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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

能登半島地震から1カ月の在京各紙(備忘)

 能登半島地震は2月1日、発生から1カ月となりました。死者は震災関連死が疑われる方を含め238人、安否不明者は19人と報じられています。避難生活を送っている方は約1万4千人に上ります。犠牲になった方々にあらためて哀悼の意を表します。1日も早く、復興が進むことを願っています。

 東京発行の新聞各紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京の6紙)も、2月1日付の朝刊では1面から総合面、社会面まで関連記事を掲載しました。1面や総合面では「検証」を掲げた記事が目を引きます。被害状況を地図に落とし込んだ大型の図解や、多数の写真を載せた特集面など、ビジュアルの面でも工夫を凝らしています。
各紙が1面や総合面の中心となる記事にどんな見出しを立てているか、主なものをピックアップしてみました。

 想定を上回る地震であったために、被害も想定を上回って対応が追いつかなかったこと、半島で道路網が寸断され、復旧が進まず、救援がなかなか届かなかったこと、過疎の進む地域で復興に長い時間がかかることなど、発生から1カ月の節目に際して、この災害の特徴がよく分かるように思います。
 各紙とも社会面や特集面では、犠牲になった方々の人となりも紹介しています。そうした報道に接することによって、238人それぞれに、わたしたちと変わらない「生」があったこと、それが奪われた理不尽さを感じ取ることができます。そこから、被災地へ思いを寄せ、それぞれの立場で復興を支援する、といった「共感」が社会に広がることにもなるだろうと思います。組織ジャーナリズムだからこそ可能なことだろうと思います。

 以下に、東京発行各紙の2月1日付朝刊の主な記事の見出しを書きとめておきます。
■朝日新聞
▽1面トップ「能登地震1カ月 なお1.4万人避難」
「『大災害起きない』はずが/前輪島市長『やれたことあった』」※2面に続く 検証 能登半島地震
「死因『圧死』が4割 警察庁」
▽2面・検証 能登半島地震「見直し阻んだ『安全神話』」「07年 被害最小限『裏目』 23年 群発地震受け 着手したが」「国の活断層評価 待った末」/「主張は自分事として考えて」住宅再建 県独自に支援 元鳥取知事・片山善博氏/「地域防災計画とは―/年1回検討・訓練で実効性アップ」
▽3面「被災者 生活再建に難題/仮説や公営1.8万戸提供/年度内に石川県 住宅被害に及ばず」「災害関連死リスク 懸念も/専門家『高齢者、体と頭動かして』」
▽9面(経済)「被災コンビニ 復旧に壁/避難・男性 営業数時間で『ありがたい』」
▽15面(オピニオン)耕論「災害ボランティア考」※識者3人
▽28面「能登 遠い日常」※大型図解、写真
▽社会面、第2社会面「生きる これからも一緒に」

■毎日新聞
▽1面トップ「指定避難所 3割開設できず/発生当初 一部に殺到 備蓄枯渇」能登地震1・1 1カ月
「死因『圧死』が最多4割 警察庁分析」
▽3面「道開くか 迂回か 難題直面」「国交省初動 事前計画なく」「首相が対応主導 批判も」「救助隊 陸路阻まれる」
▽7面(経済)「観光・工芸 打撃深刻/支援急ぐ 政府・金融機関」
▽社会面トップ「『親友よ、どこにおるんや』/輪島朝市火災 安否今も」/「死因14% 低体温症・凍死/道路寸断 救助遅れ響く」など
▽第3社会面「発生3カ月程度は 高い関連死リスク」

■読売新聞
▽1面・トップ「あと1メートル 命救えず/過疎地 消防力に限界/発生1か月」※社会面に続く 能登地震 検証1
「1次避難なお9557人 断水4万戸」
▽2面「被災地停電 ほぼ復旧/道路寸断地域では難航」/「支援本部を設置 きょう初会合」/「生活再建へ300万円給付/制度新設検討」
▽3面・スキャナー「『なりわい』直撃/漁港再開見えず・津波で農地に塩」「県外工場で生産の動きも」
▽9面(経済)「停電完全復旧 道半ば/倒壊電柱 雪・道路寸断が壁」
▽18、19面(特別面)「突き上がる大地 海岸激変」大型図解、写真
▽20、21面(特別面)「戻らぬあなたへ」※犠牲者への家族らからのメッセージ集 48人分・顔写真
▽25面(くらし)「子連れ避難 自問自答の日々」
▽27面(文化)「漆芸継承の拠点 無念の休講」
▽社会面トップ「48時間後 やっと現場に/道路寸断 消防援助隊阻む」※1面からの続き 能登地震 検証1
▽第2社会面「『笑ってお別れ』できなかった」

■日経新聞
▽2面「『半島防災』練り直し/伊豆・紀伊など国土の1割/備蓄や輸送手段確認」/「携帯基地局 85%が復旧」
▽15面(ビジネス)「主要400社 供給網被災」
▽39面(特集)「救援遅らせた急峻な地形」※大型図解、写真
▽社会面トップ「応急住宅 能登に少なく/山間部で用地不足 6割が県外」など

■産経新聞
▽1面トップ「避難長期化1万4000人/体育館・集会所に6割/能登地震1カ月/死者238人、安否不明19人」
「家屋倒壊 圧死最多/低体温症・凍死は14% 犠牲者調査」
▽3面「複合要因 断水なお4万戸/水道管 低い耐震化率半島の地形 応援阻む」/「道路寸断 足かせ/国道1本『頼みの綱』」/「地下構造 耐震基準ない/ビル倒壊『どこでも起こり得る』」/識者談話1人
▽6面「首相、偽情報対策を重視/能登地震1カ月 連日SNS投稿」
▽10面(経済)「企業の支援 多様に」
▽12、13面(特集)「日常へ歩き出す」「能登沖 複数活断層が連動か」※大型図解、写真
▽14面(生活)「つらい気持ち 我慢しないで」
▽15面(文化)「被災地 テレビ復旧に23日間/交通網寸断 想定外の長期化」
▽社会面、第2社会面「近くにいなくて、ごめん」「輪島大火 防災教訓へ」

■東京新聞
▽1面トップ「まだ夢の中にいるよう/石川・珠洲 妻子失い『悲しみ押し寄せる』」
「避難 いまも1万4000人超」
▽2面・核心「過疎 被害を深刻化/住宅耐震化進まず、『共助』限界」
「復興 買って応援 JR池袋駅構内にアンテナショップ」/「市民団体『原発停止を』 災害対策指針機能せず」
▽7面(特集)※大型図解、「犠牲者の横顔」35人(顔写真11人)
▽8、9面(暮らし)「『生活不活発病』防ごう(高齢者)」「避難先 遊び集える場を(乳幼児と親)」
▽18、19面(特報面)「漁業振興、政府支援は?/3・11の経験どう生かす」/『前例ない』海底隆起 漁港、港など被害深刻」/「『復興』気安く使えないけれど必ず」七尾支局長
▽社会面、第2社会面「続く避難」「遠い日常」