「憲法」が白紙委任になる懸念〜日本維新、自民に次いで全国で得票

 衆院選は12月16日に投票、17日未明にかけて開票が行われました。既に大きく報じられているとおり、自民党294(選挙前119)、公明党31(21)に対し民主党は57(230)と激減。第三極は日本維新の会54(11)、みんなの党18(8)で日本未来の党は9(62)。そのほか共産8(9)、社民2(5)などの結果でした。17日付の朝刊各紙は通常よりも締め切りを延ばして特別態勢で報道。大阪で配布されている紙面では各紙とも全議席判明前で3ないし4議席を残していましたが、それぞれ自公の政権奪還を大きな見出しで伝えました。

 各紙ともそろって長めの社説を掲載したほか、全国紙は政治部長の署名評論記事も載せています。それらの記事におおむね共通しているのは、端的に言えば「自民圧勝と言っても風は吹いておらず、投票率は戦後最低。おごらず、政治の安定に努めるべきだ」ということに集約されるように感じます。
 私なりの個人的な感想を少し書き留めておくと、日本維新の会が比例で40議席(近畿ブロックで10議席、そのほかで計30議席)を獲得したことに少なからず驚きました。比例だけで見れば民主党を上回り、自民党に次ぐ第2党です。17日夕刊各紙に開票結果の詳しいデータがいろいろ載っているのですが、日本維新の会比例近畿ブロックではトップの得票。そのほか北関東、南関東、東京、北陸信越、東海、中国、四国、九州の各ブロックで、自民に次ぐ得票を得ています。合計は1226万票。自民は1662万票であり、比例の得票だけなら「自民に迫った」と言ってもそう的外れではないように感じます。自民圧勝と言っても小選挙区制による議席数の差による要因が大きいことが見て取れます。
 日本維新の会をめぐっては、石原慎太郎氏ら太陽の党との合流後、原発をはじめとして政策にぶれが見られたりしたことが報じられていました。また、憲法改変や集団的自衛権の行使容認などでは自民党と政策がかぶっていました。それでいながら関西のみならず、全国でこれだけ支持を得たことをどう考えればいいのか。それだけ既成政党への不満が大きいのか。この点は考察を続けようと考えています。
 気になるのはやはり、憲法集団的自衛権、沖縄と基地です。いずれも選挙運動期間中の論戦は活発とはいいがたく、マスメディアの報道も全体としては散発的でした。特に沖縄の基地の問題は、本土の有権者にどれだけ意識されていたかと考えると、本土マスメディアに身を置く一人として、じくじたる思いがあります。
 論議が尽くされたとは到底言えないのに、全国的に自民党日本維新の会が支持を受けたことを背景に、あたかも「白紙委任」を得たかのように集団的自衛権の行使解禁や改憲の手続きが始まるおそれはないのか。マスメディアは目の前の動きを伝えるのと同時に、常にその先を見据えながら、多様な意見、ものの見方・考え方を紹介していく努力が以前にも増して必要だと感じています。


 以下に17日付朝刊各紙の1面トップの見出し、社説、政治部長の署名評論の各見出しを書き留めておきます。
 ※全国紙は大阪本社発行の最終版
▼1面トップ
【朝日】「自公320超 安倍政権」「民主は惨敗 維新50台」「原発ゼロ 見直し確実」
【毎日】「自民290台 政権奪還」「民主惨敗 野田代表辞任」「安倍氏 首相再登板へ 自公3分の2」
【読売】「自公320超 安倍政権へ」「民主惨敗50台 維新伸長」「議席2/3再可決可能」
【日経】「自公320超 政権奪還」「衆院3分の2確保」「安倍内閣26日にも」
【産経】「自公320議席超」「安倍政権再び」「維新第三党『50』を突破」
【京都】「自公320超 政権奪還」「3分の2占める」「民主惨敗、維新大幅増」
【神戸】「自公320超 政権奪還」「民主惨敗、60議席割る」「維新50台、未来は1桁」

▼社説
【朝日】「自民大勝、安倍政権へ 地に足のついた政治を」
【毎日】「衆院選 自民圧勝 謙虚に政治の安定を」
【読売】「自民党政権復帰 謙虚に実績積み信頼取り戻せ 民主政権迷走への厳しい懲罰だ」
【日経】「決して自民が『勝者』とは言えない」
【産経】「自公圧勝 国家再生へ責任は重い」「安倍氏は現実重視の道歩め」
【京都】「自民党圧勝 数におごらず謙虚な姿勢で」
【神戸】「自公が政権奪還 再生の決意と実力が問われる」=「選挙に勝利しても、白紙委任されたわけではない」

▼署名評論
【朝日】1面「新首相は優先順位見定めよ」曽我豪・政治部長
【毎日】1面「自民は変化見せよ」前田浩智・政治部長
【読売】1面「『熱気なき圧勝』自覚を」永原伸・政治部長
【日経】1面「混迷脱却求めた民意」池内新太郎・政治部長
【産経】3面「民主党の轍を踏むな」五嶋清・政治部長