ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

政治・選挙

沖縄のオスプレイ飛行再開、全国メディアに報道を要請~日本本土の主権者に当事者性

米軍オスプレイの飛行再開をめぐる重要なニュースがありました。以前の記事と合わせてお読みください。重要なことだと思い、別記事にしました。 沖縄県の玉城デニー知事は、米軍普天間飛行場の米海兵隊所属のオスプレイが飛行を再開した翌15日の定例会見で…

「沖縄の訴えを足蹴にするような暴挙」(琉球新報社説)~代執行訴訟、最高裁が上告不受理で終結

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、軟弱地盤の改良工事の設計変更を承認するよう、日本政府が沖縄県の玉城デニー知事に求めた代執行訴訟で、最高裁第1小法廷は、玉城知事側の上告を受理しない決定をしたと報じられています。2月29日付と…

やはり「ザル法」温存したいのか~政倫審、岸田首相の弁明から読み取れること

自民党パーティー券裏金事件をめぐり、衆議院の政治倫理審査会(政倫審)が2月29日と3月1日の2日間、開かれました。初日は岸田文雄首相(自民党総裁)と二階派の武田良太事務総長の2人が出席。2日目は安倍派から西村康稔・元事務総長、塩谷立・元座…

政倫審開催までの曲折と検察の捜査

自民党のパーティー券裏金事件を巡って、衆議院の政治倫理審査会(政倫審)が2月29日、開催されました。中継のテレビカメラが入った完全公開で、この日は岸田文雄首相と二階派の武田良太事務総長の二人が出席しました。安倍派の事務総長経験者ら同派の衆…

仮説メモ:投票率上昇なら政権交代に現実味?~「自民と立民 支持率並ぶ」の読み解きを試みる

先週末に実施された毎日新聞の世論調査の結果が目を引きました。岸田文雄内閣の支持率は14%、不支持率は82%に達しました。政党支持率でも、自民党と立憲民主党が16%で並びました。仮に今、衆院選が実施されれば、政権交代は必至と思えるような結果…

裏金巡る虚偽記載 「派閥の指示」と弁明~検察の捜査に改めて疑問

自民党のパーティー券裏金事件で、自民党は2月15日、安倍派、二階派の議員らに対する聞き取り調査の結果を公表しました。報道によると、調査の対象は現職国会議員82人と選挙区支部長3人の計85人で、内訳は安倍派79人、二階派6人。85人中32人…

「安倍派幹部『不問』」になお8割超が疑義~民意の検察不信と新聞

自民党のパーティー券裏金事件で、自民党安倍派の政治資金収支報告書の虚偽記載に対し、東京地検は会計責任者を起訴しただけで、事務総長経験者ら派閥幹部の国会議員については不問としました。1月に実施された2件の世論調査では、「納得できない」「適切…

「安倍派幹部『不問』」に8割が疑義

自民党のパーティー券裏金事件で、自民党安倍派の政治資金収支報告書の虚偽記載に対し、東京地検は会計責任者を起訴しただけで、事務総長経験者ら派閥幹部の国会議員については不問としました。そのことへの疑問は、このブログでも触れました。東京地検が刑…

「派閥幹部は不問」に疑義を示す地方紙の社説、論説~続・検察は捜査を尽くしたか

自民党のパーティー券裏金事件をめぐり、安倍派の政治資金収支報告書への虚偽記載に対して、検察が会計責任者を起訴しただけで、事務総長経験者ら派閥幹部の政治家は不問としたことをめぐり、東京地検特捜部が捜査を尽くしたと言えるのか疑問を感じているこ…

検察は捜査を尽くしたか~裏金事件、安倍派幹部議員「不問」への疑問

自民党のパーティー券裏金事件は1月19日、東京地検特捜部が在宅捜査分について刑事処分を発表し、区切りを迎えました。派閥の政治資金収支報告書をめぐる政治資金規正法違反罪(虚偽記入)では、自民党安倍派の会計責任者、二階派の元会計責任者を在宅起…

辺野古の工事強行 本質は「地域の自己決定権」~問題意識共有する地方紙の社説、論説

沖縄の米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり、米映画監督のオリバー・ストーン氏らが辺野古の新基地建設に反対し、建設の中止を求める声明を1月6日に発表したとのニュースが目にとまりました。琉球新報の報道によると、声明には「沖縄の自己決定権、民主主…

辺野古工事強行 「乱暴で粗雑」(玉城知事)~東京発行の新聞各紙の報道は二分

沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題で、日本政府は1月10日、名護市辺野古沖の軟弱地盤の改良工事に着手しました。工事計画の変更に対する沖縄県知事の承認の権限を奪い、国土交通相による代執行を経ての着手強行です。沖縄県の玉城デニー知事は10日の記…

「安倍チルドレン」池田佳隆議員の逮捕と裏金事件が浮き彫りにするもの~まやかしの上に成り立っていた「安倍一強」

自民党のパーティー券裏金事件の捜査が大きく動きました。松の飾りも取れない1月7日、東京地検特捜部は自民党安倍派に所属していた池田佳隆・衆院議員と政策秘書を政治資金規正法違反の疑いで逮捕しました。2018年から22年の間、派閥からパーティー…

「法治をゆがめたのは政府と司法」(琉球新報)~辺野古代執行、沖縄の地元紙の社説

米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、軟弱地盤の改良工事の設計変更の承認の代執行を岸田文雄政権が強行したことに対し、沖縄の地元紙の琉球新報は12月26日付から29日付まで4日連続で社説で取り上げ、「歴史に刻まれる愚行だ」(29日付)と激しい…

辺野古移設で代執行「苦難の歴史に一層の苦難」(玉城沖縄県知事)~対話拒絶、「普天間の危険性除去」置き去り

暗澹たる気持ちの年の瀬です。 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は12月28日、辺野古沖の埋め立て工事の設計変更を沖縄県に代わって承認する代執行を行いました。これに先立つ代執行訴訟の12月20日の判決では、福岡高裁那覇支…

辺野古の代執行 自治の根幹揺るがす~普天間の危険性除去につながらない可能性も危惧、地方紙の社説、論説

沖縄の普天間飛行場移設を巡り、沖縄県の玉城デニー知事は12月25日、辺野古沖の軟弱地盤改良工事の設計変更を承認しないことを表明しました。代執行訴訟の判決で福岡高裁那覇支部は20日、承認するよう命じ、期限をこの日に指定していました。斉藤鉄夫…

「相互理解に向けて対話を重ね、抜本的解決が図られること」こそ結論ではないのか~辺野古設計変更、信を失った政権の下で代執行へ ※追記・地方自治法の規定

地域の住民の総意と言いうる民意を「公益」と認めず、国策の強行にお墨付きを与える司法判断が示されました。沖縄の米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良工事の設計変更を玉城デニー沖縄県知事が承認しないことを不服として国が争い、代執行に…

パーティー券裏金の疑惑を掘り起こしたのは特捜検察ではない~在京メディアの端緒の報じ方に危惧すること

自民党のパーティー券裏金事件の捜査に大きな動きがありました。東京地検特捜部は12月19日、政治資金規正法違反容疑で、自民党の安倍派と二階派の事務所を家宅捜索しました。裁判所から令状(捜索差押許可状)を取っての強制捜査です。引き続き、国会議…

「検察礼賛」に陥ることなく権力監視を~なぜ元首相存命中に挑まなかったのか、その検証も組織ジャーナリズムの役割

自民党の安倍派(清和会)の所属国会議員を中心に、パーティー券の売り上げの一部が裏金化していた問題の報道が連日続いています。12月13日に臨時国会が閉会したことから、いくつかの新聞では14日付の朝刊1面に「本格捜査へ」の大きな見出しとともに…

細田衆院議長の不見識の報じ方~記者会見の可視化とマスメディアのありよう ※追記・表差し替え

細田博之衆院議長が10月13日、議長公邸で記者会見を開き、健康上の理由で議長を辞任することを表明しました。当日、中継を見ていなかったので後刻、テレビ局がネット上にアップロードした録画を視聴しました。出席者や時間を制限し、最後は質問を続けよ…

「日本本土の国民に伝えたい」(琉球新報) 安全保障の負担は日本全体の問題~辺野古埋め立て・代執行と本土メディアの報道

米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐって先週来、重要な動きが続いています。 埋め立て予定地にマヨネーズ状とも指摘される軟弱地盤があるために、防衛省は当初の設計を変更せざるをえなくなりました。その変更の申請を沖縄県の玉城デニー知事が承認しな…

続・沖縄県知事はなぜ国連で訴えざるを得ないのか~「ゆがみ際立つ政府の反論」(信濃毎日)「日本の知事の資格疑う」(産経)

一つ前の記事の続きです。 沖縄県の玉城デニー知事が、国連欧州本部で開かれた人権理事会に出席し、基地負担の現状などを訴えたことに対し、日本本土の新聞では信濃毎日新聞と産経新聞が社説で取り上げているのが目に止まりました。 信濃毎日新聞の社説は9…

「問われているのは民主主義の在り方」(琉球新報)~処理汚染水放出 地方紙の社説、論説の記録

一つ前の記事の続きです。 東京電力福島第1原発で生じた汚染水を処理した水の海洋放出に対し、多くの地方紙も社説、論説で取り上げています。全国紙各紙と同様に、23日付に掲載した新聞が多いようです。放出の開始日が決まったのが8月22日だったことか…

実現されるべきは地域の「自己決定権」~処理水放出 「将来に禍根残す」(共同通信配信の論説)

東京電力は8月24日、福島第1原発の処理水の海洋への放出を始めました。破損した原子炉を冷却するために注入した水や、原子炉に流れ込んだ地下水、雨水は放射性物質に汚染されています。放射性物質を取り除く処理をし、除去できずに残っているトリチウム…

旧統一教会と自民党 関係解明を求める地方紙~安倍元首相銃撃から1年の社説、論説

安倍晋三元首相が奈良市で参院選の応援演説中に撃たれ、死亡してから7月8日で1年がたちました。8日前後に東京発行の新聞各紙がどのような報道を展開したかを、このブログの以前の記事に書きとめました。続いて、地方紙が1年の節目をどのようにとらえて…

安倍元首相と「安倍政治」の評価に差異~銃撃、殺害から1年、在京各紙の報道の記録

安倍晋三元首相が奈良市で参院選の応援演説中に撃たれ、死亡したのは昨年、2022年の7月8日でした。選挙演説の安全の確保と要人警護のありよう、旧統一教会と政治、中でも自民党との関係、教団の詐欺的商法や「宗教2世」の救済、国葬のありよう、そし…

「政府の意図と県民の思いに大きな開き」(琉球新報社説)~沖縄戦から78年、軍拡の中で迎えた「慰霊の日」

第2次世界大戦末期の1945年6月23日、日米両軍の間で激しい地上戦がたたかわれた沖縄戦は、日本軍守備隊の司令官、参謀長の自死により、日本軍の組織的な戦闘が終結したとされます。沖縄県はこの日を「慰霊の日」と定めています。沖縄戦から78年の…

「ジェンダーギャップ報告」の報道に大きな差異

世界経済フォーラム(WEF)6月21日、各国の男女平等度を順位付けした「男女格差(ジェンダーギャップ)報告」を公表しました。日本は対象146カ国のうち125位。2019年公表時の121位を下回り、過去最低とのことです。先進7カ国(G7)で…

岸田軍拡と自衛隊組織の本質を深く広く洞察する地方紙~候補生が上官3人殺傷 各紙の社説

自衛官候補生が訓練中、小銃で上官を撃ち3人が殺傷された事件は、原因究明は当然のこととして、自衛隊という軍事組織の疲弊を疑い、これ以上の負荷を避けることが必要だと感じていることを、一つ前の記事に書きました。上官に銃口を向けることは、指示命令…

ガーシー元参院議員逮捕の報道の記録~目立つ警察捜査の詳報 ※追記「ドバイ発・ガーシー逮捕の一部始終」

一つ前の記事と関連する内容ですが、別の記事にします。ガーシー(本名・東谷義和)元参院議員が6月4日、成田空港着の航空機で帰国し、警視庁に逮捕状を執行されたことを、5日付の東京発行の新聞各紙がどのように報じたか、その記録です。 本記を1面に掲…