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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

政治・選挙

斎藤知事「法に抵触することしていない」、でもSNSで“炎上”やまず~潮目変わり新たな展開 兵庫県知事選に思うこと・その5

兵庫県知事選とSNSを巡って、新たな展開が始まっていると感じます。 再選された斎藤元彦知事の広報全般を任されていたとして、PR会社「merchu」代表取締役の折田楓氏が、斎藤知事との打ち合わせなどとする写真や提案資料のスライドなどとともに経…

「何があったのか」の疑問に応える組織ジャーナリズムを~SNS戦略のnote改変とマスメディア 兵庫県知事選に思うこと・その4

兵庫県知事選で、斎藤元彦知事のSNS戦略を担当していたという方が11月20日午前、インターネット上の「note」に「兵庫県知事選挙における戦略的広報:『#さいとう元知事がんばれ』を『#さいとう元彦知事がんばれ』に」とのタイトルの記事をアップロー…

「公益通報者の保護」の論点と、首長、議会の二元代表制の意義~兵庫県知事選に思うこと・その3

兵庫県知事選の経緯をあらためて振り返ると、このままないがしろにはできないことが一つあると感じます。斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発していた文書の扱いです。公益通報者の保護の問題の根幹にかかわるからです。 文書は兵庫県の元西播磨県民局長が…

なぜ有権者はネットを開いたか~キーワードは「立花孝志」 続・兵庫県知事選に思うこと ※追記「テレビや新聞が、SNSに選挙報道の主役の座を譲った転換点」 ※追記2「NHK会長が選挙報道の検討表明」

斎藤元彦元知事が再選された兵庫県知事選について、全国紙の中で興味深く読んだ記事がいくつかあります。 このブログの一つ前の記事で触れた「マスメディアの敗北」については、朝日新聞のいくつかの記事が参考になると感じました。特に西田亮介・日大教授へ…

都知事選でマスメディアは既に敗北していたのではなかったか~兵庫県知事選に思うこと

斎藤元彦前知事の失職に伴う兵庫県知事選は11月17日に投開票があり、斎藤氏が再選されました。県議会が全会派一致で斎藤前知事の不信任決議を可決。選挙戦の当初は稲村和美・元尼崎市長のリードが伝えられていましたが、逆転しました。 東京にいて、マス…

堀江貴文氏「住民の危険よりジュゴン」発言の危うさ~「悪意」でなければ「粗雑」 ニューズピックの姿勢に疑問

沖縄への基地の過剰な集中を巡って、また軽視できない出来事が起きました。日本本土のマスメディアではほとんど報道を目にしません。そのことを含めて、日本本土の側の沖縄に対する構造的とも呼ぶほかない無知と無理解を感じます。経緯を書きとめておきます…

市長22人の異例の表明をマスメディアが報じる意義~混迷、混乱の兵庫県知事選

11月17日に投開票の兵庫県知事選を巡って、異例の出来事がありました。県内の29人の市長でつくる市長会の有志22人が14日、無所属で立候補している稲村和美・前尼崎市長を支持することを表明しました。うち7人が記者会見して明らかにしました。地…

百田尚樹・日本保守党代表「子宮摘出」発言の危うさ~「社会構造を変える」発想に潜むもの

日本保守党の百田尚樹代表が、11月8日に配信したユーチューブ上の番組で、同党の有本香事務総長らと少子化対策を話した際、若い女性に子どもを産んでもらうためには社会構造を変えるしかないと主張し、「女性は18歳から大学に行かさない」「25歳を超…

トランプ再登場と民主主義が内包する自己矛盾~歴史に学び、戦争の愚を繰り返さない

米大統領選は日本時間の11月6日午後、共和党のトランプ元大統領が民主党のハリス副大統領を破って当選を決めました。事前の米メディアの世論調査結果を元に、日本メディアも大接戦と報じていましたが、開票の序盤から終始、トランプリードの状況が続き、…

石破内閣の支持急落、続投は容認の傾向変わらず~国民民主の「部分連合」には理解か 世論調査の記録

衆院選から1週間となる先前週の読売新聞、共同通信の両調査では、「辞めるべき」とする回答は3割を切っていました。1週間たって、2割台の前半とさらに水準が下がっています。 自民党総裁の交代と衆院解散・総選挙は、自民党の派閥パーティー券裏金事件が…

公約実現へ、野党にも党利党略なのか~国民民主との「部分連合」で自公政権継続の方向

衆院選後の政権のありようの輪郭が見えてきたように感じます。 自民党の森山裕幹事長と、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が10月31日に会談し、榛葉幹事長は、首相指名選挙では決選投票も含めて国民民主党の議員は玉木雄一郎代表に投票することを伝えたと報…

民意が求めたのは「熟議」~「自民1強」のおごりが問われた衆院選、地方紙の社説・論説の記録

自民、公明両党の与党が大敗した衆院選の結果を、地方紙はどんなふうに見ているか、10月28日付、29日付の社説、論説を各紙のサイトでチェックしてみました。 全文を読めたものに限ってのことですが、自公の大敗の直接の要因は自民党派閥パーティー券裏…

石破政権の支持急落、しかし「続投容認」が多数派~産経、読売は辞任を求める

衆院選は自民党、公明党の与党が大敗した一方で、野党の間にも議席の過半数を占める多数派を形成できる枠組みは見えず、当面は国会での首相の指名と、どのように政権が構成されるのかが焦点のようです。自民党に対しては、石破茂首相・党総裁の責任論も指摘…

政治不信が極論の一層の台頭を招くことを危惧~衆院選 低投票率と与党大敗の意味を考える

衆院選は10月27日、投票が行われ、28日早朝に全議席、当選者が確定しました。備忘を兼ねて、主な結果を書きとめておきます。 ・自民党は公示前から56議席減らして191議席、公明党も8議席減の24議席。与党は計215議席と、石破首相が勝敗ライ…

「政治とカネ」の直接当事者になった石破首相~非公認候補支部への2000万円、後手の対応

一つ前の記事の続きです。 共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が10月23日、自民党の派閥パーティー券裏金事件で自民党を非公認となった候補に関して、候補が代表となっている自民党支部に選挙の公示直後、党本部から政党助成金2000万円が振り込まれてい…

しんぶん赤旗「自民党が非公認候補支部へ2000万」の衝撃~衆院選終盤、新聞各紙も報道

10月27日に投開票の衆院選を巡り、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が10月23日、自民党の派閥パーティー券裏金事件で自民党を非公認となった候補に関して、候補が代表となっている自民党支部に選挙の公示直後、党本部から政党助成金2000万円が振…

「政治とカネ」、石破政権への信任を問う衆院選へ~大学生に教えられた政治報道、選挙報道の課題

衆議院が10月9日、解散されました。衆院選は15日公示、27日投開票の日程が正式に決まりました。石破茂内閣の発足から8日後の解散、26日後の衆院選投開票はともに、戦後最短とのこと。国会で予算委員会などの論戦がなかったことに対し、石破首相が…

ゼネコン汚職と「無敗の男」~追想:検察取材と記者

少し時間がたってしまいましたが、思うところが多々ある政治家を巡るニュースです。わたし自身が経験してきた「記者」や「組織ジャーナリズム」への考えも含めて、書きとめておきます。 現職の国会議員では2番目の当選回数という衆院選当選15回の中村喜四…

石破内閣への支持は高くはない一方で、立民・野田代表への期待も高くない ■追記:「党利党略」は自民にも野党にも

石破茂内閣の発足後に実施された世論調査の結果が報じられています。10月1~2日実施の4件(朝日新聞、読売新聞、日経新聞、共同通信)と、10月3日実施の毎日新聞の調査です。石破内閣の支持率は51~46%の枠内に収まりました。岸田文雄内閣の末…

石破新政権に厳しい新聞各紙~地位協定は沖縄の過重負担是正、解消の試金石

石破茂・自民党総裁が10月1日、国会で首相に指名され、新内閣が発足しました。首相就任前から10月27日の衆院選投開票を表明したことに対し、自民党総裁選では、衆院解散は国会の論戦を経て有権者に選択の判断材料を示してから、と主張していたことと…

石破新総裁「日米地位協定見直し」必ず実現を~沖縄の自己決定権は最優先の課題

自民党の新総裁に9月27日、石破茂・元幹事長が選出されました。候補9人が乱立する中で1回目の投票でトップになったのは高市早苗・経済安全保障担当相でした。閣僚でありながら靖国神社に参拝し、首相就任後の参拝も否定しないなど、ある意味、右派色の…

不祥事続きの海自にさらに負荷の悪循環~護衛艦の台湾海峡通過への危惧

海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が9月25日、台湾海峡を通過したと報じられました。最初に報じたのは読売新聞のようです。※「海自護衛艦『さざなみ』が台湾海峡を初通過、岸田首相が派遣指示…軍事的威圧強める中国をけん制」=9月26日05:00 https:…

石破元幹事長「日米地位協定見直す」発言のニュースバリュー ※追記:本土メディアに役割と責任

自民党総裁選で9月17日、「おやっ」と思うニュースがありました。那覇市で開かれた候補者9人の演説会で、石破茂元幹事長が、日米地位協定の見直しに着手することを表明しました。 共同通信の速報がネット上に流れたのは午後4時半ごろ。見出しは「日米地…

「初の女性トップ」だけ伝えればいいのか~危機的状況のさなか、検事総長が交代

法務検察トップの検事総長に7月9日付で畝本直美・東京高検検事長が就く人事が6月28日の閣議で決まりました。マスメディアの報道では「検事総長に初の女性」の一点に注目が集まった観があります。裁判官、検察官、弁護士の「法曹三者」でトップに女性が…

黒川元検事長の定年を延長させるために法解釈を変更~大阪地裁判決の意義と法務検察の忖度

その名前を久しぶりに目にしました。黒川弘務・元東京高検検事長です。2020年1月、63歳の定年を目前に、当時の安倍晋三政権が閣議決定で定年延長を決めました。国家公務員法の定年延長規定を「検察官も国家公務員だから」との理由で適用しました。こ…

改正規正法、否定的評価が8割にも~政治不信の果ての民主主義の危機を危惧

改正政治資金規正法が6月19日に成立した後の週末に実施された世論調査の結果が3件報じられているのを目にしました。いずれも改正規正法に対する評価を尋ねています。各調査の質問は、それぞれ尋ね方は異なっていますが、肯定的な評価か否定的な評価かを…

予測通りの規正法ザル改正~問われるべきは検察

政治資金規正法改正案が6月19日、参議院で可決され、改正法が成立しました。自民党の派閥パーティー券裏金事件を契機に始まった改正論議でしたが、終わってみれば抜け穴はそのままで「ザル法の改正もザルだった」と言わざるを得ない内容です。意外な結果…

「主権者の責任」を説く地方紙の社説、論説~中日・東京新聞は「内閣の暴政」を批判

少し時間がたちましたが、5月3日の憲法記念日の紙面に新聞各紙が掲載した社説、論説の記録です。インターネット上の各紙のサイトで読めるものをチェックしました。 安倍晋三政権以降、憲法解釈を閣議決定で変更するなど、重要なことを国会を通さずに内閣が…

改憲の機運は高まっていないし、民意も拙速な改憲を求めていない

ことしの5月3日、憲法記念日の報道の記録です。 例年、いくつかのマスメディアは憲法記念日に合わせて、憲法に絞った世論調査を郵送方式で実施しています。月例の電話調査と比べ、時間をかけてじっくり考えて回答することが可能です。一般論として、その分…

政治への社会の関心とマスメディアの政治報道~衆院3補選「自民全敗」の各紙報道を読み解く

衆院の3件の補欠選挙が4月28日に実施され、いずれも立憲民主党の候補が当選しました。自民党は東京15区、長崎3区では候補を擁立せず、与野党一騎打ちとなった島根1区でも大差が付きました。29日付の東京発行の新聞各紙朝刊もそろって1面トップの…