新聞の大きさを生かす~中日新聞・東京新聞「『ネコ電車』に朝刊が包まれた!」

 ことし春から、勤務先からの派遣の形で、首都圏の大学で「文章作法」の授業の非常勤講師を務めています。文章の書き方の指導です。受講生はメディアやコミュニケーションに関心がある学生たちなので、授業では毎回、東京発行の新聞各紙を教材に、日々のニュースの報道の比較なども行っています。日々、ニュースに接することは、社会の一員として社会の動きを知ることです。文章でだれかにメッセージを伝えたいときに、社会で共通の関心事であるニュースを知っていれば、それだけメッセージは豊かで内容の濃いものになる、というのが理由の一つです。
 今更ながらに教材に新聞を使うのは、紙の新聞を学生たちに知ってもらうためです。新聞の部数は減少の一途です。増えることはもうありません。新聞社や通信社の報道は、今やどうインターネットで展開していくのかが課題ですが、強みがあるとすれば、やはり組織でジャーナリズムを展開している点です。その組織ジャーナリズムは新聞づくりで培ってきました。デジタルとともに育ってきた若い人たちにも、メディアやジャーナリズムの今後を考える上で、新聞とはどういうものかを知っておいてもらうことの意味は小さくはないと考えています。

 11月1日付の東京新聞が、ジブリアニメのキャラクターを使ったラッピング紙面を発行しました。見開きの大きさの紙面いっぱいにネコ電車のイラスト。これで朝刊本紙を包んでいます。最初はてっきり、「となりのトトロ」に登場するネコバスだと思ったのですが、よく見るとパンタグラフがあって2両編成。なるほど、電車です。中日新聞の記事で知りました。同日、愛知県の「愛・地球博記念公園」にジブリパークが開園したことの記念企画のようです。中日新聞社が発行する中日新聞、東京新聞両紙で一斉に行ったとのことです。

※中日新聞「『ネコ電車』に朝刊が包まれた! ジブリパーク開園に合わせ中日新聞&東京新聞が特別紙面」=2022年11月1日
https://www.chunichi.co.jp/article/573476

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 さっそく、授業で紹介しました。学生たちは興味津々で手に取っていました。ブランケット判と呼ばれる新聞の用紙は、その大きさを生かしたいろいろな表現が可能です。ほかの紙面の事例についても、手元にあった写真を集めて、パワーポイントで投影しながら紹介しました。昨年の東京五輪、パラリンピックの時の読売新聞、平成最後の日の朝日新聞のラッピング広告、琉球新報の沖縄屈辱の日の集会の報道、宝島社の見開き全面広告などです。「鬼滅の刃」や「ONE PIECE」のコミックの企画広告として、新聞各紙に横断的に1ページの全面広告が出稿された例にも触れました。
 この「新聞の大きさを生かす」表現手法は、ネットでは不可能です。残しておきたい新聞の機能の一つです。

【授業で紹介した他の紙面の例】