生き残りが自己目的化しないことを期待〜毎日と共同、共同加盟社の包括提携に寄せて※追記あり

 毎日新聞社共同通信社共同通信加盟社の3者が包括提携で合意し26日、毎日、共同両社の社長と共同加盟社を代表して理事会長(西日本新聞社社長会長)の3人が記者会見して発表しました。毎日新聞は来年4月、共同通信の57番目の加盟社となります。大手新聞のうち朝日、読売、日経の3紙が提携を強めて通称「ANY連合」を形成している中で、毎日新聞がどうなるのか、個人的にも動向を注目していました。今年の日本のメディア界の大ニュースの一つと言っていいと思います。

 「毎日新聞と来年4月、包括提携 共同通信、加盟56社」(47news=共同通信
 http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112601000542.html

 「包括提携の要旨」(47news=共同通信
 http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112601000611.html

 「毎日新聞社共同通信社共同通信社加盟社による包括提携について」(毎日新聞リリース)
 http://mainichi.jp/info/archive/news/2009/20091126org00m040043000c.html

 共同通信社は社団法人組織で、新聞社向けのニュースの配信には2つのルートがあります。一つは「加盟社」と呼ぶ新聞社向けで、国内海外を問わずすべての分野の記事が全量送信されます。加盟社は共同通信社の年間の運営費を分担して負担しています。北海道新聞中日新聞西日本新聞ブロック紙や府県を発行エリアとする地方紙が中心で、全国紙では日経新聞産経新聞が加盟し、放送局ではNHKが加盟しています。
 もう一つは「契約社」と呼ぶ新聞社向けで、朝日新聞や読売新聞の場合は海外記事とスポーツ記事のみを配信しています。「加盟社」が共同通信社の運営方針の決定に参画するメンバーシップ制なのに対し、「契約社」は文字通り、配信記事へ対価を払う契約関係にある顧客と言えば、両者の違いをイメージしやすいかもしれません。
 今回の包括提携は、毎日新聞朝日新聞や読売新聞と同じ立場の契約社から、共同通信の加盟社になることに加えて、共同通信毎日新聞の1対1の関係にとどまらず、共同通信の加盟社であることを仲立ちとして、他の共同加盟社の地方紙とも毎日新聞が提携を進める点が、これまでになかった新しさだと言えると思います。
 思うところは多々あるのですが、やはり共同通信の加盟社である佐賀新聞で働く小石克さんがブログ「猫手企画@新聞屋」にアップされているエントリーが、なるほどとうなずけるところが多いので紹介します。

 「まいまいがなかまにくわわった!」
 http://nekote.exblog.jp/12394793/

 正直いうと、毎日さんと地方紙は傘下以外は仲良くありません。しかし、その目的が発表通りの「新聞力」の向上であるのなら、手を取り合って前に進むのはやぶさかではないのではないかと。プラットフォームが整理され、汎用性が生まれ、それで結果的にお客様が喜ぶサービスが提供出来るのであれば、業界内のあーだこーだは、本当はどーでもいい話なのです。
 (中略)今からブランケット判の輪転機を、自前15年ローン組んで買うのはあまりに経営的リスクが高過ぎます。その代わり、業界上げて輪転機も販売網も伝送システムも電子新聞も全部共有化して、題字のブランドは維持したまま徹底的にコストダウンを図り、その分浮いた人的リソースをよりコストのかかる調査分析記事のために突っ込めばいい。業界総体としては縮小するかもしれませんが、新規参入を阻み、現有資産を貸借しながら、他と差別化出来る商品力を蓄積できるのは、既得権益者の特権です。胸を張っていいと思いますよ? 

 おそらく新聞業界では今後もいろいろな動きが出るでしょう。今回の毎日と共同、共同加盟社の包括提携も含めて、企業としての新聞社の生き残りを自己目的化するのではなく、組織ジャーナリズムの成果として多様な情報、多様な言論が社会に担保されることが最終的な目的でなければならないだろうと思います。

【追記】2009年12月6日午前1時半
 ※新しいエントリーも立てています
 残念なことが起きました。共同通信社社長が12月4日に記者会見し、11月26日の発表内容の訂正と補足説明を行いました。「毎日新聞社共同通信社共同通信加盟社による包括提携」として発表したことについて「この表現が、全加盟社が提携合意したと受け取られる内容で、読者や関係者に誤解を与えた」という内容です。仮に「包括提携」という用語を削除するとなると、本件のインパクトの度合いも変わりますが、記録の意味で本エントリーは原文のまま残しておきます。