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「自公は成立ありきだ」みんな、維新との修正合意急ぐ〜秘密保護法案、19日付の新聞各紙

 表現の自由が危うくなるとの批判が強い特定秘密保護法案をめぐって、国会の動きが慌ただしくなっています。18日には自民・公明の与党とみんなの党が、特定秘密の指定に首相が関与するとの修正で合意しました。19日には与党と日本維新の会の修正協議があり、20日も行われます。与党は、強行採決によるマイナスイメージは避けたいようで、当初は週内に設定していた衆院通過を週明けの26日に延ばしたと報じられています。みんなの党も維新の会も、根っこは保守で自民党に近く、とりわけ高い支持が続く安倍晋三首相とは同じバスに乗っていたい、ということでしょうか。
 大阪で見る新聞各紙は、19日付朝刊はそろって与党とみんなの党の修正合意を1面に掲載しました。うち朝日、毎日、読売、神戸の4紙は1面トップでした。以前からの傾向ですが、法案に反対を表明している新聞とそうではない新聞では、情報量に差があるように思います。
 朝日新聞は政治面に「担当記者はこう見た」のタイトルの囲み記事を連日掲載。この日は岡本智記者が「自民、公明両党は日本維新の会みんなの党との修正合意を急ぎ、成立ありきの姿勢を打ち出す。民主党藤田幸久氏の『法案の不備が国内外に不安を与えている』との指摘にはうなずいた。不安はまだまだ残っている」と書いています。見出しは「自公は成立ありきだ」。
 国会ではしばらくヤマ場が続きそうです。この状況を報じる記事は、後世から見れば歴史の1ページ目になるでしょう。その意識を持って、新聞各紙がどう報じたかを記録していきたいと思います。

▼11月19日付朝刊各紙の主な記事と見出し。全国紙5紙は大阪本社発行の最終版
【朝日】
1面トップ「与党・みんな、修正合意」「指定基準 首相が作成」「『首相が第三者的関与』疑問も」
3面「みんな取り込み優先」「秘密保護 法案の正確変わらず」
3面「修正協議 維新とは溝」
4面「民主案きょう国会提出」「議員立法 与党に対抗」
4面「自公は成立ありきだ」担当記者はこう見た
4面・主なやりとり
社会面トップ「国発注ロボ開発 息子に自慢…アウト?」「成立したら暮らしは」/ケース1「友達がブログ掲載→警察の聴取」/ケース2「米軍の勉強会企画したら」「自衛隊員に協力要請→中止」/ケース3「米艦入港情報入手→有罪」
社会面「法案反対訴えて御堂筋パレード」「来月1日 9条の会など」


【毎日】
1面トップ「与党・みんな 大筋合意」「秘密保護法案修正 首相の関与明記」
2面「恣意的運用 残る懸念」「修正協議大詰め」
第2社会面「『不可侵』の心理広がる」国際問題研究者・新原昭治さん:ワッペン「特定秘密保護法案に言いたい」


【読売】
1面トップ「秘密指定 首相の関与強化」「責任明確化 自公み 修正合意へ」
4面(政治面)「『特定秘密』民主が対案」「5法案 第三者機関設置など」


【産経】
1面肩「秘密保護法案 みんな合意」「与党修正協議 週内、衆院通過も」
3面「森氏、答弁迷走続く」「秘密保護法案『TPP該当』『第三者機関を検討』」


【日経】
1面「秘密指定 首相が監督「自公、法案の修正案提示」「みんなは了承」
4面(政治)「『週内衆院通過』巡り攻防」「与党、国会空転を警戒」「秘密保護法案 修正合意急ぐ」
4面「一歩前進、実効性には疑問「首相に監督権 与党修正案」/「特定秘密を限定 罰則は引き下げ 民主が対案」


【京都】
1面肩「与党とみんな、修正合意」「首相指揮権を明記」「秘密保護法案」
3面「住民の基地監視に圧力」松島泰勝龍谷大教授:ワッペン「こう見る 特定秘密保護法案」(自社)
5面「『強行回避』与党に余裕」「野党、メンツ争い様相」「秘密保護法案 自公み修正合意」
5面・論戦のポイント


【神戸】
1面トップ「自公、みんな 修正合意」「秘密保護法案 21日にも衆院通過」
2面「成立現実味、与党一気」「接近の『みんな』手中に」「秘密指定 監督権で譲歩」
第3社会面「秘密保護法 審議急ぐな」「官僚の隠蔽体質助長 懸念」「政治家の証言記録 第一人者が警鐘」政府の公文書管理委員長・御厨貴さん/「法案危険性問い川西で24日集会」


▼社説
【毎日】「秘密保護法案を問う 修正協議 安易な合意は禍根残す」