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信を失った岸田政権が戦闘機の輸出解禁を進める危うさ~民意は依然、賛否拮抗

 TBS系列のJNNが3月30~31日に実施した世論調査の結果が報じられています。日本が英伊と共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出を解禁するとの政府方針に対しては、賛成42%、反対40%でした。このブログの以前の記事で書いた通り、3月15日に与党の自民、公明両党が合意して以降の世論調査では、肯定的評価と否定的評価は拮抗しています。JNN調査でも同様の結果です。ただ、賛否がはっきりしない層も18%と、無視できないボリュームに達している点には留意したいと思います。今後、輸出解禁をめぐる社会的議論が深まれば、意見が変わる人が増える可能性があると、わたしは考えています。

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 もう一つ、岸田文雄内閣に対する支持の低さにも留意が必要だと思います。JNN調査では内閣支持率は前月から0.1ポイント減の22.8%。6カ月連続の下落でした。3月の先行各社の調査でも、内閣支持率は軒並み20%台前半から半ばの低い水準で、上向く兆しはありません。自民党の派閥パーティー券裏金事件が最大の要因と感じます。政権、与党、そして政治への不信が高まったままです。
 問題だと思うのは、信を失っている政権が、戦闘機の輸出解禁のような国論が割れている事項を、国会での審議を通さずに強引に決めてしまうことの危うさです。武器の輸出拡大それ自体、さらには極端な軍拡路線も、岸田政権の下で進んでいることにやはり危うさを感じます。仮に武器の輸出拡大を支持するとしても、信を失っている政権が一方的な手法で進めていいのかどうかは、まったく別の問題です。

※参考過去記事

news-worker.hatenablog.com

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