議論と理解が進んでいない憲法9条改正と自衛隊~世論調査の設問によって回答に大きな差

 年明け後の世論調査結果がいくつか報じられています。目に付いた項目を書きとめておきます。

 安倍晋三内閣の支持率はおおむね微増で共通しています。それなりに高いレベルで安定しているとみてもいいように感じます。前回比で4ポイント増と、やや増加傾向が出た時事通信は記事で「民進党と希望の党が安全保障関連法をめぐる立場の違いを残したまま統一会派結成を目指す動きに出た結果、政権への期待が高まった可能性がある」との見方を示しました。

【内閣支持率】(カッコ内は前回比、Pはポイント)
・読売新聞 1月12~14日実施
  支持54%(1P増) 不支持35%(1P減)
・時事通信 1月12~15日実施
  支持46・6%(4・0P増) 不支持33・6%(2・5P減)
・共同通信 1月13、14日実施
  支持49・7%(2・5P増) 不支持36・6%(3・8P減)
・JNN(TBS系列) 1月13、14日実施
  支持54・6%(1・9P増) 不支持43・9%(1・8P減)

 憲法改正については、共同通信が安倍首相の下での憲法改正の賛否を尋ねているのに対して、反対が前回より6ポイント余り増えて過半数になっているのが目を引きます。続いての設問で、9条に自衛隊を明記する改正への賛否を問うたところ、やはり反対が過半数の52・7%で、賛成の35・3%と大きな差があります。同じ9条について、読売新聞は設問を「憲法に自衛隊の存在を明記することについて」との書き出して始めました。その結果は、三つの選択肢のうち「自衛隊の存在を憲法に明記する必要はない」は2割にとどまっています。つまり、設問の立て方によって回答結果は相当大きく変わっています。それだけまだ社会的な議論と理解が進んでいないと言ってもいいようにも思います。安倍晋三首相が意欲を燃やす憲法改正は今年、最大の政治課題に上ってきそうな気配ですが、この民意の状況はマスメディアも十分に留意する必要があると考えています。

【憲法改正】
・読売新聞
「憲法に自衛隊の存在を明記することについて、自民党は、戦力を持たないことを定めた9条2項を維持する案と、削除する案を検討しています。あなたの考えに最も近いものを選んでください。」
 9条2項を維持し、自衛隊の根拠規定を追加する 32%
 9条2項は削除し、自衛隊の目的や性格を明確にする 34%
 自衛隊の存在を憲法に明記する必要はない 22%
「国会は、憲法改正の具体案について結論を出すよう、議論を進めるべきだと思いますか、その必要はないと思いますか。」
 議論を進めるべきだ 62%
その必要はない 30%

・共同通信
「あなたは、安倍首相の下での憲法改正に賛成ですか、反対ですか。」
 賛成33・0%(3P減) 反対54・8%(6・2P増)
「安倍首相は、憲法9条に自衛隊の存在を明記する憲法改正を行う考えです。あなたは、この憲法9条改正に賛成ですか、反対ですか。」
 賛成35・3% 反対52・7%

・JNN
「あなたは、日本国憲法を改正すべきだと思いますか、それとも改正すべきでないと思いますか?」
 改正すべき 42% 改正すべきでない 43%
「安倍総理は、憲法9条について戦争放棄や戦力を持たないことなどを定めた今の条文は変えずに、新たに自衛隊の存在を明記する考えを示しています。あなたはこの考えを支持しますか、しませんか。」
 支持する 44% 支持しない 44%

【安倍首相の続投】
・共同通信
「今年9月に安倍晋三首相の自民党総裁としての2期目の任期が終わります。あなたは、安倍首相に自民党総裁選に勝利して、首相を続けてほしいと思いますか、思いませんか。」
 続けてほしい45・2% 続けてほしいと思わない47・5%

・JNN
「安倍総理は自民党総裁としては現在2期目で、任期は今年9月までです。秋には総裁選が行われる見通しですが、立候補の可能性が取りざたされている次の5人のうち誰が最も総裁にふさわしいと思いますか、一人だけ選んでください。」
 安倍晋三 32%
    石破茂  26%
    岸田文雄  8%
    河野太郎  6%
    野田聖子  8%

【自衛隊の巡航ミサイル導入】
・時事通信 ※質問不明
 賛成49・6% 反対38・3%

・共同通信
「政府は、航空自衛隊の戦闘機に射程の長い長距離巡航ミサイルを初めて導入する方針です。長距離巡航ミサイルの保有は、他国を攻撃しない専守防衛の考えに反するという指摘がありますが、政府は専守防衛の考え方に変更はないとしています。あなたは、長距離巡航ミサイルの導入に賛成ですか、反対ですか。」
 賛成41・7% 反対46・7%