内閣支持率の急落と「GoToトラベル」停止~世論が動けば状況は変わる

 歴史的と言ってもいい内閣支持率の急落ぶりではないでしょうか。NHKが12月11~13日に実施した世論調査によると、菅義偉内閣の支持率は前月調査から14ポイント下がって42%でした。毎日新聞と社会調査研究センターが12月12日に実施した調査では、菅内閣の支持率は前月調査から17ポイント減の40%。不支持率はNHK調査では17ポイント増の36%、毎日新聞調査では13ポイント増の49%で、毎日新聞調査では不支持が支持を上回りました。9月の菅内閣発足時の支持率は、NHK調査では62%、毎日新聞調査では64%でした。
 支持率急落の要因は新型コロナウイルス対策、その中でも「GoToトラベル」事業とみていいようです。NHKの調査では「続けるべき」が12%なのに対し、「いったん停止すべき」が79%に上りました。毎日新聞の調査でも「中止すべきだ」が67%でした。1週間前の共同通信の世論調査でも、菅内閣支持率は前月調査から12.7ポイント減の50.3%、不支持率は13.6ポイント増の32.8%でした。
 さすがにこの厳しい世論を無視できなくなったのでしょう。菅首相は14日夕、年末年始期間に「GoToトラベル」事業を全国で一時停止することを表明しました。東京発行の新聞各紙も15日付朝刊はそろって1面トップでした。各紙の総合面には「GoTo転換 世論に押され/後手の政府 支持率も低下」(朝日新聞・時時刻刻)などの見出しが並び、方針の急転換の最大の要因が「世論」だったことを紹介しています。世論が動けば状況は変わる、その実例のように感じます。
 各紙の記事を読んでいて興味深く感じたことがあります。「GoToトラベル」の一時停止は急に決まったらしく、政府から自民党には事前に十分な説明がなかったようです。そのことに、自民党内には「勝手なことをしやがって」と毒づく幹部もいることが、複数の紙面で紹介されていました。毎日新聞によると、このセリフの主は二階派の幹部とのことです。
 二階俊博・自民党幹事長は全国旅行業協会の会長で、「GoToトラベル」事業の恩恵を直接受ける業界の利益代表者です。同時に、安倍晋三前首相の退陣表明後に、いち早く「後継は菅」の流れを作った、いわば菅首相の恩人です。党内に自前の強固な地盤を持たない菅首相が、世論の批判に直面し、恩義のある有力者の不興を買ってまで「GoToトラベル」の一時停止に踏み切らざるを得なかったのだとしたら、菅首相は大変な苦境に立たされているのかもしれません。今後、菅首相が安定的に政権を運営できるのか、先が見通せなくなってきたのではないでしょうか。

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