「生きている限り、戦争をなくすことに役立ちたい」むのたけじさん100歳

 日本の敗戦で第2次世界大戦が終結した1945年8月、新聞が戦争の実相を国民に伝えてこなかったことに責任を感じ、朝日新聞社を退社したことで知られるジャーナリストむのたけじさんが1月2日に誕生日を迎え、100歳になられました。東京新聞の7日付朝刊1面に、共同通信が6日に配信した記事が掲載されました。おそらく、各地の地方紙の紙面にも載っていることと思います。ネットでは「47news」の以下のページで配信記事の全文を読むことができます。
 「反戦の声、生きる限り ジャーナリスト・むのたけじさん100歳に」(47トピックス)=2015年1月5日
 http://www.47news.jp/47topics/e/260817.php
 一部を引用します。

 反戦を訴え続けてきたジャーナリスト、むのたけじさんが、2度のがん治療を乗り越え2日、100歳になった。足腰や目は弱くなったが鋭い 舌鋒 (ぜっぽう) は健在だ。「今の日本は戦争のにおいがぷんぷんする。生きている限り、戦争をなくすことに役立ちたい」。戦後70年を迎え、放つ言葉には一層の力がこもる。
 「負け戦を勝ち戦と報じ続けてきたけじめをつける」。1945年8月の終戦を受け朝日新聞社を退社。故郷の秋田県横手市ミニコミ誌「たいまつ新聞」を発刊し、30年間、反戦記事を書き続けた。今、さいたま市で暮らし、講演や執筆をする。
(中略)
 安倍政権が進めてきた特定秘密保護法制定や集団的自衛権行使容認に、戦争の影を感じるというむのさん。「安倍さん個人の話ではない。彼を前面に出し、日本を変えようとする政治、経済界の勢力がある。誰が何を求め、何をしようとしているのか。それを明らかにするのが記者の務めだ」

 47newsにはインタビューのもようの動画もアップされています。
 http://www.47news.jp/movie/general_national/post_8449/


 埼玉新聞も1月4日付で独自のインタビュー記事を掲載しています。ネットでは以下で読めます。
 「『戦争は人類の大犯罪』 ジャーナリストむのたけじさん100歳に」
 http://www.saitama-np.co.jp/news/2015/01/04/04.html
 一部を引用します。

 むのさんは1915年生まれ。不況に苦しんだ秋田の小作農の出身。貧農と金持ちがいる矛盾を感じ、「社会の不平等をなくす役に立ちたい」とジャーナリストを志した。
 新聞記者になったのが二・二六事件の起きた36年の4月。従軍記者として中国やジャワ島などの戦地を取材した。
 「戦場は相手を殺さなければ自分が殺される場所。まともな人間でいられるのは3日まで。4日目から人間らしい感情が消える。国内も同じ。『命令に絶対服従』という軍の論理が全てを支配。その論理が社会にも家庭にも染み込む。親子、夫婦にもゆがみが生まれる。戦争は人類の大犯罪だ」
 79年間のジャーナリストの経験から「戦争はハッと気が付いた時には手遅れ。私も戦争の事実を書けなかった。だから戦争を絶対に始めさせてはならない」と力を込める。

 ことしは戦後70年の節目の年です。新聞にとっては「戦争と平和」がいつの年にもまして大きなテーマになります。70年前に日本の敗戦で終わったあの戦争を同時代の体験として経験された方々も、少なくなってきました。今や戦争体験の継承は社会的な課題だと思います。そういう中で、その当時の新聞の報道のありようをも身をもって経験したむのさんの話です。「生きている限り、戦争をなくすことに役立ちたい」とは、ジャーナリズムの目標が戦争を起こさせないこと、起こってしまった戦争は早期に終わらせることだと訴えているように、わたしは受け止めています。マスメディアで働く者みな、中でも若い記者に、いずれの記事も読んでほしいと思います。

 もう7年以上前になりますが、2007年10月に、直接むのさんの話を聞く機会がありました。むのさんは沖縄で開催されたマスメディア労組主催の集会で基調講演をしました。当時、わたしは労働組合専従から復職して1年余の時期で、自身の仕事の意味や働き方を再確認しなければならない、との思いが日増しに強まっていました。むのさんが集会に参加することを聞き、たまらず週末の休みを利用して沖縄に行きました。むのさんの話にとても興奮し、そして活力が出てきたことを覚えています。沖縄から戻って、わたしが当時所属していた労組の新聞研究活動の機関紙にレポートを投稿しました。このブログの以下の過去記事には、そのレポートを再掲しています。長文ですが、読んでいただければうれしいです。
※「『戦争はいらぬ、やれぬ』〜朝日新聞むのたけじさんインタビュー記事」=2008年8月24日
 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20080824/1261821267