ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

表現の自由

記者会見開放で「北方ジャーナル」の取材を受けました

先日、北海道・札幌で発行されている地域雑誌「北方ジャーナル」から記者会見の開放問題で取材を受けました。その記事が掲載された同誌3月号が手元に届きました。筆者は元地方紙記者でフリーランスの小笠原淳さん。同誌で「倶楽部は踊る―記者クラブはどこへ…

公人の疑惑報道のルール

「現実の悪意の法理」と呼ぶ、ということを知りました。米国では、公人に対するマスメディアの報道が名誉棄損にあたるかどうかが争われた場合、一般の人の場合よりもマスメディア側の挙証責任のハードルが低くなる、と聞いていましたが、その考え方のことで…

お知らせ:「消えた警官」〜ドキュメント菅生事件 出版記念シンポジウム

シンポジウムの紹介です。転送・転載歓迎とのことです。 PDFファイルのチラシもあります。 100130消えた警官シンポ.pdf 戦後に起こった下山事件、三鷹事件、松川事件・・・、その真相が戦後の闇に消えていきました。しかし、昭和27年6月2日深夜、大分県で起…

なぜ記者クラブが会見を主催するのか〜総務省と外務省の開放に差

あらかじめ明らかにしておくと、わたしは個人的には、記者クラブはないよりはあった方がいいと考えています。廃止か存続かではなく、ありようが問題です。 政権交代後の閣僚記者会見の開放をめぐって、どうにも気になる動きが年明け早々に起きました。原口一…

報道する側の主体性が問われる〜記者クラブ問題にも記者会見開放にも欠かせない視点

気付くのが遅れましたが、鳩山政権になって出てきた閣僚記者会見の開放の動きをめぐって、産経新聞が10月30日付朝刊(同紙の東京本社エリアでは夕刊はありませんが)の紙面で新聞記者出身の識者2人の大型インタビュー記事を掲載しました。記者クラブの…

記者会見の開放は進めるべきだ〜やっぱりマスメディアも記者も「見られて」いる

衆院選の民主党圧勝を受けた鳩山連立内閣の発足から16日で1カ月が経ちました。大型公共事業の見直しの象徴になった観がある八ツ場ダム問題など、閣僚が次々に前政権の政策や方針の転換を表明し、この週末にかけての数日は、来年度予算の概算要求のやり直…

民主党のメディア政策と「表現の自由」の視点

少し時間が経ってしまいましたが、「TOKYOメディフェス2009」最終日(22日)の分科会「コミュニケーションとメディア政策を考える」には、総務副大臣に就任した民主党の内藤正光参院議員が参加し、民主党が政策集に明記している通信・放送担当の…

元外務省局長が法廷へ〜再びの「沖縄密約はマスメディアも当事者」(追記あり)

1972年の沖縄返還に際して、米国が負担することになっていた軍事施設の原状回復費400万ドルを日本が肩代わりするとの密約が日米両政府間で交わされていた「沖縄密約」問題をめぐり、密約文書の開示請求に対し国が「文書は存在しない」として非開示処…

異例の訴訟指揮を報じなかった大手紙〜「沖縄密約」はマスメディアも当事者

1972年の沖縄返還に際して、米国が負担することになっていた軍事施設の原状回復費400万ドルを日本が肩代わりするとの密約が日米両政府間で交わされていた「沖縄密約」問題をめぐって、今月16日に東京地裁で注目に値する出来事がありました。元毎日…

あらためて東京大空襲の「大本営発表」報道

第2次大戦末期の1945年3月10日未明、東京の下町地区は300機以上の米軍B29爆撃機の空襲を受けました。この「東京大空襲」の死者は戦後の調査では10万人以上とされます。64年たったことしの3月10日、東京・浅草では国に損害賠償を求める…

二度と「検閲容認」の轍を踏んではならない〜自衛隊イラク派遣の終結に思うこと

既に報道されているように、航空自衛隊のイラク派遣部隊のC130輸送機3機が帰国し、24日に愛知県の小牧基地で隊旗返還式がありました。これで2004年に始まった自衛隊のイラク派遣は終了したことになります。17日に3機目が活動拠点のクウェート…

揺らぐ「マス」の正当性と「プロ」の正統性

12月9日に東京・池袋の立教大学で行われたNPJ(News for the People in Japan)などの市民メディア共催のパネルディスカッションに、パネラーの1人として参加したことは以前のエントリーで報告しました。12月13日のエントリーでお知らせしたように…

NPJシンポの動画がJANJANにアップ

以前のエントリーで紹介しましたが、12月9日に東京・池袋の立教大学で行われたNPJ(News for the People in Japan)などの市民メディア共催のパネルディスカッションの動画が、共催団体のひとつのJANJANのサイトにアップされました。 「パネルディ…

「表現の自由」を守り抜くのがプロではないか〜NPJのパネルディスカッションに参加しました

以前のエントリーでお知らせしたように、9日夕方から東京・池袋の立教大学で開かれた「NPJ」(News for the People in Japan)などの市民メディア共催のパネルディスカッションに参加してきました。「今、メディアに問われるもの」と題したディスカッショ…

多喜二虐殺の今日的な意味〜横浜事件の再審開始決定と「渋谷事件」から

かなり時間がたってしまいましたが、10月31日に横浜地裁で、戦時下最大の冤罪・言論弾圧事件として知られる「横浜事件」の元被告(故人)に対する再審開始決定が出ました(大島隆明裁判長、五島真希、横倉雄一郎両裁判官の合議)。先日、その地裁決定の…

軍事が無原則に「表現の自由」「知る権利」に優先する危険〜読売新聞情報源の懲戒免職の意味

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8715232/ 以前のエントリ(近況:「軍事報道と表現の自由」の講義が終わりました)でも取り上げましたが、2005年5月に読売新聞が報じた中国潜水艦の事故の特ダネ記事を…

赤旗配布有罪判決に報道落差〜社説の朝日、ボツの読売

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8659671/ 少し時間がたってしまいましたが、新聞ジャーナリズムをめぐって前例を思い起こすことができないくらい異例で、なおかつ社会の表現の自由を考える上でも重要な問題…

読書:「戦争絶滅へ、人間復活へ―九三歳、ジャーナリストの発言」(むのたけじ 聞き手黒岩比佐子)

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8648249/ 以前のエントリ「『戦争はいらぬ、やれぬ』〜朝日新聞むのたけじさんインタビュー記事」で紹介した元朝日新聞記者でジャーナリストむのたけじさんの一問一答式の聞…

「戦争はいらぬ、やれぬ」〜朝日新聞むのたけじさんインタビュー記事

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8496706/ 少し時間が経ってしまいましたが、22日付の朝日新聞朝刊総合面(東京本社発行)の「あしたを考える」の欄「夏に語る」に、ジャーナリストむのたけじさんの長文の…

ひとこと:北京五輪が開幕

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8418555/ 北京五輪が8日、開幕しました。昨夜は私事で開会式のテレビ中継は見ていませんが、けさの新聞各紙はそれぞれに伝えていることと思います。北京五輪の報道は、中国…

新聞は戦争を止められるか〜非常勤講師を終えて

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8267571/ 4月から続けていた明治学院大学社会学部の非常勤講師の講義が昨日(12日)で終わりました。「新聞ジャーナリズム」をテーマに計13回の講義でしたが、終わって…

新聞ジャーナリズムがネット規制を呼び込むことにならないように

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8232280/ 明治学院大社会学部での講義はきのう(5日)、「ネット社会、多メディア社会と新聞ジャーナリズム」のテーマを終え、残すところ次回の1回だけとなりました。 き…

ひとこと:サミットを前に海外の市民メディア関係者拘束で緊急声明

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8203542/ 北海道洞爺湖サミットが来週7月7日に始まりますが、先週来、市民メディア団体の招待で来日する海外の市民メディア関係者がスムーズに入国できない事態が起きてい…

「編集権」の2つの論点〜手放しでは評価できないNHK番組改変訴訟の最高裁判決

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8094450/ NHKが2001年1月に放送した「ETV2001 問われる戦時性暴力」が放送直前に改変された問題で、番組の取材に協力した「『戦争と女性への暴力』日本ネッ…

ひとこと:ネット規制法が成立

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8083211/ 「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」が6月11日、参議院でも可決され成立しました。 「法」には制定と運用の2つ…

青少年ネット環境整備法案が成立へ〜やっぱり既に?落とし所?は終わったニュース

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。 http://newswork2.exblog.jp/8063256/ 前回のエントリの続きになります。 子どもの保護のためのインターネット規制法案が6日、衆議院で可決されました。事実上、審議なしの状態だったようです。参院で…

「落とし所」は終わり、でもこれで終わりではない〜ネット規制法案の与野党合意報道

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8032693/ 子どもの保護のためのインターネット規制法案をめぐって2日、衆院青少年問題特別委員会で与野党が基本合意したと伝えられています。3日の新聞朝刊各紙も一斉に報…

「メディア規制」「取材・報道規制」ではなく「表現規制」と呼ぶ

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8018714/ 明治学院大学社会学部での非常勤講師の講義は、昨日(5月31日)から「表現規制と新聞ジャーナリズム」のテーマに入りました。長らくの間、直接、法規制が問題に…

ネット規制の動きに新聞協会が意見表明〜ジャーナリズムとして多面的、継続的な報道を

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/8006658/ 青少年の健全育成を大義名分にしたインターネット規制の法制化の動きに対して、日本新聞協会メディア開発委員会が29日、意見をまとめ、関係国会議員に提出しまし…

意味不明の文章が並ぶ教育再生懇談会報告書〜ネットの表現規制論議(その3)

※エキサイト版「ニュース・ワーカー2」から転記です。http://newswork2.exblog.jp/7988054/ 政府の教育再生懇談会が26日、第一次報告を福田首相に提出しました。共同通信の記事を一部引用します。 政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)は…