ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

民意が求めたのは「熟議」~「自民1強」のおごりが問われた衆院選、地方紙の社説・論説の記録

自民、公明両党の与党が大敗した衆院選の結果を、地方紙はどんなふうに見ているか、10月28日付、29日付の社説、論説を各紙のサイトでチェックしてみました。 全文を読めたものに限ってのことですが、自公の大敗の直接の要因は自民党派閥パーティー券裏…

石破政権の支持急落、しかし「続投容認」が多数派~産経、読売は辞任を求める

衆院選は自民党、公明党の与党が大敗した一方で、野党の間にも議席の過半数を占める多数派を形成できる枠組みは見えず、当面は国会での首相の指名と、どのように政権が構成されるのかが焦点のようです。自民党に対しては、石破茂首相・党総裁の責任論も指摘…

政治不信が極論の一層の台頭を招くことを危惧~衆院選 低投票率と与党大敗の意味を考える

衆院選は10月27日、投票が行われ、28日早朝に全議席、当選者が確定しました。備忘を兼ねて、主な結果を書きとめておきます。 ・自民党は公示前から56議席減らして191議席、公明党も8議席減の24議席。与党は計215議席と、石破首相が勝敗ライ…

元検事正の性暴力 被害女性が明らかにした情報漏洩やセカンドレイプ~検察の腐敗を表現する言葉が見つからない

検察という組織の腐敗ぶりは想像以上です。腐臭が漂っています。 酒に酔った状態の部下の女性に性的暴行をしたとして、準強制性交の罪に問われた北川健太郎・元大阪地検検事正の初公判が10月25日、大阪地裁で開かれました。元検事正は「争うことはしませ…

「島耕作」のデマ拡散は沖縄への理不尽の一環~「お詫び」は読者だけでいいのか 【追記】沖縄の人々にも謝罪

沖縄への基地の過剰な集中を巡って、軽視できない出来事が起きました。10月17日に発売された講談社のマンガ誌「モーニング」46号に掲載された弘兼憲史氏の「社外取締役 島耕作」に、米軍普天間飛行場の移転を巡り名護市辺野古の新基地建設工事に抗議す…

「政治とカネ」の直接当事者になった石破首相~非公認候補支部への2000万円、後手の対応

一つ前の記事の続きです。 共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が10月23日、自民党の派閥パーティー券裏金事件で自民党を非公認となった候補に関して、候補が代表となっている自民党支部に選挙の公示直後、党本部から政党助成金2000万円が振り込まれてい…

しんぶん赤旗「自民党が非公認候補支部へ2000万」の衝撃~衆院選終盤、新聞各紙も報道

10月27日に投開票の衆院選を巡り、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が10月23日、自民党の派閥パーティー券裏金事件で自民党を非公認となった候補に関して、候補が代表となっている自民党支部に選挙の公示直後、党本部から政党助成金2000万円が振…

「沈黙」の自己検証がなければ教訓も残せない~「ジャニーズ」出演解禁とNHKスペシャル「ジャニー喜多川  “アイドル帝国”の実像」

旧ジャニーズ事務所元社長の性加害と「マスメディアの沈黙」を巡って、NHKに重要な動きが二つありました。 一つは10月16日の稲葉延雄NHK会長の定例記者会見です。旧ジャニーズ事務所の所属タレントが移籍した「スタート・エンターテイメント」社に…

追悼・西田敏行さん~池中玄太と通信社、会津も薩長も

俳優の西田敏行さんの訃報が10月17日、報じられました。同日朝、自宅で病死されたとのことです。76歳。慎んで哀悼の意を表します。 長いキャリアで多彩な役を演じた方でした。わたしにとっての代表作は、テレビドラマ「池中玄太80キロ」です。最初に…

「既成政党への不信」と「ナショナリズム」~衆院選公示、有権者にどんな光景が見えているか

衆院選が10月15日、公示されました。 自民党派閥パーティー券裏金事件に絡んで岸田文雄・前首相が自民党総裁選に立候補せず、石破茂新総裁が首相に就任して8日後の解散に続く総選挙です。マスメディアの報道では、主な焦点としてまず「政治とカネ」ある…

「被爆者が立ち上がるまでに11年もの月日」(中国新聞社説)~被団協にノーベル平和賞 地方紙の社説、論説

ことし2024年のノーベル平和賞が日本原水爆被害者団体協議会(被団協)に贈られることに対して、地方紙も社説、論説で取り上げています。インターネット上の各紙のサイトで確認できた範囲で見てみました。 被爆地広島の地元紙、中国新聞は10月12日付…

「被団協にノーベル平和賞」在京紙の報道の記録~日本の役割強調の一方で、産経は「核抑止」訴え

ことし2024年のノーベル平和賞は、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が受賞することが10月11日、ノルウェーのノーベル賞委員会から発表されました。東京発行の新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京の各紙)は12日付朝刊で、いずれも…

苦痛と絶望の中で、沈黙のまま死んでいったあまたの被爆者を忘れない~日本被団協のノーベル平和賞受賞決定に思う

ことし2024年のノーベル平和賞は、日本全国の被爆者らでつくる日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が受賞することが10月11日、ノルウェーのノーベル賞委員会から発表されました。授賞理由は「核兵器のない世界の実現に尽力し、核兵器が二度と使わ…

「政治とカネ」、石破政権への信任を問う衆院選へ~大学生に教えられた政治報道、選挙報道の課題

衆議院が10月9日、解散されました。衆院選は15日公示、27日投開票の日程が正式に決まりました。石破茂内閣の発足から8日後の解散、26日後の衆院選投開票はともに、戦後最短とのこと。国会で予算委員会などの論戦がなかったことに対し、石破首相が…

「申し訳なく思う」の「所感」は謝罪なのか~えん罪の非を認めない「異常」な検事総長談話 ■追記:袴田さん弁護団「謝罪になっていない」

一つ前の記事(「なお『犯人はこの人』と後ろ指を差す検事総長談話」)の続きです。 袴田巌さんの再審無罪判決に対して控訴断念を表明した10月8日の畝本直美検事総長の談話は、本文1300字の大半を、静岡地裁の無罪判決に対する批判と不満に充てていま…

なお「犯人はこの人」と後ろ指を差す検事総長談話

やはり検察の病理は根深い、と思わざるを得ません。 静岡県清水市(現静岡市)で1966年に一家4人が殺害された事件で、強盗殺人罪で死刑が確定していた袴田巌さんに静岡地裁が言い渡した再審無罪判決に対し、畝本直美検事総長が10月8日、談話を公表し…

ゼネコン汚職と「無敗の男」~追想:検察取材と記者

少し時間がたってしまいましたが、思うところが多々ある政治家を巡るニュースです。わたし自身が経験してきた「記者」や「組織ジャーナリズム」への考えも含めて、書きとめておきます。 現職の国会議員では2番目の当選回数という衆院選当選15回の中村喜四…

石破内閣への支持は高くはない一方で、立民・野田代表への期待も高くない ■追記:「党利党略」は自民にも野党にも

石破茂内閣の発足後に実施された世論調査の結果が報じられています。10月1~2日実施の4件(朝日新聞、読売新聞、日経新聞、共同通信)と、10月3日実施の毎日新聞の調査です。石破内閣の支持率は51~46%の枠内に収まりました。岸田文雄内閣の末…

石破新政権に厳しい新聞各紙~地位協定は沖縄の過重負担是正、解消の試金石

石破茂・自民党総裁が10月1日、国会で首相に指名され、新内閣が発足しました。首相就任前から10月27日の衆院選投開票を表明したことに対し、自民党総裁選では、衆院解散は国会の論戦を経て有権者に選択の判断材料を示してから、と主張していたことと…