ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

新聞・マスメディア

沖縄のオスプレイ飛行再開、全国メディアに報道を要請~日本本土の主権者に当事者性

米軍オスプレイの飛行再開をめぐる重要なニュースがありました。以前の記事と合わせてお読みください。重要なことだと思い、別記事にしました。 沖縄県の玉城デニー知事は、米軍普天間飛行場の米海兵隊所属のオスプレイが飛行を再開した翌15日の定例会見で…

新幹線 敦賀延伸の「歓喜」と「関西~北陸」から「東京~北陸」へのシフト感

北陸新幹線の金沢~敦賀の延伸区間が3月16日、開業しました。新幹線網に福井県が加わりました。この日はたまたま、所要でJR横浜駅に行く機会がありました。そこかしこで「北陸新幹線」と「福井」をアピール。「新幹線で福井へ行こう!」のモードでした。…

「中立」の壁を越えるジャーナリズムへ~MBS「記者たち~多数になびく社会の中で~」(視聴を推奨します)

大阪市に本社を置く民放準キー局のMBS(毎日放送)は毎月1回、日曜深夜の0時50分から自局制作のドキュメンタリー番組「映像‘24」を放送しています。1980年4月に「映像‘80」で始まって以来、40年以上も続いており、質の高さで知られます。…

「沖縄の訴えを足蹴にするような暴挙」(琉球新報社説)~代執行訴訟、最高裁が上告不受理で終結

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、軟弱地盤の改良工事の設計変更を承認するよう、日本政府が沖縄県の玉城デニー知事に求めた代執行訴訟で、最高裁第1小法廷は、玉城知事側の上告を受理しない決定をしたと報じられています。2月29日付と…

やはり「ザル法」温存したいのか~政倫審、岸田首相の弁明から読み取れること

自民党パーティー券裏金事件をめぐり、衆議院の政治倫理審査会(政倫審)が2月29日と3月1日の2日間、開かれました。初日は岸田文雄首相(自民党総裁)と二階派の武田良太事務総長の2人が出席。2日目は安倍派から西村康稔・元事務総長、塩谷立・元座…

政倫審開催までの曲折と検察の捜査

自民党のパーティー券裏金事件を巡って、衆議院の政治倫理審査会(政倫審)が2月29日、開催されました。中継のテレビカメラが入った完全公開で、この日は岸田文雄首相と二階派の武田良太事務総長の二人が出席しました。安倍派の事務総長経験者ら同派の衆…

裏金巡る虚偽記載 「派閥の指示」と弁明~検察の捜査に改めて疑問

自民党のパーティー券裏金事件で、自民党は2月15日、安倍派、二階派の議員らに対する聞き取り調査の結果を公表しました。報道によると、調査の対象は現職国会議員82人と選挙区支部長3人の計85人で、内訳は安倍派79人、二階派6人。85人中32人…

正確な情報の共有は「感情の氾濫」を止める~「文章作法」で気付かされた視点

東京近郊の大学で非常勤講師を務めていた「文章作法」の授業が先日、終了しました。2年間の非常勤講師の任期も3月で終了します。 最後の授業で講評した課題は小論文。メディアやコミュニケーションに関心がある学生を対象にした講座ですので、テーマは「ニ…

「安倍派幹部『不問』」になお8割超が疑義~民意の検察不信と新聞

自民党のパーティー券裏金事件で、自民党安倍派の政治資金収支報告書の虚偽記載に対し、東京地検は会計責任者を起訴しただけで、事務総長経験者ら派閥幹部の国会議員については不問としました。1月に実施された2件の世論調査では、「納得できない」「適切…

能登半島地震から1カ月の在京各紙(備忘)

能登半島地震は2月1日、発生から1カ月となりました。死者は震災関連死が疑われる方を含め238人、安否不明者は19人と報じられています。避難生活を送っている方は約1万4千人に上ります。犠牲になった方々にあらためて哀悼の意を表します。1日も早…

「最期は本名で」の真意は何だったのか~「狼煙を見よ 東アジア反日武装戦線“狼”部隊」(松下竜一)が描く検事の説得に思うこと

先週1月26日、驚きのニュースに接しました。神奈川県内の病院に入院している男性が、1974年8月の三菱重工爆破事件など、74年から75年にかけて起きたいわゆる「連続企業爆破事件」の一部に関与したとして指名手配されている「桐島聡」を名乗って…

「派閥幹部は不問」に疑義を示す地方紙の社説、論説~続・検察は捜査を尽くしたか

自民党のパーティー券裏金事件をめぐり、安倍派の政治資金収支報告書への虚偽記載に対して、検察が会計責任者を起訴しただけで、事務総長経験者ら派閥幹部の政治家は不問としたことをめぐり、東京地検特捜部が捜査を尽くしたと言えるのか疑問を感じているこ…

検察は捜査を尽くしたか~裏金事件、安倍派幹部議員「不問」への疑問

自民党のパーティー券裏金事件は1月19日、東京地検特捜部が在宅捜査分について刑事処分を発表し、区切りを迎えました。派閥の政治資金収支報告書をめぐる政治資金規正法違反罪(虚偽記入)では、自民党安倍派の会計責任者、二階派の元会計責任者を在宅起…

「文章作法」と新聞

東京近郊の大学で非常勤講師を務めている「文章作法」の年明け最初の授業が先日、ありました。「年明け最初」と言っても、次回が最終回。この大学での2年間の任期が間もなく終わります。 授業では、履修生たちに冬休みの宿題として小論文を課していました。…

辺野古の工事強行 本質は「地域の自己決定権」~問題意識共有する地方紙の社説、論説

沖縄の米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり、米映画監督のオリバー・ストーン氏らが辺野古の新基地建設に反対し、建設の中止を求める声明を1月6日に発表したとのニュースが目にとまりました。琉球新報の報道によると、声明には「沖縄の自己決定権、民主主…

辺野古工事強行 「乱暴で粗雑」(玉城知事)~東京発行の新聞各紙の報道は二分

沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題で、日本政府は1月10日、名護市辺野古沖の軟弱地盤の改良工事に着手しました。工事計画の変更に対する沖縄県知事の承認の権限を奪い、国土交通相による代執行を経ての着手強行です。沖縄県の玉城デニー知事は10日の記…

「安倍チルドレン」池田佳隆議員の逮捕と裏金事件が浮き彫りにするもの~まやかしの上に成り立っていた「安倍一強」

自民党のパーティー券裏金事件の捜査が大きく動きました。松の飾りも取れない1月7日、東京地検特捜部は自民党安倍派に所属していた池田佳隆・衆院議員と政策秘書を政治資金規正法違反の疑いで逮捕しました。2018年から22年の間、派閥からパーティー…

新聞労連が委員長見解を公表「読者の信頼に応える災害・事故報道を続けるために」

1月1日に発生した能登半島地震は、6日朝の段階の報道で、94人の方が亡くなられたと報じられています。道路の被害の大きさなどから、安否不明の方々の確認が進まないとも伝えられています。無事が確認されることを願っています。犠牲になった方々に哀悼…

「無言館」館主の「後ろめたさ」への共感と「負い目」の自覚~2024年の年頭に

新年早々の1月1日午後4時過ぎ、石川県・能登地方で震度7の地震があり、大津波警報が発令されました。一夜明けた2日朝の段階で、被害の全容はなお定かではありません。亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表し、被災された方々にお見舞いを申し上げます…

「法治をゆがめたのは政府と司法」(琉球新報)~辺野古代執行、沖縄の地元紙の社説

米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、軟弱地盤の改良工事の設計変更の承認の代執行を岸田文雄政権が強行したことに対し、沖縄の地元紙の琉球新報は12月26日付から29日付まで4日連続で社説で取り上げ、「歴史に刻まれる愚行だ」(29日付)と激しい…

辺野古移設で代執行「苦難の歴史に一層の苦難」(玉城沖縄県知事)~対話拒絶、「普天間の危険性除去」置き去り

暗澹たる気持ちの年の瀬です。 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は12月28日、辺野古沖の埋め立て工事の設計変更を沖縄県に代わって承認する代執行を行いました。これに先立つ代執行訴訟の12月20日の判決では、福岡高裁那覇支…

辺野古の代執行 自治の根幹揺るがす~普天間の危険性除去につながらない可能性も危惧、地方紙の社説、論説

沖縄の普天間飛行場移設を巡り、沖縄県の玉城デニー知事は12月25日、辺野古沖の軟弱地盤改良工事の設計変更を承認しないことを表明しました。代執行訴訟の判決で福岡高裁那覇支部は20日、承認するよう命じ、期限をこの日に指定していました。斉藤鉄夫…

朝日新聞が「沈黙」の自己検証を第三者の意見とともに公表~教訓を明確にし組織内に徹底させるために

旧ジャニーズ事務所元社長の性加害と「マスメディアの沈黙」を巡って、朝日新聞が12月25日付の朝刊紙面に、社内の聞き取り調査の結果と第三者機関「メディアと倫理委員会」の意見や指摘を掲載しました。 記事によると、調査の対象は週刊文春が連載でジャ…

「相互理解に向けて対話を重ね、抜本的解決が図られること」こそ結論ではないのか~辺野古設計変更、信を失った政権の下で代執行へ ※追記・地方自治法の規定

地域の住民の総意と言いうる民意を「公益」と認めず、国策の強行にお墨付きを与える司法判断が示されました。沖縄の米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良工事の設計変更を玉城デニー沖縄県知事が承認しないことを不服として国が争い、代執行に…

パーティー券裏金の疑惑を掘り起こしたのは特捜検察ではない~在京メディアの端緒の報じ方に危惧すること

自民党のパーティー券裏金事件の捜査に大きな動きがありました。東京地検特捜部は12月19日、政治資金規正法違反容疑で、自民党の安倍派と二階派の事務所を家宅捜索しました。裁判所から令状(捜索差押許可状)を取っての強制捜査です。引き続き、国会議…

軍事最優先の下で人命は軽視される~オスプレイ墜落と82年前の日本の戦争の底流に共通すること

昨年の春から2年間の予定で、東京近郊の大学で「文章作法」の講座の非常勤講師を務めています。いい文章を書くには、日ごろから社会とのかかわりを意識しておくことが大事だとアドバイスしており、その一助として授業では毎回、時々のニュースを1件取り上…

「検察礼賛」に陥ることなく権力監視を~なぜ元首相存命中に挑まなかったのか、その検証も組織ジャーナリズムの役割

自民党の安倍派(清和会)の所属国会議員を中心に、パーティー券の売り上げの一部が裏金化していた問題の報道が連日続いています。12月13日に臨時国会が閉会したことから、いくつかの新聞では14日付の朝刊1面に「本格捜査へ」の大きな見出しとともに…

飛行停止、日本政府は明確に要求したのか~オスプレイ墜落から1週間余、ようやく米軍が決定  ※追記 “あいまい要請”官房長官も

一つ前の記事の続きです。米軍は12月6日、輸送機V22オスプレイ全機の飛行を停止することを発表しました。日本では翌7日午前中に報じられました。鹿児島県・屋久島沖に11月29日、東京・横田基地所属の米空軍CV22が墜落してから1週間以上も経…

危険は沖縄も東京も変わらない~オスプレイ墜落、焦点は配備撤回と日本の主権

開発段階からトラブル続きで安全性に疑念がある軍用機が、運用段階に入っても各地で墜落事故を起こし、とうとう日本国内でも墜落して死者が出た。日本中いつ、どこで市街地に墜落するか分からない。そんな事態ではないのか―。 11月29日午後、鹿児島県・…

「自己検証」が問われているのはテレビだけではない~「沈黙」を重ねることへの危惧 追記:TBSが特別委の調査結果公表

旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長による性加害と「マスメディアの沈黙」に対して、テレビ朝日が11月12日に1時間の自己検証の番組を放送しました。9月11日にNHKが「クローズアップ現代」で、自局を含めてテレビが報じてこなかった経緯を…