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根強い世論の反対〜秘密保護法案「反対50%、賛成26%」日経・テレ東、「反対41%、賛成45%」共同通信

 問題が多い特定秘密保護法案をめぐる世論調査結果が2件、報じられました。日本経済新聞テレビ東京共同通信で、いずれもネットは24日にアップ、新聞紙面では25日付朝刊に掲載されています。
 日経新聞テレビ東京の調査は22〜24日に実施。法案に反対が50%で、賛成は26%でした。日経の記事によると、10月の前回調査では反対43%、賛成35%だったので、差は広がったことになります。また法案への懸念を複数回答可で尋ねたところ、「秘密の指定が適正かチェックする機能が十分でない」が45%、「秘密の範囲があいまいだ」41%などで、「懸念はない」は6%とのことです。
 なお、世論調査は質問の仕方によって回答状況が変わりうるとされます。日経の調査がどのような文言で賛否を尋ねたのかは、紙面には掲載がなく電子版に掲載とのことです。
 共同通信の調査は23〜24日に実施。法案への賛成は45.9%、反対は41.1%でした。質問は「機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案は、与野党間の修正協議を経て、今国会で成立する見通しとなりました。あなたは、この法案に賛成ですか、反対ですか」でした。
 このブログでも以前紹介しましたが共同通信の前回調査では賛成35.9%、反対50.6%(10月26〜27日実施)だったので、単純に考えれば賛否は逆転したことになります。ただ、賛否の差はわずか4.8ポイントで、また「この法案が成立した場合、国民の『知る権利』が守られると思いますか」との設問では「守られると思う」26.3%に対して「思わない」62.9%でしたので、そんなに単純な話ではないのかもしれません。共同通信の配信記事は「知る権利が侵害されるとして反対が根強いことが浮き彫りとなった」と位置づけています。
※「秘密法案『知る権利』侵害62% 世論調査、賛否割れる」(47news=共同通信、2013年11月24日)
 http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013112401002050.html


 以下に共同通信の前回調査以降のマスメディアの世論調査結果を、法案への賛否に限ってまとめて記載しておきます。
共同通信 賛成45.9%  反対41.1%  11月23〜24日実施
日経新聞 賛成26%    反対50%    11月22〜24日実施
朝日新聞 賛成30%    反対42%    11月9〜10日実施
毎日新聞 賛成29%    反対59%    11月9〜10日実施
共同通信 賛成35.9%  反対50.6%  10月26〜27日実施

 ほかにも以下のような調査結果がありました。
産経新聞・フジニュースネットワーク 11月16〜17日実施
 「今国会で成立させるべきだ」12.8%、「慎重に審議すべきだ」82.5%
・NHK 11月8〜10日実施
 法案は「必要だ」25%、「必要でない」16%、「どちらともいえない」48%


 25日は午前中、福島市衆院国家安全保障特別委による特定秘密保護法案の地方公聴会が開かれました。東京電力福島第1原発事故の影響を受けている福島県浪江町の馬場有町長、福島県弁護士会の槙裕康副会長、桜の聖母短大の二瓶由美子教授ら7人が意見を述べたと報じられています。全国紙の大阪本社発行の25日夕刊最終版では、関連記事は次のような扱いでした。日経新聞は記事が見当たりませんでした。

【朝日】
1面トップ「原発事故 非開示に懸念」「秘密保護法案 福島で公聴会
社会面トップ「『3・11後たくさん隠した』」「福島公聴会 国に不信」
社会面「『姑息で拙速、法案象徴』」/意見陳述者の主な発言
【毎日】
1面「原発情報隠し懸念」「福島で公聴会 首長ら表明」
社会面トップ「『アリバイ作りだ』」「秘密保護法案公聴会 市民が批判」
社会面準トップ「戦争 透けて見える」「文太さん『悪法反対』」※菅原文太さんインタビュー、共同通信配信記事
【読売】
3面・見出し3段「秘密保護法案 福島で公聴会」「浪江町長『十分に論議を』」
【産経】
2面・見出し2段「『情報公開が一番大切』」「福島で秘密保護法案公聴会


 国会では自公の与党が26日中に法案を衆院を通過させる意向と伝えられています。福島の公聴会とは、与党にとっては名ばかりのアリバイ作りだったようです。
※「与党、秘密法案26日採決の構え 民主、維新が反発」(47news=共同通信、2013年11月25日)
 http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013112501002536.html

 自民、公明両党は25日夜、衆院国家安全保障特別委員会の理事会で特定秘密保護法案に関し、安倍晋三首相が出席する質疑を26日午前に開くよう提案した。民主党日本維新の会が反対したため、額賀福志郎委員長(自民党)の職権で開催を決めた。与党は質疑後に採決し、26日中に衆院を通過させる構えで、与野党の対立が激化した。