房長官は、男系継承が古来、例外なく維持されてきたことの重みを踏まえ、現行の皇室典範でも皇位は男系男子が継承すると規定されている、と説明しました。政府を代表する木原官房長官も「2600年以上」は直接口にしていないものの、これを否定はしなかったことになります。
 当時、このやりとりに仰天しました。多少なりとも、学問としての歴史の知識があれば、「2600年以上」を国会の場に持ち出すことの意味、その危険性は容易に分かるはずですし、「男系固持」にこだわる勢力が何を目指しているのかも分かるはずだからです。
 2600年以上前は神武天皇の即位のことを指し、以降、皇位は男系を維持してきた、ということなのですが、2600年以上前は縄文晩期ないしは弥生早期。文字もなく、神武即位は神話です。神話を踏まえていたからこそ、明治の大日本帝国憲法は第1条で「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」と、第3条で「天皇ハ神聖󠄁ニシテ侵󠄁スヘカラス」と規定していました。この「皇国史観」を国家の根幹に置いていたのが、1945年の敗戦までの日本です。
 戦後の再出発に当たって、日本国憲法は天皇を「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」とし、その地位は主権者である国民の総意に基づくと規定しました。
 大日本帝国憲法と日本国憲法のそれぞれの1条から3条を比較すると、天皇制の位置づけと国家体制の違いは一目瞭然です。

■大日本帝国憲法
第一條
大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス
第二條
皇位ハ皇室典範ノ定ムル所󠄁ニ依リ皇男子孫之ヲ繼承ス
第三條
天皇ハ神聖󠄁ニシテ侵󠄁スヘカラス

■日本国憲法
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

 毎日新聞が報じた古代史の研究者有志は「皇室・皇位をめぐる議論に関する研究成果の尊重を求める古代史研究者の会」。古市晃・神戸大教授が代表幹事です。声明は毎日新聞が全文を掲載していますが、ネット上でも、古市教授のフェイスブックページで読むことができます。
 https://www.facebook.com/profile.php?id=61585749008194

 「2600年以上前」が歴史学の常識からかけ離れていることを指摘した上で、以下のように危惧を表明しています。政権与党の幹部が国会の場で「2600年以上前」を口にし、政権もそれを否定しないことの危険性を端的に言い当てています。

 かつて、天皇や皇室につながる学問的な研究成果を明らかにすることに大きな制約があった時代がありました。
 1889年に発布された明治憲法では、天皇による統治が「万世一系」の皇統にもとづくものとされ、同時に制定された皇室典範によって、皇位は皇統に属する男系男子が継承すると定められました。1940年、治安維持法をはじめとする一連の政策により、『古事記』や『日本書紀』の記述を疑問視した津田左右吉の学問的な著作が発売禁止とされ、大学教員の地位を追われるといった弾圧が行われました。
 1946年に制定された日本国憲法では、こうした過去の反省にもとづいて、学問の自由はもとより、思想・信条の自由が保証されました。以来80年、自由な空気の下で進められた研究は大きく進展し、古代の王族のあり方もさまざまな角度から検討が進められています。
 今回の、「皇室2600年の歴史と男系男子による皇位継承」を謳(うた)う政治家の一連の発言は、連綿と続けられてきた古代史研究の成果を否定するもので、到底容認できません。またこうした学問的成果の軽視が社会を萎縮させ、思想・信条の自由が再び奪われる世界が訪れることを危惧します。
 私たちは、皇室や皇位のあり方をめぐる政治的主張が、恣意的に語られるのではなく、これまでの学問的研究成果を尊重したものであることを強く求めます。

 小林・自民党政調会長の「2600年以上前」の発言と政府の答弁に対して、当時のマスメディアの報道はあまりにも鈍く、その危険性が報じられませんでした。発言自体の危うさとともに、その危うさが報じられていなかったことはマスメディアの危うさでもあると感じます。
 当時の報道に対する手元の記録では、東京発行の新聞各紙で、翌7月11日付の紙面でこの発言を報じたのは毎日新聞と読売新聞だけです。毎日新聞は3面(総合面)の大型のサイド記事クローズアップの中で、小林政調会長と木原官房長官のやり取りを紹介しています。見出しは「木原氏『男系に重み』」。読売新聞は6面の「衆院論戦の詳報」の中で紹介し「男系2600年以上の伝統 小林氏」。読売新聞の見出しの取り方に、多少の問題意識を感じないわけではありません。しかし、他紙を含めて「2600年以上」を国会審理の場で持ち出すことの意味、その危険性に触れた報道は、社説、論説を含めて目にしませんでした(わたしが見落とした可能性は否定できません)。今回の古代史研究者の声明を報じた毎日新聞が在京のマスメディアでは初めてではないかと思います。
 今からでも、研究者たちのこの声明のことを他メディアも報じていいと思います。

 小林政調会長が「2600年以上前」を口にしたことは、単に学問的な成果に無知である、ということにとどまらず、高市早苗政権と自民党がどのような国家像を目指しているのかを問わず語りに示している、とわたしは考えています。皇国史観を基軸とする国家、家父長制を基盤とした社会への回帰志向です。天皇制の「男系堅持」はこのことと結び付いています。戦争ができる国への回帰と言ってもいいと思います。軍事費の大幅増も国旗損壊罪の創設もスパイ防止法も、この一点に集約しています。その高市政権が高いと言っていい水準の支持を維持しています。容易ならざる時代だとあらためて感じています。

 この問題について8月、定期的に寄稿しているコラムに書きました。以下はその一部です。

 地方紙も含め、新聞の論調は圧倒多数が「男系堅持」に反対だった。ただし、ジェンダー平等が強調されたあまりに「制度としての天皇制」の観点が終始希薄だった感がぬぐえない。現天皇一家への親近感と、制度の問題は分けて考えるべきだ。アカの他人の養子を認めてまで、天皇制は残さなければならないのか。そうした論点は提示されなかった。
 そもそもなぜそんなに「男系」にこだわるのか。そのことを読み解く手がかりもあったのに報道は浅かった。
 7月10日の衆院議員運営委員会。自民党の小林鷹之政調会長が「皇位の男系継承は2600年以上、先人が守り抜いてきた皇統、皇室の伝統だ」と述べた。神武の建国神話以来の伝統との意味だ。大日本帝国憲法第3条「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」の天皇観そのものだ。
 この皇国史観を基軸とする国家、家父長制を基盤とした社会への回帰志向と「男系堅持」は結び付いている。戦争ができる国への回帰だ。軍事費の大幅増も国旗損壊罪の創設もスパイ防止法も、この一点に集約される。その危険性を新聞は伝えきれているだろうか。

 

戦争を経験していなくても、戦争体験を聞きながら育った~65歳、同世代の高市首相に感じる歴史観そのものの欠如

 今年も8月は「戦争と平和」を考えながら過ごしました。43年前に新聞のジャーナリズムの仕事に就いてから、いつのころからか、ジャーナリズムの役割を突き詰めれば「戦争を起こさない、起こさせないこと」「起こってしまった戦争を1日も早くやめさせること」だと確信するようになりました。新聞のジャーナリズムは、日本の敗戦で81年前に終わった戦争に対しても、直接経験した人たちの証言を報じ、戦争を知らない世代に伝え、社会で共有することに努めてきました。それはそのまま歴史の記録になっています。
 わたしは日本の敗戦から15年後の1960年10月に北九州で生まれました。少年期のことを思い起こせば、身近なあちこちに生々しい戦争の記憶がありました。生まれ育った街も米軍の空襲を受け、幾多の犠牲者があったことは小学生の時に知りました。長崎に投下された原爆は、第一目標は北九州・小倉だったことを知ったのも小学生の時です。周囲の大人たちが皆、戦争を肌身で知っている、ということを肌身で感じながら育ちました。
 祖父母、父母の世代から聞かされた話を思い出すにつけ、自分が長く仕事にしてきたジャーナリズムの「戦争を起こさない、起こさせない」との役割の重さを感じます。とりわけ、あの戦争の日本の被害の面だけでなく、加害の面も継承するのに、ジャーナリズムの責任は重いと思います。加害について戦後、口にできないままにこの世を去った当事者は少なくないはずだからです。

 このブログでも触れましたが、ことしの8月15日、全国戦没者追悼式で高市早苗首相が読み上げた式辞には「反省」の言葉もなく、あの戦争に対する当事者意識も感じられませんでした。その一方で、靖国神社への参拝へのこだわりを、武道館駐車場からの“遥拝”や、自民党役員の集団参拝で示しました。「復古」志向は、天皇制の男性・男系にこだわった皇室典範改正にも見て取れます。
 軍拡へ前のめりになり、「継戦能力」という用語をためらいもなく使う一方で、外交面では危うさがぬぐえません。「日本列島を強く豊かに」との「強さ」「豊かさ」とは何か。「戦後」の本当の節目はこの8月なのかもしれないとの思いは強まっています。実は「戦後」は終わっている、既に「新しい戦前」が始まっている、という意味で。
 8月15日から少し時間がたった今、もう一つ思うことがあります。高市首相を一人の個人として見た時の疑問です。1961年3月の生まれ。わたしと1年違いですが、学校の学年は同じです。前述のように、戦争を経験していませんが、わたしのようにその経験を直接聞かされて育った方は少なくないはずです。その意味では、戦争は経験していないけれども、戦争を知らないわけではない世代です。しかし高市首相には、同じ世代としての共有体験のようなことが感じられません。
 松下政経塾の塾生として渡米経験を積んだことや、政界入りして以降の言動については、さまざまに取り上げられています。「戦後50年」の1995年3月には、野党議員だった高市氏は国会で「少なくとも私自身は、当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもないと思っております」と述べていました。
 反省なんかしていない、求められるいわれもない、はともかく、「当事者とは言えない世代」には引っかかるものがあります。当事者ではない世代かもしれませんが、当事者である世代に囲まれて育った世代です。それでいながら、自分には関係がないことと、切って捨てるかのような物言いに、同じ世代として、あまりにも遠い距離を感じます。
 それでも、若くて人生の経験も浅かったから、ということなら分からないでもありません。しかし、政治家として歳月を重ね、首相になっても、この「他人ごと」感は変わらないどころか、いっそう強固になっているように感じます。反省がある、ないよりも、歴史を知らない、そもそも歴史に関心がないのではないかと疑わざるを得ません。65年も生きてくれば、もう少しいろいろ思うところはあってもいいのではないか。こと「戦争と平和」に関しては、高市首相の言動には思考、考察を重ねてきた深みが感じられません。同じ世代、同じ65歳として、これは驚かなければならないことだと思うに至っています。

 あらためて、ことし8月15日の出来事を伝える16日付の東京発行の新聞各紙の紙面を見比べてみました。1面では、高市首相が「反省」に触れなかったことを伝える見出しが目に付きます。その一方で、天皇が「お言葉」で「深い反省」と述べたとの見出しもありました。天皇は1960年2月生まれ。高市首相と同世代です。
 読売新聞は13面に、全国戦没者追悼式での天皇の「お言葉」、高市首相の式辞、森英介衆院議長と関口昌一参院議長の追悼の辞を並べて掲載しました。「反省」があるのは天皇だけです。

 国家としての時の流れに断絶はありません。時間は連続しています。「国益」という言葉は好きではないのですが、一国の首相であれば、自国の歴史を踏まえない言動は国益を左右しかねません。かつて反省なんかしていない、求められるいわれもない、と言い放った政治家が、首相になっても加害の歴史に当事者制を自覚できないようです。だからと言って、被害を受けた側は被害の歴史を忘れてくれるわけではありません。「反省」は加害の歴史を忘れていないことを示す意味があります。未来志向の関係は、その先に見えてくるのだと思います。
 高市首相に歴史への洞察が感じられない一方で、軍国主義の象徴だった靖国神社への執着や、皇国史観そのものの男系・男子の天皇制へのこだわりは顕著です。志向しているのは戦前回帰でしょうか。その首相の傍らで、かつて軍国主義の下で「神聖にして侵すべからず」との神格化された立場だった天皇が、今は象徴天皇として、戦争の歴史に「深い反省」を口にしています。高市首相の危険性がいっそう際だって見える情景でした。そんな「新しい戦前」への危ぐとともに、今年の8月は過ぎました。

 東京発行の新聞各紙が「8月15日」をどうとらえたか。各紙の社説の見出しを書きとめておきます。

▼8月16日付
・朝日新聞「靖国と首相式辞 危うい『反省』の風化」
 https://digital.asahi.com/articles/DA3S16527261.html
・毎日新聞「政権幹部の靖国参拝 対外関係損ねる不見識だ」
 https://mainichi.jp/articles/20260816/ddm/005/070/122000c
・読売新聞「終戦の日 平和の維持へ努力を重ねたい」
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20260815-GYT1T00360/
・東京新聞/中日新聞「週のはじめに考える/『反省』なき国の行く先」/戦後の歴史観に敵対心/「戦前回帰」色濃い政策/国の針路正す民主主義
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/508932

▼8月15日付
・朝日新聞「戦後81年と日本の平和/理想と現実の接点を求めて」/戦後の原点とは何か/これまでにない試練/外交は機能しているか
 https://digital.asahi.com/articles/DA3S16526636.html
・毎日新聞「世界の惨禍と終戦の日/歴史顧みぬ愚にあらがう」/人命を軽んじる指導者/状況に流されず熟考を
 https://mainichi.jp/articles/20260815/ddm/005/070/092000c
・読売新聞「戦後81年/大国の『横暴』どう抑え込むか/国連を立て直し秩序回復目指せ」/軽視される法の支配/高市外交が問われる/防衛力強化も欠かせぬ
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20260814-GYT1T00372/
・日経新聞「歴史に学び時代の逆行を防ごう」/戦争を防ぐ情報力を/危うい偶発的な衝突
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK141ZH0U6A810C2000000/
・産経新聞「<終戦の日に 主張 特別編>慰霊と顕彰の誠を尽くしたい/抑止力高め平和を保とう/論説委員長 榊原智」/日本守る気概示せ/硫黄島の英雄たち
 https://www.sankei.com/article/20260815-Z5GJTEJ4PRJ6BJBT44DWKENZ34/
・東京新聞/中日新聞「終戦の日に考える/『不戦』の人倫に生きる」/多大な犠牲教訓にして/戦争を繰り返す愚かさ
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/508778


 8月16日付の紙面の主な記事の見出しも書きとめておきます。
■朝日新聞
▽1面
トップ「81年 平和誓う 今こそ/追悼式参列 戦後生まれ56%/首相式辞『反省』消える」/天皇陛下のおことば(全文)
「小泉防衛相が靖国参拝/首相は参拝見送り『遥拝』」
▽2面
「首相 にじんだ政治信条」「安倍氏式辞を踏襲『繰り返させ・ない』」表現に特徴」「公然と『遥拝』防衛相は参拝、中韓反発」
「戦争体験者の激減 崩れた『重し』」一橋大学名誉教授・吉田裕氏
▽3面
「海外戦没者の遺骨 収集難航/台湾で発掘調査 見つからず」
▽社会面
トップ「あの道進ませぬ まだなお語る/元日本兵『正義の戦争 絶対ない』/空襲体験 何度も聞かれ出た新証言」
「終戦の日 祈り、悼んだ 靖国神社・千鳥ヶ淵戦没者墓苑」/「処罰法施行 日の丸への思いは」

■毎日新聞
▽1面
トップ「きしむ世界 誓う平和/戦後81年 終戦の日」/「首相『反省と教訓』言及せず」
「小泉防衛相ら靖国参拝/自民役員も 首相、敷地外から祈り」
▽3面
「一貫せぬ戦争責任論/終戦の日 歴代首相は何を語ったか」「13年 安倍首相時に一変」
全国戦没者追悼式 高市首相式辞(全文)
▽4面
焦点「保守層配慮 色濃く/自民役員ら参拝 首相の思いくむ」/「中国 強烈な抗議/韓国 批判抑制的」
▽社会面
準トップ「父奪った戦争 二度と」/天皇陛下おことば(全文)

■読売新聞
▽1面
トップ「終戦81年 不戦誓う/陛下お言葉『深い反省』/参列遺族 戦後生まれ最高56%」/「首相『惨禍繰り返させぬ』 『反省』触れず」
▽2面
「防衛相ら4閣僚 靖国参拝/自民執行部3人も 首相は『遥拝』」
▽4面
「首相 外交に影響考慮/保守層 参拝求める声も」
▽13面
全国戦没者追悼式・天皇陛下のお言葉/高市首相の式辞/森衆院議長 追悼の辞/関口参院議長 追悼の辞
▽社会面・見開き
「平和の祈り 孫に託し/急病で不参加『役目果たしてくれた』」
「戦禍伝える 使命」「『災害とは違う』熊本から参加」「『一日でも早く平和を』追悼の辞」

■日経新聞
▽1面
「終戦81年 平和へ祈り」
▽5面
「靖国参拝 自民幹部が『代役』/首相は見送り、遥拝/支持層の不満を意識」/「小泉氏が参拝 城内・黄川田・小野田氏も」
「『反省』『不戦の誓い』用いず/高市首相の追悼式式辞/石破氏は復活」/首相の式辞全文
▽社会面
トップ「平和教育 幼心にどう配慮/戦禍の記憶継承と両立手探り/海外施設では年齢制限」
「戦没者追悼式、最年少は3歳/平和の尊さ感じる場に」/天皇陛下のお言葉

■産経新聞
▽1面
トップ「平和の誓い 次代へ/終戦81年 戦没者追悼式/陛下『深い悲しみ 新たに』/参列遺族 戦後生まれ最多」/天皇陛下のお言葉全文
企画「証言の先に 戦後80+1」上「2000メートル上空のB29、搭乗員の笑顔は見えたか/『無色』で、まず受け止めて」
▽3面
「首相式辞 過去より未来/『反省・教訓』踏襲せず 『輝く灯台・希望』語る」
「小泉氏ら 靖国参拝/首相は見送り 武道館から遥拝」
▽5面
戦没者追悼式 首相式辞全文/衆院議長 追悼の辞要旨/参院議長 追悼の辞要旨
▽13面
「戦没画学生の声なき声、未来へ/長野・上田『無言館』」
▽社会面
トップ「遺族、もう出さない/追悼式で式辞 金森武士さん(84)」「平和 口にするだけでは/最年長98歳 高橋和彦さん」「『一人一人が』決意の献花」/上皇さまご夫妻 愛子さまご黙禱

■東京新聞
▽1面
トップ「首相式辞『反省』触れず/参列遺族 戦後生まれ最多/全国戦没者追悼式」
▽2面
「『歴史の教訓』消える/戦争繰り返さ『せない』/高市首相 式辞に持論反映」/式辞全文
「天皇陛下『深い反省』/お言葉全文」
「防衛相ら4閣僚 靖国へ/首相、武道館から遥拝」/「中国『強烈な抗議』」
▽3面
「『力の支配』に広がる危機感/体験者ら歯がゆさ つながる若者、言葉つむぐ」
▽10面
「次世代へと語り継ぐことこそが使命/生後1週間で出征した父-遺族代表・金森武士さん」/追悼の辞全文/森英介・衆院議長 追悼の辞要旨/関口昌一・参院議長 追悼の辞要旨
▽特報面(16~17面)
「『平和な日本に』」「『隣国と仲良く』」「祈った願った 靖国で 8.15ルポ」
▽社会面
トップ「平和のバトン 次世代へ/70歳 伯父の遺骨見つけるまで/14歳 祖母の年齢に『戦後』重ね」「98歳 今年も兄悼む 46歳 3歳わが子と共に」「86歳 目の前に焼夷弾『悲鳴今も耳に』」「88歳 長生きするほど父の無念が 千鳥ヶ淵墓苑」「87歳 大空襲、無数の遺体…心壊れた 戦災資料センター」
「鎮魂 祈りの灯 隅田川とうろう流し」