「国の統合を揺るがす事態が到来しかねない」(琉球新報社説)―日本復帰45年の沖縄と自己決定権

 今年は沖縄の日本復帰から45年です。手元に届いた琉球新報の元日付け紙面の1面トップは、琉球新報が昨年10〜11月に実施した県民意識調査の結果でした。「自治権強化 35%望む」「『現行通り』半数割る」の見出しを立てて、「今後の日本における沖縄の立場をどうすべきか」という質問に対して、「現行通り、日本の一地域(県)のまま」と答えた人が46・1%の一方で、独立を含め、内政、外交面で沖縄の権限を現状より強化すべきだと考える人が計34・5%に上ったことを伝えています。5年前の前回2011年の調査と比べると「現行通り」は15・7ポイント減。同紙の記事は「沖縄の自治に関する権限を現状より強化すべきだと考える層が3分の1を超え、現状を支持する層に迫った背景には、基地問題で沖縄の民意が政府に聞き入れられないことへの不満があるとみられる」と指摘しています。
 1面トップの本記は同紙のサイトで読めます。
 ※琉球新報自治権強化35%望む 『現行通り』半数割る 琉球新報県民意識調査」=2017年1月1日
  http://ryukyushimpo.jp/news/entry-420582.html

 この調査結果を受けた「自己決定権求める異議だ」との社説が4日付け紙面に掲載されています。一部を引用します。

 日本復帰45年の節目を迎えた沖縄社会は、過重な米軍基地を未来まで背負わされるのか否かという重大な岐路に立たされている。
 広大な新基地まで強いる日本との関係性をどうすべきかという問いにも向き合わねばならない。そんな状況にある中、県民意識の地殻変動が見えてきた。
 ウチナーンチュ(沖縄人)であることと文化への誇りは相変わらず強い。沖縄の自己決定権を発揮できる「自治権」強化を求め、日本との関係性を改めようと異議を唱える県民が増えている−。
 5年に1度、琉球新報が実施する県民意識調査でこうした県民像が浮かび上がった。
 日本の1県である限り、沖縄の民意を反映した政治は望めないと不満を募らせ、沖縄の声を政治に十分反映できる仕組みを切望する人々が増えている表れである。
 外交・安保は国の専権事項と言い張って辺野古新基地建設をごり押しし、沖縄を組み敷こうとする安倍政権に対する異議申し立て、警告の意味合いが強い。安倍政権は沖縄の「自治権拡大」要求の高まりを重く受け止め、新基地見直しにかじを切るべきだ。
(中略)
 全国で、自治権を強化することをこれほど明確に求める都道府県は沖縄をおいてほかにあるまい。
 安倍政権は沖縄の民意を軽視し、さらに強権的に新基地建設を推し進めれば、沖縄の自治権獲得要求が一層高まり、国の統合を揺るがす事態が到来しかねないと認識する必要がある。

 ※琉球新報:社説「県民意識調査 自己決定権求める異議だ 沖縄への誇りを活力源に」=2017年1月4日


 米軍普天間飛行場の移設先として名護市辺野古へ新基地を建設する計画に対しては、この3年ほどの推移をみただけでも、仲井真弘多・前沖縄県知事が2013年12月に埋め立てを承認したものの、その後の2014年11月の知事選では、沖縄県内への移設反対を掲げた翁長雄志現知事が仲井真氏を破りました。得票率は翁長氏が51%、仲井真氏は37%。票数差は10万票近くでした。続く同年12月の衆議院では、沖縄の小選挙区四つ全てで、新基地建設反対の候補者が当選しました。普天間飛行場の移転問題に対する沖縄の民意は、民主主義制度の根幹である選挙で明確に示されていると言っていいと思います。しかし現実には、日本政府と沖縄県の裁判闘争を経て、仲井真氏の埋め立て承認に違法性はなかったとの論理建てで、辺野古の新基地建設工事は再開されました。埋め立て承認がなされた後に、明確に新基地建設反対の民意が選挙で示されたにもかかわらず、その民意は実現されていない状況です。地域の民意は明らかなのに、行政ばかりでなく司法も含めて、国法と国家のシステムがその民意の実現を認めようとしない、そんな地域が沖縄のほかに日本では見当たらないとすれば、それは沖縄に対する差別としか言いようがないと思います。
 こうした経緯を踏まえれば、「沖縄の自己決定権を発揮できる『自治権』強化を求め、日本との関係性を改めようと異議を唱える県民が増えている」という状況はとてもよく理解できます。琉球新報の社説は、このまま安倍晋三政権が強権的に新基地建設を進めれば「国の統合を揺るがす事態が到来しかねない」と指摘していますが、このことは安倍政権のみならず、沖縄県外(日本本土)に住む日本人すべてが知っておくべきことだろうと思います。安倍政権だけでなく、日本本土に住む日本人が、沖縄の人たちを同胞としてこの問題をとらえるのかどうかも問われているのだと感じます。


 琉球新報の記事によると、県民意識調査は2001年、06年、11年に続き4回目とのことです。
 備忘を兼ねて、調査の結果を引用しておきます。
 ※琉球新報「『日本における沖縄の立場』 40代『単独州』 50代『連邦』」=2017年1月1日
  http://ryukyushimpo.jp/news/entry-420573.html
▼沖縄の立場

 「今後の日本における沖縄の立場」の質問を年代別に見ると、「現行通り」が半数を超えたのは20代と30代で、40代以上は全年代で半数以下だった。「単独州など」を支持した人は40代で最も多く23・7%、「連邦制」支持は50代が22・7%だった。「現行通り」は30代が最多で55・8%だった。40〜60代の中年層で自立志向が強く、若年層と70代以上は「現行通り」「分からない」が多かった。
 同設問は、選択肢を2011年の前回から一部変更した。「現行通り」「独立」は変わらないが、前回15・3%だった「特別区(自治州など)」の項目を廃止し、新たに「単独州など」「連邦制」を設けた。

▼米軍基地

 米軍基地に関しては「縮小すべきだ」が最も多く40・5%(前回比0・9ポイント増)、「撤去すべきだ」が20・0%(同6・3ポイント減)だった。「維持」は14・2%(同3・2ポイント増)、「強化」は1・6%(同0・5ポイント増)だった。「縮小」「撤去」の合計は、年代別では70代以上が最も多く72・4%、20代が最も少なく38・7%だった。

自衛隊

 自衛隊基地は「現状規模のまま」45・5%(前回比4・0ポイント増)、「拡大すべきだ」7・3%(同1・9ポイント増)の合計が52・8%で初めて半数を超えた。「縮小すべきだ」は19・9%(同2・2ポイント減)、「撤去すべきだ」は7・4%(同1・8ポイント減)だった。「現状」「拡大」の合計を地域別に見ると、最も多いのは中部で66・2%だった。「拡大」が最も多いのは八重山で16・9%だった。