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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

再び「『憲法』は白紙委任にそぐわない」〜選挙戦も報道も後半戦

 少しアップが遅れましたが、9日(日)付の朝刊各紙の紙面状況です。選挙戦も折り返して後半戦に入ります。争点が深まり、今回の選挙が何を問うのか、意義付けの輪郭がより明確になるとすればこれからかもしれません。
 そんなことを考えながら大阪で各紙の紙面をめくってみて、憲法9条戦争と平和に関連する記事がいくつか目に留まりました。
 朝日新聞は政治面(4面)に、護憲を党是とする共産、社民両党が民主、自民、第三極の間で埋没するのを避けようと躍起になっているとの記事を掲載。産経新聞は総合面(3面)に「国防軍がなぜ必要か」のQ&A記事を載せました。9条改憲を中心とする産経の社論に即した内容です。
 社説では毎日新聞が、自民党日本維新の会が掲げている集団的自衛権の行使容認の主張に疑問を投げ掛ける一方で、産経と同じく9条改憲を社論とする読売新聞は、日米同盟を深化させる必要があると主張。集団的自衛権行使の容認の主張を肯定的に評価しています。神戸新聞の領土・外交の社説も、直接改憲集団的自衛権の問題に言及しているわけではありませんが、平和に関連の深い命題です。
 9条を始めとする憲法や平和の問題は「戦争をしない国」が「戦争に参加しうる国」に変わっていいのかどうかの問題です。以前にも触れましたが、争点として十分に論議されることなく、選挙後に「白紙委任」のように改憲手続きが進んでいいわけがありません。沖縄の過重な基地負担の問題も含めて、マスメディアが争点報道としてさらに掘り下げて然るべきです。

※以下は各紙の主な記事の記録です。全国紙は大阪本社発行の最終版です。選挙関連の記事は、1面と社会面の記事2本ずつを原則とし、そのほかに目を引かれた記事を書き留めています。

▼12月9日付朝刊
【朝日】
1面「選挙の崖 避ける道」(カオスの深淵)※アイスランド直接民主主義のリポート
第2社会面「老後も働きたいけど」(あした、どこへ 課題の現場で4 社会保障
※4面(政治面)「老舗、『右』台頭に危機感」「護憲派2党 埋没回避に躍起」共産・社民
 4面「9条改正なら慎重に」「公明・山口氏 改憲論議にクギ」

【毎日】
1面「子育て政策で論戦」「『社会で支える』『家庭第一』」
第2社会面「見えぬTPPの先」「ミカン産地 揺れる選択」愛媛4区(焦点区から)

【読売】
(1面に選挙関連記事なし)
社会面トップ「漂流する『嘉田票』」「未来候補なし 矛先鈍る他党」(激戦の構図4 滋賀2区)
第2社会面「党の顔 駆ける週末」「失言触れず/引き締め/二枚看板」

【日経】
1面「猪瀬氏、大きくリード」「都知事選『投票する』94%」「本社世論調査
社会面トップ「豪雨復興 目を向けて」「不安続く『誰が力に』」「住民、仮設暮らしや山道迂回」「和歌山南部や九州北部」

【産経】
1面トップ「投票直前に原発議論」「14日再開 政治利用懸念も」「府市エネ戦略会議」
1面「『民主党体質』を象徴」「輿石氏の指令」(乱戦の焦点 山梨1区)
社会面トップ「脱原発 町成り立つか」「人出消え『責任誰が』『議論ない』」(「争点」をゆく4 エネルギー政策、山口県上関町・福井県
※3面「『国防軍』なぜ必要」「平和と主権・領土守るため」「自衛隊員に正当な位置付け」(Q&A)

【京都】
1面トップ「攻防激化、後半戦へ」「批判トーン強める」「公示後初の週末、党首走る」
1面準トップ「風向き変化 一気に混戦」(前線ルポ・下 京都6区)
社会面トップ「『支持を』熱い週末」「商店街へ、催しへ」
第2社会面「アジアの絆 どう正常化」(単答直入 候補者アンケート4 領土)※Q:中国、韓国に対して圧力を強めるべきですか

【神戸】
1面トップ「景気と雇用 党首激突」「野田氏『成長分野に投資』」「安倍氏『公共事業で活力』」「公示後 初の週末」
1面「自公に溝 揺らぐ蜜月」(激流ひょうご師走決戦3 維新の影)
社会面トップ「“負の循環”どう断つ」「『契約社員も働きやすく』」「不況下、増える非正規労働者」(一票力 景気と雇用)

▼社説
【朝日】「総選挙 原発政策 ゼロへの道筋を示せ」
【毎日】「衆院選こう考える 集団的自衛権 憲法の歯止めが必要だ」
【読売】「衆院選 日米同盟 肝心なのは『深化』の具体策だ」
    「農業政策 バラマキいつまで続けるのか」
【日経】「衆院選政策を問う 金融緩和と成長戦略は脱デフレの両輪だ」
【産経】「拉致と衆院選 国家の問題どう解決する」
【京都】「衆院選 政と官 排除でも依存でもなく」
【神戸】「師走選挙 領土と外交 大きな視野で論戦に挑め」