オスプレイ配備反対の先に

 沖縄の米軍普天間飛行場配備される予定の米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が23日、貨物船で山口県岩国市の米軍岩国基地に到着しました。オスプレイは開発段階から事故が相次ぎ、欠陥機と指摘されていること、普天間飛行場配備後も全国で訓練飛行をする予定であることなどが伝えられ、配備反対の声は沖縄だけでなく本土にも広がっています。そういう中での岩国基地への陸揚げだったために、本土でも各マスメディアの報道は大きく展開しました。わたしが住む大阪でも、新聞各紙の23日夕刊は毎日、読売が1面トップ。朝日、産経、日経もそれぞれ1面で報じました。
 仮に、オスプレイが岩国を経由することなく直接沖縄に向かっていたら、本土メディアでこれだけ大きな報道になっただろうか、と考えます。あるいは、「未亡人製造機」との酷評まであるオスプレイでなく、別の機種の配備だったらどうだったか。大阪で目にする新聞各紙の社会面では、岩国現地でオスプレイ配備反対の声を上げた人たちを紹介し、「岩国や沖縄だけの問題ではなく全国の問題」との趣旨の声を紹介する記事が、ちらほらと目に留まりました。ここを出発点に、民衆運動としてのオスプレイ配備反対運動が続くなら、いずれ行き着くのは沖縄の基地問題だろうと思います。沖縄の民意は普天間飛行場の県外移設を求めているのに、なぜ実現しないのか、との問いです。オスプレイの岩国への搬入“強行”と、沖縄に米軍基地があり続けることとを重ね合わせて考えていくことで、いろいろなヒントが見えてくるのではないでしょうか。本土メディアが手掛けるべきテーマだと思います。

 以下に備忘を兼ねて、23日夕刊の全国紙5紙の主な記事と見出しを書き留めておきます。いずれも大阪本社発行の最終版です。中で朝日新聞の社会面の記事が印象に残りました。岩国での抗議行動の様子を紹介。リードで「基地の街に集ったのは、動かぬ政治に閉塞感を抱く人たち。原発事故がきっかけで、自ら声を上げる意味を見いだした人らの姿もあった」と書き、反原発運動にも触れながら「住民が声を上げ行動する」ことに焦点を当てた構成にしていました。
【朝日】
本記1面「オスプレイ岩国到着」「12機陸揚げ、市長ら反発」
社会面トップ「『オスプレイ帰れ』」「国へ不信 陸から海から」
社会面「船のハッチ開き続々」「ヘリから確認」
【毎日】
本記1面トップ「オスプレイ岩国陸揚げ」「市長と知事 防衛相に抗議へ」
社会面トップ「『欠陥機出て行け』」「オスプレイ搬入 住民ら怒り」
【読売】
本記1面トップ「オスプレイ岩国陸揚げ」「12機 試験飛行 当面自粛」
1面:解説「安全策の徹底 米に要求可能」
第2社会面:「『安全性きちんと説明を』」「岩国、ボートで講義抗議も」
【産経】
本記1面「オスプレイ岩国陸揚げ」「週末にも専門家ら米派遣」
3面「山口知事『怒り覚える』」「艦載機容認姿勢の変更示唆」
第2社会面「岩国、緊迫の抗議活動」「基地対岸や海上で」
【日経】
本記1面「オスプレイ陸揚げ」「政府、米に専門家派遣へ」
第2社会面 「『未知の機体』」「住民ら陸と海で抗議」
第2社会面 「沖縄知事『誠に遺憾』」「普天間配備計画」
第2社会面 「岩国市長『やり切れない』」「早朝から視察、不信あらわ」

 わたしは沖縄全県を発行エリアにする新聞2紙のうちの一つ、琉球新報を自宅で購読しています。電子版ならば当日のうちに目にできるのですが、紙面を自分の手で開くことにこだわり、郵送をお願いしています。オスプレイ関連の記事はしばらく前から連日1面トップ。岩国陸揚げを伝える24日付の紙面は、1面トップはもちろん、計6面(ページ)に関連記事が掲載されました。2面に掲載された仲井間郁江記者の署名の解説記事は、次のような文章で結んでいます。「これまで米軍基地問題は、過重な基地を沖縄に背負わせる『沖縄差別』との言葉で表現されることが多かった。だが、今回のオスプレイ搬入は、安全保障政策に関して米政府の意向を優先し、民意を軽んずる日本政府の体質を明確に示した。」
 本土メディアはこれまでしばしば「国益」という言葉を用いて、基地問題と日米同盟のありようを論じてきました。しかし今、オスプレイの問題を通じて明らかにされたのは、政府と民衆の意思のかい離です。そのかい離に気付いた本土の民衆は、次は「沖縄差別」にも目を向けていくのではないでしょうか。これらのことを踏まえ、本土メディアは今後、どんな視点でどんな情報を発信していけばいいのか。課題は大きいと感じています。