ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

2012-01-01から1年間の記事一覧

「岩国で受け入れを」那覇市長発言の意義〜オスプレイ試験飛行、間もなく沖縄へ

山口県の米軍岩国基地で21日、垂直離着陸輸送機「オスプレイ」が試験飛行を始めました。岩国基地に一時駐機しているオスプレイは12機。沖縄の普天間飛行場への配備が予定されています。安全性への疑問から日本では沖縄以外の自治体からも配備と飛行への…

橋下氏の憲法観を報じる意味〜「集団的自衛権の行使容認」発言の報道

新党「日本維新の会」代表で大阪市長の橋下徹氏は13日、報道陣とのやり取りで、集団的自衛権の行使を容認する考えを表明しました。日本政府は現在、日本には集団的自衛権はあるが憲法9条によって行使は禁じられているとの見解を取っています。橋下氏は「…

「既成政党との連携に含みを残すジレンマ」〜橋下新党立ち上げの各紙報道

大阪維新の会は12日夕、大阪市で政治資金パーティーを開き、代表の橋下徹・大阪市長は新党「日本(にっぽん)維新の会」結成を正式に宣言しました。次期衆院選に向け「今日から全国でものすごい大戦(おおいくさ)が始まる。一緒に日本の新しい道をつくっ…

「肩すかし」「まるで面接」「拍子抜け」「予定調和」〜維新討論会の報道

大阪市長の橋下徹氏が代表の大阪維新の会は9日、公開の討論会を大阪市で開催しました。新党「日本維新の会」から衆院選に擁立する政治家を選考する手続きの一環と受け止められていました。衆参7人の国会議員や愛知県の大村秀章知事、名古屋市の河村たかし…

「日本維新の会」で衆院選へ、橋下氏は市長と代表掛け持ち〜在阪各紙の報道

大阪市の橋下徹市長が代表の地域政党「大阪維新の会」が8日、所属議員の全体会議を開き、国政進出の方針を正式に決めました。新党を設立して、次期衆院選で全国に候補者を擁立するとのことで党名は「日本(にっぽん)維新の会」。本部は大阪に置き、代表は…

クウェート派遣空自隊員の事故が明るみに〜メディアの「検閲容認」を忘れない

少なからず時間がたってしまいましたが、マスメディアの取材・報道のありようにも関わることだと考えていますので、書き留めておきます。イラク特措法に基づきクウェートに派遣されていた航空自衛隊の3等空曹だった男性が、現地で米軍車両にはねられ後遺症…

「あと1日」を許さなかった8月14日の大阪大空襲(再び)

大阪に来て2度目の8月15日です。昨年は8月14日に同じタイトルでエントリーをアップしました。別のタイトルが浮かばず、「再び」を付けてのアップです。 大阪では67年前の8月14日、つまり終戦の前日に、米軍B29爆撃機140機余による8回目の…

67年目の「長崎原爆の日」の報道

8月9日は長崎への原爆投下から67年の日でした。投下時刻の午前11時2分をはさんで、長崎市の平和公園では平和祈念式典が開かれました。田上富久市長は平和宣言で核兵器廃絶を訴え、また東京電力福島第一原発事故に触れて「日本政府は被災地の復興を急…

67年目の8月6日の新聞〜戦争と平和を考える特別な時間

8月6日は広島に原爆が投下された日でした。ことしで67年になります。投下時刻の午前8時15分、NHKで平和記念式典の中継を見ながら黙とうしました。 新聞労連の専従役員のころは、毎年8月6日は広島で、9日は長崎で迎えました。「戦争が起きた時、…

オスプレイ配備反対の先に

沖縄の米軍普天間飛行場に配備される予定の米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が23日、貨物船で山口県岩国市の米軍岩国基地に到着しました。オスプレイは開発段階から事故が相次ぎ、欠陥機と指摘されていること、普天間飛行場に配備後も…

沖縄慰霊の日に考える戦争体験の継承

きょう23日は沖縄慰霊の日です。第2次世界大戦末期の沖縄戦で、日本軍の組織的戦闘が終結したことにちなんで、沖縄県が制定しています。生活の場が戦場になり、おびただしい住民の犠牲を生んだこと、その延長に今日の米軍基地問題があることを、わたし自…

物事の進め方、決め方の正統性が問われる〜大飯原発再稼働が決まって感じること

関西電力大飯原発3、4号機の再稼働が、先週末の16日に最終的に決まりました。福井県の西川一誠知事が同日、野田佳彦首相に再稼働に同意することを伝え、これを受けて首相は関係閣僚会合で正式に決めました。関連のニュースは16日土曜日から翌17日日…

日隅一雄さん、安らかに ※追記:憲法メディアフォーラムに追悼文

弁護士でありニュースサイトNPJ編集長、そしてジャーナリストでもある日隅一雄さんが6月12日午後8時28分、がん性腹膜炎のため永眠されました。 ※NPJ http://www.news-pj.net/ わたしが新聞労連委員長だった当時に面識をいただき、以来、さまざま…

続・大飯再稼働と首相会見 ※追記あり

関西電力大飯原発の再稼働問題をめぐって野田佳彦首相が8日に行った記者会見と、それを報じた新聞各紙に触れた前回のエントリーの続きです。 ※参考過去エントリー 「大飯再稼働を超える首相会見の意味〜社会の意思はどう代表されればいいのか」=2012年…

大飯再稼働を超える首相会見の意味〜社会の意思はどう代表されればいいのか

関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題をめぐり、野田佳彦首相は8日に記者会見し「国民生活を守るため、再稼働すべきだというのが私の判断だ」「今原発を止めてしまっては日本の社会は立ち行かない」と表明しました。5月30日に関西広域連合が事実上、…

大飯再稼働「決断」へ〜関西の意思、広域連合に負わせ

関西電力の大飯原子力発電所3、4号機の再稼働問題で5月30日、大きな動きがありました。電力消費地である「関西」の意思を負う立場として、関西広域連合が事実上、再稼働を容認する姿勢を打ち出しました。同日に鳥取県で開かれた関西広域連合の会合で、…

橋下市長と「脱原発」の一つの仮説〜勉強会「原発再稼働の波紋」で報告

以前のエントリー(「原発ゼロ」と関西のマスメディア・新聞)でもお知らせしていましたが、この週末26日の土曜日、日帰りで上京し、日比谷のプレスセンタービルで開かれた勉強会に参加しました。新聞・通信や放送のOBら10人の方々が幹事役になってい…

大飯原発「臨時稼働」の橋下市長発言の報じ方

前回のエントリー(「原発ゼロ」の中で決まった「節電の夏」〜再稼働問題の推移に注目)の続きになります。週末の19日土曜日に、関西の府県などでつくる関西広域連合の会合が大阪市でありました。新聞各紙の20日付朝刊(全国紙は大阪本社発行の最終版)…

「原発ゼロ」の中で決まった「節電の夏」〜再稼働問題の推移に注目

「原発ゼロ」の中で、今夏の政府の電力対策が18日、決まりました。関西電力管内については、2010年比で約15%の供給不足になることを前提に15%の節電目標を設定。期間は7月2日〜9月7日です。計画停電の準備を進めますが、電力使用制限令は回…

本土と沖縄の心理的な距離「心の27度線」〜復帰40年の沖縄タイムス社説

沖縄が日本に復帰して、5月15日で40年になりました。以前のエントリーで紹介した通り、沖縄紙と全国紙の2件の合同世論調査で、米軍基地をめぐり沖縄は差別されている、あるいは不平等な扱いを受けていると感じている人の割合が、沖縄と本土(ヤマト)…

「大飯再稼働シミュレーション」の報じ方

先週の10日(木)、夏の電力需給に関する政府の検証委員会が開かれました。その場で、関西電力の大飯原発3、4号機が再稼働した場合、関西電力管内では8月、ほぼ最大需要に見合う供給が可能との試算が明らかにされたことを、大阪では10日の夕刊各紙は…

新聞記者たちが作ったカップめん

東京ではちょっと考えられないことかもしれません。新聞社と即席麺メーカーがタイアップして、カップめんを開発しました。産経新聞大阪本社社会部の記者たちでつくる「大阪ラーメン部」とエースコックによる「それゆけ!大阪ラーメンプロジェクト」第1弾で…

「差別」「不平等」意識にギャップ〜沖縄紙と全国紙が2件の合同世論調査

沖縄が日本に復帰して、ことし5月15日で40年になります。期せずして沖縄の地元新聞と全国紙の組み合わせによる2件の合同世論調査の結果が、4紙それぞれの9日付朝刊の紙面に掲載されました。沖縄タイムス―朝日新聞、琉球新報―毎日新聞の2組です。 ※…

「原発ゼロ」と関西のマスメディア・新聞

少し日がたってしまいましたが、備忘も兼ねて書き留めておきます。 昨年3月11日の東日本大震災と、東京電力福島第一原発事故の後、全国各地で定期点検入りした原発がそのまま再稼働していない中で、最後の1基になっていた北海道電力泊原発3号機が5月5…

語り継ぐ責務〜朝日阪神支局事件から25年

5月3日は憲法記念日であるとともに、1987年に兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局が散弾銃を持った男に襲撃され、記者2人が殺傷された事件が起きた日です。ことしで25年。昨年に続き支局を訪ねて記帳、小尻知博記者(当時29歳)の遺影に焼香させてい…

自衛隊配備を根本的に問う沖縄の新聞〜再び「ミサイル防衛を嗤う」 ※追記「消えぬ『過剰感』」

ひとつ前のエントリー(「既視感があるミサイル防衛〜沖縄メディアと視点の共有を」)で触れた北朝鮮の衛星ロケット―弾道ミサイル実験は13日朝、北朝鮮が発射を強行したものの、失敗に終わりました。直後から韓国メディアなどを通じて発射情報が駆け巡りま…

既視感があるミサイル防衛〜沖縄メディアと視点の共有を

北朝鮮が3月16日、故金日成主席の誕生日の4月15日に合わせて12日から16日の間に地球観測衛星をロケットで打ち上げると、事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験を予告したことに対して、日本政府は日本の領域に落下する場合は撃ち落とす方針を決め…

大阪で起きていることはいずれ全国に

この1週間余り、大阪では橋下徹・大阪市長と橋下氏が代表の「大阪維新の会」をめぐるニュースが相次ぎ、大阪のマスメディアも大きく報じました。橋下氏と維新の会は国政進出の意向を鮮明にし、大阪での政策を選挙公約に盛り込む方針も示しています。マスメデ…

作文ゼミ同窓会

新聞労連の委員長を退任してから今年で6年になります。在任中に力を入れたことの一つに、新聞記者志望の学生、大学院生を対象にした作文講座がありました。各新聞社の採用試験日程をにらみながら、例年1月から3月にかけて、5人から10人程度のゼミ方式…

3・10から3・11へ、「大本営発表」の教訓

3月11日は東日本大震災から1年。警察庁のまとめによると、9日現在で死者は15854人、なお3167人もの方々が行方不明です。あらためて、犠牲になった方々のご冥福をお祈りいたします。東京電力福島第一原発事故は、いまだ収束を実感できる状況で…