ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

2010-01-01から1年間の記事一覧

これからの10年は「希望」のために

2010年は、50歳になった人生の節目の年でした。 22歳で「新聞記者」の仕事に就いて以来、20代、30代、40代と10年を節目にその時々で将来を考えるようになっていました。20代は修行、30代の10年間が現場で記者として何がやれるかの勝負…

「同僚市民」を伝え「歴史の第一稿」を報じる〜「英国式事件報道〜なぜ実名にこだわるのか」(澤康臣 文芸春秋)

マスメディアの報道の実務でもっとも頭を悩ませるものの一つに「実名で報じるか、匿名とするか」の問題があります。運用上のルールは「原則は実名、ケースバイケースで匿名も」ですが、とりわけ事件事故の報道では、きれいに切り分けることが難しいケースが…

40年前のコザ騒動を知っていますか

沖縄県名護市在住の作家、目取真俊さんのブログでこの動画を知りました。12月20日の沖縄テレビの放送です。 ※海鳴りの島から「40年前の叫び」 http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/447e7ec816a13f7e7b7c88affac21a2a 1970年当時、北九州市で小学生…

「記事の評価」を理由にできれば記者の解雇は簡単

記者の働き方を考える上で、見過ごせない出来事が目に留まりました。経済・金融情報をメインにする米ブルームバーグの東京支局で記者として働いていた男性(48)が、達成困難なノルマを会社に課せられた上、ノルマが達成できなかったことを理由に解雇され…

お知らせ:12月14日に「公開シンポジウム 沖縄から問う日本の現在―沖縄密約情報公開訴訟の控訴審の意義」

イベントの案内をいただきました。転載して紹介します。 公開シンポジウム 沖縄から問う日本の現在―沖縄密約情報公開訴訟の控訴審の意義日時:2010年12月14日(火)午後6時30分〜8時30分 場所:弁護士会館5階508ABC号室 (東京メトロ霞ヶ関…

お知らせ:12月12日に新聞奨学生カフェ

イベントの案内をいただきました。転載して紹介します。 新聞奨学生カフェ 日時 2010年12月12日(日)13:00〜17:00(途中参加、退室可) 場所 中野桃園会館小会議室B(丸井側の和室)(東京都中野区中野3丁目35-1) 会費 500円(軽食、飲料購入のため) 当…

「通過駅」阻止を狙っていた幻の「新幹線青森駅」案〜新幹線その3

12月4日の東北新幹線全線開業のエントリーの中で、盛岡以北の計画決定と着工が遅れた要因として、青森市内の新幹線駅を現青森駅併設とするか、新駅とするかで青森市と青森県の意見が食い違ってまとまらなかったと書きました。この点について、NHK仙台…

筑後川と久留米駅のクジャク〜続・新幹線

東北新幹線の全線開業に続いて、来年3月には九州新幹線鹿児島ルートの博多〜新八代間が開業し、新青森から鹿児島中央までをつなぐ新幹線「大動脈」が完成します。東北でも九州でも、地元自治体などはこのことを強く意識してPRしているようで、八戸〜新青…

24年前の1本の記事〜東北新幹線全線開業までに38年(追記あり)

1986年11月1日、当時青森で勤務していたわたしが書いた1本の記事を紹介します。 【青森】東北新幹線盛岡以北(盛岡―青森)の本格着工が凍結状態の中、同新幹線と奥羽線が接続する新青森駅(青森市石江高間)が一日、国鉄のダイヤ改正に合わせて一足…

差別構造は可視化されている〜沖縄知事選の結果が日本人に突き付けているもの

今回の沖縄知事選で、米軍普天間飛行場の移設問題を争点として思い切って単純に図式化するなら、日本本土(ヤマト)で引き取れと訴える仲井真弘多氏に対して、伊波洋一氏は米国に引き取りを求めていました。仲井真氏の当選は、実はヤマトに住む一人一人の日…

ヤマトメディアの論調に差異も〜沖縄知事選の大手紙社説

前回のエントリーでも予想していましたが、28日の沖縄県知事選を取り上げた本土(ヤマト)の大手紙社説は、それぞれのメディアのスタンスを反映させた内容になっているように思えます。29日午前のネット上での検索がベースですが、各紙の社説の見出しを…

もはや沖縄に「県内移設受け入れ」の世論はない

事実上の一騎打ちとして激戦が伝えられていた沖縄県知事選は28日、現職の仲井真弘多氏が前宜野湾市長の伊波洋一氏を破り再選されました。マスメディアは本土(ヤマト)メディア、沖縄メディアを問わず、米軍普天間飛行場の移設問題を最大の焦点と位置づけ…

お知らせ:12月4日にスイッチオン・プロジェクトがフォーラム

お知らせです。スイッチオン・プロジェクトが12月4日(土)に東海大学湘南キャンパスで「ジャーナリストエデュケーションフォーラム2010」を開催します。詳細は以下のプロジェクトのブログにアップされています。 http://blog.goo.ne.jp/321switchon/e/51…

お知らせ:10月24日に東京で新聞労連の就職フォーラム

お知らせです。 今年も新聞労連が主催する、新聞記者志望向けの就職フォーラムを開催します。 ■日時=10月24日(日)の午前10時〜午後5時まで ■場所=飯田橋の東京しごとセンター地下講堂 ■参加費=1000円(新聞業界を概括した資料代の実費です) ■フォーラ…

あらためて「教えるは学ぶに通ず」

4月から7月まで非常勤講師として講義を担当した明治学院大学から、「授業評価調査」の結果が送られてきました。受講した学生たちに文字通り、授業内容をアンケート方式で評価してもらうものです。2年前に非常勤講師を務めた際に経験済みでしたので、今回…

普天間移設と沖縄報道は本土メディアの試金石になる

昨年の政権交代から16日で1年がたちました。直前の14日には民主党の代表選で菅直人首相が小沢一郎元同党幹事長を破り再選。17日に改造内閣が発足しました。当面、わたしが注目しているのは、米軍普天間飛行場の移設問題の帰すうです。菅首相は、沖縄…

新聞の扱いが分かれた鯨肉裁判判決〜知られなければ議論は深まらない

調査捕鯨の捕鯨船船員が自宅に送った鯨肉を運送会社から持ち去り、窃盗と住居侵入の罪に問われた環境保護団体グリーンピース・ジャパンのメンバー2人に、青森地裁が6日、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。2年前、持ち出した鯨肉をグリ…

「記者体験プログラム」遅めの振り返り〜「分かっている」と「できる」の差異

8月6日から8日までの2泊3日、東京・代々木のオリンピック記念青少年総合センターで行われたスイッチオン・プロジェクト「記者体験プログラム」に、参加学生・大学院生の模擬取材をサポートするデスク役として参加しました。日がたってしまいましたが、…

戦争と平和と歴史〜8月15日に考えたこと

ことしも8月15日を迎えました。日本とアジア各地におびただしい犠牲者を生んだ戦争が、日本の敗戦で終わってから65年がたちました。8月は6日の広島、9日の長崎への原爆投下、そして15日の敗戦の日と、新聞各紙にも連日、戦争体験の継承や平和につ…

ひとこと:女性自衛官の勝訴確定と普天間訴訟の行方

一つ前のエントリーで取り上げた航空自衛隊の女性自衛官に対する性的暴行と退職強要を認定した7月29日の札幌地裁判決が、13日午前零時で確定しました。防衛省は12日、控訴を断念することを表明しました。 「セクハラ訴訟で国控訴断念 『感無量』と元…

「個」が尊重されない自衛隊〜札幌地裁が性的暴行と退職強要を認定

7月29日は一つ前のエントリー(「『飛行差し止め』を実現させるもの」)で触れた普天間爆音訴訟のほかにも、個人的に注目していた司法判断がありました。北海道の航空自衛隊レーダー基地で階級が上の自衛官の男から強姦未遂の暴行を受けた上、相談した上…

「飛行差し止め」を実現させるもの

沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の周辺住民らが、米軍機の飛行差し止めと損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が7月29日、福岡地裁那覇支部(河辺義典裁判長)であり、飛行差し止めは一審判決に続いて退けられましたが、賠償額は2・5倍に引き上げら…

本気の夏になりそう〜デスクへのインタビューが次々アップ

8月6〜8日の2泊3日、東京・代々木のオリンピック記念青少年総合センターで行われるスイッチオン・プロジェクト「記者体験プログラム」に向けて、学生運営委員もがんばっています。プログラム初日の夜から、模擬取材体験に合流する現役記者や研究者らデ…

問われていたのは「団結の価値」〜新聞労連結成60周年

22日の夜、東京都内で開かれた新聞労連(日本新聞労働組合連合)の「結成60周年記念の集い」に参加しました。新聞労連は1950年6月30日の結成から1期1年で執行部をつなぎ、わたしが委員長に在籍した2004、05年度は55期、56期というこ…

特ダネも誤報も― スリリングな「記者体験」に

8月6〜8日の2泊3日、東京・代々木のオリンピック記念青少年総合センターで行われるスイッチオン・プロジェクト「記者体験プログラム」で、参加学生・大学院生の模擬取材をサポートするデスク役のミーティングが17日午後、東京都内で開かれ、わたしも…

非常勤講師の授業が無事終了

4月から毎週土曜日の午前中に続けてきた明治学院大学社会学部の非常勤講師は10日、全14回の授業を無事に終えました。ここ数年のわたし自身の考察テーマである企業内記者の働き方と、インターネットの普及による社会の情報流通の変化、それに伴うマスメ…

再び「ジャーナリズムを担うのはだれか」

明治学院大社会学部での非常勤講師は今週末10日の授業で全14コマを終えます。前回(3日)と次回で「新しいジャーナリズムへ」と題して、新聞を中心にこれからのマスメディアとそこで働く記者のありようについて、さらにはマスメディアの専有ではない多…

重さを手に感じ取り「沖縄」を追う〜琉球新報を購読

今月から沖縄の琉球新報を自宅で購読することにしました。2、3日遅れとのことですが、郵送で届きます。初日のきょう(3日)は1日付と2日付が同時に届きました。東京でも場合によっては翌日に読めるわけで、これは早いな、と感じました。本当はもう一つ…

週刊東洋経済の特集「激烈!メディア覇権戦争」

週刊 東洋経済 2010年 7/3号 [雑誌]出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2010/06/28メディア: 雑誌購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (14件) を見る 6月28日発売の週刊東洋経済(7月3日号)が「メディア覇権戦争」の特集を組んでいるの…

新聞記者とジャーナリストの間

4月から毎週土曜日午前中の日課になっている明治学院大社会学部の非常勤講師の講義では、6月26日の前回まで3回にわたって「新聞記者とジャーナリストの間」をテーマに話しました。早いもので残りは7月3日と10日の2回。この2回で、授業全体を通じ…