週刊ダイヤモンドの10月27日号が「4つの格差が決める メディアの新序列」という特集を組んでいたので購入しました。 この十数年来、週刊ダイヤモンドや週刊東洋経済がメディアを巡る特集を組んでいるのを見かけると、ほぼ買っていました。久しぶりの特集のように思います。
週刊ダイヤモンド 2018年 10/27 号 [雑誌] (4つの格差が決める メディアの新序列)
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/10/22
- メディア: 雑誌
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「4つの格差」とは、テクノロジー、財務、人事、待遇のことだそうです。わたしが身を置く新聞界について、特集の結論をわたしなりにざっくりとまとめると、部数減は加速し凋落の一途、デジタル化に出遅れた上に人員構成も依然として編集部門偏重、新しいテクノロジーを自ら生み出す展望もなく、一部の新聞社の財務の悪化は深刻で業界の再編は必至―ということのようです。
興味深く読んだのは地方紙33社を独自の指標で順位付けした「経営脆弱度ランキング」です。しかし、ワースト1とされた京都新聞社は10年以上も前に分社化してグループ会社制に移行しており、経営状況をみるならグループ全体でなければあまり意味はありません。特集記事でも自らその点に触れて「留意が必要」などと書いており、ではいったいこの序列化にどこまで意味があるのかと、正直なところ疑問も感じました。
新聞界の先行きが厳しいことは、随分前から指摘されていることで、今さら驚いたり、嘆いたりするようなことではありませんが、現実とは冷静に向き合いたいと思います。
備忘を兼ねて、以下に特集の記事の見出しを書きとめておきます。アマゾンの「商品説明」を元にしています。
【特集】テクノロジー 財務 人事 待遇
4つの格差が決める メディアの新序列「Prologue」メディア業界の序列を決める4つの格差
「Part 1」決算書から分かる「財務格差」
数字から見えた二大旧メディアの内情 再編近い新聞、二極化するTV
押し紙影響度・効率性・健全性で試算 経営脆弱度ランキング 地方紙編
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新聞の先行きの厳しさはこの10年来、経済誌の特集のたびに大きく取り上げられてきています。週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済の2誌がこの10年間に組んできた特集のタイトルを並べると次の通りです。
「新聞・テレビ複合不況」 (2008年12月ダイヤモンド)
「テレビ・新聞陥落!」 (2009年1月東洋経済)
「新聞・テレビ断末魔」 (2010年2月東洋経済)
「激烈!メディア覇権戦争」 (2010年7月東洋経済)
「新聞・テレビ勝者なき消耗戦」 (2011年1月ダイヤモンド)
「新聞・テレビ動乱」 (2014年10月東洋経済)
「4つの格差が決めるメディアの新序列」 (2018年10月ダイヤモンド)
※参考過去記事