ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

記者クラブ

「検察礼賛」に陥ることなく権力監視を~なぜ元首相存命中に挑まなかったのか、その検証も組織ジャーナリズムの役割

自民党の安倍派(清和会)の所属国会議員を中心に、パーティー券の売り上げの一部が裏金化していた問題の報道が連日続いています。12月13日に臨時国会が閉会したことから、いくつかの新聞では14日付の朝刊1面に「本格捜査へ」の大きな見出しとともに…

細田衆院議長の不見識の報じ方~記者会見の可視化とマスメディアのありよう ※追記・表差し替え

細田博之衆院議長が10月13日、議長公邸で記者会見を開き、健康上の理由で議長を辞任することを表明しました。当日、中継を見ていなかったので後刻、テレビ局がネット上にアップロードした録画を視聴しました。出席者や時間を制限し、最後は質問を続けよ…

首相官邸の質問妨害に新聞労連が抗議声明~安倍首相インタビューではメディアを選別

安倍晋三首相が8月6日に訪問先の広島市で行った記者会見の際、質問を続けていた朝日新聞記者に対し、首相官邸報道室の男性職員が「だめだよもう。終わり、終わり」と制止しながら腕をつかんだとして、朝日新聞社が首相官邸に「質問機会を奪う行為になりか…

黒川氏が退場しても、違法と指摘される定年延長の事実は残っている~緊急事態宣言下 在京紙報道の記録12:5月20日~24日付

コロナ禍対策の緊急事態宣言は、5月21日に京都・大阪。兵庫の3府県が解除され、残る北海道と首都圏4都県も25日に解除の見通しとなりました。しかし感染の第2波、3波の可能性も指摘されており、「コロナ後」の日々が始まる、と受け止めるにはまだ早…

新聞労連が声明「オープンな首相記者会見を求める」

新聞労連が12月2日、声明「オープンな首相記者会見を求める」を発表しました。このブログの一つ前の記事で紹介した、「桜を見る会」を巡る安倍晋三首相の説明への民意の不信感にもつながってくる内容です。全文を引用して書きとめておきます。 オープンな…

官邸前で記者と市民が抗議/「記者会と協力」政権が強調~記者会見の質問制限5

菅義偉官房長官の記者会見をめぐる東京新聞記者の質問制限問題で、最近の二つの動きを書きとめておきます。 ▼首相官邸前の抗議集会に600人超 新聞労連や民放労連、出版労連などマスメディアや文化情報産業関連の9産業別労組でつくる日本マスコミ文化情報…

日本ペンクラブが声明~記者会見の質問制限4

菅義偉官房長官の記者会見での東京新聞記者の質問制限問題で、日本ペンクラブが3月1日に声明を発表しました。 日本ペンクラブ声明 「首相官邸記者会見の質問制限と回答拒否問題について」 – 日本ペンクラブ ※日本ペンクラブ http://japanpen.or.jp/ 直接は…

東京新聞が「検証と見解」を掲載~記者会見の質問制限3 ※追記あり 「追記3」まで更新

首相官邸が記者会見での東京新聞記者の質問を巡り、事実上、質問を制限するような内容の申し入れを記者クラブに行った問題で、東京新聞が2月20日付の朝刊に、紙面1ページを丸ごと使った「検証と見解」を掲載しました。 首相官邸の上村秀紀報道室長が昨年…

正当化を閣議決定~続・記者会見の質問制限 ※追記あり 「追記2」まで更新

首相官邸が昨年12月28日、官邸報道室長名で記者クラブである「内閣記者会」に対し、東京新聞記者の菅義偉・官房長官の記者会見での質問を「事実誤認」「度重なる問題行為」として、「官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念」「このような問題意…

新聞労連の声明「首相官邸の質問制限に抗議する」 ※追記あり 「追記8」まで更新

新聞労連が2月5日、声明「首相官邸の質問制限に抗議する」を発表しました。首相官邸が昨年12月28日、官邸報道室長名で内閣記者会に対し、東京新聞記者の菅義偉・官房長官の記者会見での質問を「事実誤認」「度重なる問題行為」として、「官房長官記者…

新聞労連が声明発表 「CNN記者の早期復帰を求める―CNNやホワイトハウス記者協会と連帯する― 」

新聞労連が11月14日、声明「CNN記者の早期復帰を求める―CNNやホワイトハウス記者協会と連帯する― 」を発表しました。 「今回のホワイトハウスでの出来事は、日本で働く私たちにとっても他人事ではありません」ーその通りだと思います。 「今こそ私…

「加計学園が再会見を拒否」の報じられ方~雑感:記者会見と記者クラブ

岡山市の学校法人「加計学園」が7月4日、愛媛県今治市での獣医学部新設を巡り、今後、記者会見をする予定はないことを表明しました。最初にわたしの目に止まったのは、朝日新聞デジタルの6月4日午後にアップした記事でした。 ※「『今後会見の予定ない』 …

「ジャーナリズムを担うのは誰か」〜Journalism6月号に寄稿しました

10日発売された朝日新聞社ジャーナリスト学校発行の月刊誌「Journalism」6月号の「メディア・リポート」の「新聞」に、記者会見の開放問題についての小文「ジャーナリズムを担うのは誰か 新たな段階の記者会見開放」を寄稿しました。ネットで読むことがで…

紙面、取材組織、記者クラブの「三位一体」的な縦割り〜ネット以前と同じ新聞メディア

明治学院大社会学部での非常勤講師は24日が3回目の講義でした。初回の概論紹介に続き第2回(17日)から本論ということで、計4回分をめどに「可視化されるマスメディア」をテーマに話を進めています。 ここで言う「マスメディア」は新聞と放送に特化し…

北方ジャーナル「渦中にいない人たちの意見」〜記者クラブ問題それ自体の可視化

以前のエントリーで、北海道の地域誌「北方ジャーナル」に掲載されている記者クラブ問題の連載企画「倶楽部は踊る」に、わたしのコメントが載ったことをお知らせしましたが、同誌4月号が連載第11回として、「記者クラブ問題の渦中にいない人たち」の意見…

新聞労連が「記者会見の全面開放宣言」〜個々の記者の後ろ支えになればいい

新聞労連(日本新聞労働組合連合)新聞研究部が4日、「記者会見の全面開放宣言〜記者クラブ改革へ踏み出そう〜」を公表しました。今週、日本新聞協会にも提出するようです。 昨年の衆院選の前から民主党が首相や閣僚らの記者会見の全面オープン化を事実上の…

新聞が培ったジャーナリズムの今後の居場所〜ネットに抜かれた日に考えたこと

※「新聞ジャーナリズムの居場所〜ネットに抜かれた日に考えたこと」から改題しました(2010年2月24日午後0時半) ここのところ、このブログのエントリーに新聞産業の沈滞と先行きのいっそうの苦境感、その中でのジャーナリズムとジャーナリストのあ…

記者会見開放で「北方ジャーナル」の取材を受けました

先日、北海道・札幌で発行されている地域雑誌「北方ジャーナル」から記者会見の開放問題で取材を受けました。その記事が掲載された同誌3月号が手元に届きました。筆者は元地方紙記者でフリーランスの小笠原淳さん。同誌で「倶楽部は踊る―記者クラブはどこへ…

公人の疑惑報道のルール

「現実の悪意の法理」と呼ぶ、ということを知りました。米国では、公人に対するマスメディアの報道が名誉棄損にあたるかどうかが争われた場合、一般の人の場合よりもマスメディア側の挙証責任のハードルが低くなる、と聞いていましたが、その考え方のことで…

「労を惜しんではいけない記者会見の開放」〜Journalism1月号に寄稿

朝日新聞社のジャーナリスト学校が編集している月刊誌「Journalism」1月号のメディア・リポートに「労を惜しんではいけない記者会見の開放」と題した小文を寄稿しました。12日発売です。 ※Journalism1月号 特集「テレビはどこに向かうのか」 http://www.a…

なぜ記者クラブが会見を主催するのか〜総務省と外務省の開放に差

あらかじめ明らかにしておくと、わたしは個人的には、記者クラブはないよりはあった方がいいと考えています。廃止か存続かではなく、ありようが問題です。 政権交代後の閣僚記者会見の開放をめぐって、どうにも気になる動きが年明け早々に起きました。原口一…

報道する側の主体性が問われる〜記者クラブ問題にも記者会見開放にも欠かせない視点

気付くのが遅れましたが、鳩山政権になって出てきた閣僚記者会見の開放の動きをめぐって、産経新聞が10月30日付朝刊(同紙の東京本社エリアでは夕刊はありませんが)の紙面で新聞記者出身の識者2人の大型インタビュー記事を掲載しました。記者クラブの…

記者会見の開放は進めるべきだ〜やっぱりマスメディアも記者も「見られて」いる

衆院選の民主党圧勝を受けた鳩山連立内閣の発足から16日で1カ月が経ちました。大型公共事業の見直しの象徴になった観がある八ツ場ダム問題など、閣僚が次々に前政権の政策や方針の転換を表明し、この週末にかけての数日は、来年度予算の概算要求のやり直…