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安倍内閣支持率ついに「29・2%」も~下落要因は安倍氏自身の評価低下

 マスメディア各社の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率が下がり続けています。6月15日に「共謀罪」法が採決強行で成立した直後、支持率は急落しました。7月に入ってからも、東京都議選での自民党の歴史的惨敗を経て、下落傾向は変わりません。目に止まった調査結果を書きとめておきます。 

・7月15~16日 ANN(テレビ朝日系列) 「支持」29・2%(8・7P減) 「不支持」54・5%(12・9P増)

・7月15~16日 共同通信 「支持」35・8%(9・1P減) 「不支持」53・1%(10・0P増) 

・7月7~10日 時事通信 「支持」29・9%(15・2P減) 「不支持」48・6%(14・7P増)※個別面接方式

・7月8~9日 朝日新聞 「支持」33%(5P減) 「不支持」47%(5P増)

・7月7~9日 NNN(日本テレビ系列) 「支持」31・9%(7・9P減) 「不支持」49・2%(7・4P増)

・7月7~9日 NHK 「支持」35%(13P減) 「不支持」48%(12P増)

・7月7~9日 読売新聞 「支持」36%(13P減) 「不支持」52%(11P増)

・7月1~2日 朝日新聞 「支持」38%(3P減) 「不支持」42%(5P増) 

※時事通信以外は電話調査

 特に個別面接方式による時事通信調査の「29・9%」が目を引きます。一般に、電話世論調査よりも個別面接方式は精度は高いとされているようです。そのほかの調査も、例えば共同通信では、今回の「35・8%」は2015年7月に安全保障関連法が衆院通過した直後の37・7%を下回って、第2次安倍政権では最低。不支持率もこれまでの最高は2015年7月の51・6%でした。

 内閣支持率の低下の要因としては、森友学園や加計学園の問題とその真相究明への消極対応ぶりのほか、「共謀罪」法成立への強硬姿勢、金田法相ら資質が問われる閣僚の存在などがあります。特に閣僚の資質の問題では、都議選の応援演説で「自衛隊としてもお願いする」と口にした稲田朋美防衛相は、本人の資質の問題もさることながら、更迭にすることもなく任に留め続けていることにも、世論は相当に厳しい見方をしているものと思います。

 個々の設問と回答の状況をみると、目立つのは安倍晋三首相への評価の低下です。この点が、安全保障関連法を成立させた当時の支持率低下と顕著に異なる点です。都議選最終盤の7月1日に東京・秋葉原で行った街頭応援演説で安倍氏は、一部の聴衆からの「帰れ」「辞めろ」コールに「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と、首相でありながら自らが社会を分断するようなことを言い放ちました。こうしたことも民意は厳しく評価しているのではないかと思います。

 安倍氏は政権浮揚策として8月上旬に内閣改造を実施すると報じられていますが、支持率低下の最大要因が安倍氏自身だとすると、内閣改造の効果も限定的なのではないかと思います。

  以下に各メディアの調査結果のうち、安倍氏の評価に関わる問いと回答状況の一例を書きとめておきます。

◆安倍晋三首相について

・朝日新聞

「最近の安倍首相の発言や振る舞いをみて、安倍首相のことをどの程度信用できると思いますか。」

 大いに信用できる 4%

 ある程度信用できる 32%

 あまり信用できない 40%

 まったく信用できない 21%

 ・読売新聞

「安倍内閣について、『長期政権のおごりが出ている』という意見がありますが、あなたは、その通りだと思いますか、そうは思いませんか。」

 その通りだ 68%

 そうは思わない 25%

 ・共同通信

「(安倍内閣を「支持しない」と答えた人に聞く)支持しない最も大きな理由をお答えください。」

 首相が信頼できない 51・6%(9・7P増)

 ※ことし1月以降の各メディアの世論調査による内閣支持率の推移は、以下にまとめています 

安倍晋三内閣の支持率の推移(2017年1月―)※随時更新 - ニュース・ワーカー2