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池田市長の出馬表明で選挙構図固まる:10月27日〜31日の大阪ダブル選挙紙面

 先週後半は大阪を離れていたりで、在阪各紙をその日のうちには読めませんでした。少し時間がたってしまいましたが、前回のエントリー以降の大阪ダブル選の各紙記事について、特徴的だと感じた点に絞って書き留めておきます。

27日付朝刊
【朝日】1面トップ4段「倉田氏、府知事選出馬へ」「大阪ダブル選 構図固まる」▼社会面/トップ全8段「維新VS首長主張←民・自」「首長多くの『賛同』強調」/2段「民・自、歓迎ムード」/3段「『対立構造分かりやすい』橋下氏」▼3社面全6段「論 大阪ダブル選」3回続きの(下)「争点 私はこう見る」「大都市の個性どう守る 大阪都構想」「評価の目的常に意識を 公務員改革」=前総務相片山善博さん
【毎日】1面トップ5段「倉田氏が出馬表明」「民自支援 構図固まる」▼社会面/トップ5段「『30首長応援』決断」「倉田氏 一転知事選出馬」「平松氏と共闘『想定せず』」/全3段「橋下知事 職員ねぎらう」「最後の定例会見」
【読売】1面/トップ4段「倉田氏が出馬表明」「30首長賛同『卒維新めざす』」「ダブル選構図固まる」/1段「平松氏と共闘今後の焦点に」▼社会面/トップ4段「『明日の大阪のため』」「首長後押し 維新包囲網」「民・自に広がる安堵感」/全3段「府内首長から厚い支持」(倉田氏横顔)/3段「橋下知事『御堂筋を緑地化』」
【産経】1面トップ4段「倉田氏が出馬表明」「池田市長『卒維新』掲げる」「平松氏との連携否定」▼社会面/全5段「『橋下氏は恐怖政治』」「倉田氏、行司役から出馬表明」/全5段「知事『改革できない』/平松氏『改革は可能』」/1・5段「仲裁で存在感 橋下氏の“理解者”」(倉田氏横顔)
【日経】社会面/トップ5段「民自、維新対抗で相乗り」「倉田氏が出馬表明」/4段「政策論はこれから」
【京都】1面4段「倉田氏が立候補表明」「民・自支援 ダブル選構図固まる」▼社会面/準トップ4段「首長連合支援『28』超」「維新の会“包囲網”と陣取り合戦」/1段「行政マンには改革できない」橋下氏が倉田氏批判/1段「『共闘は可能 戦線広がった』平松市長」
【神戸】1面4段「倉田氏が立候補表明」「民自支援、構図固まる」▼2面「民自、難航の末の擁立」「政党色薄め“公平支援”」/全4段「橋下氏は批判『改革できない』」「平松氏は歓迎『戦線広がった』」/3段「首長連合と維新の会 水面下激しく火花」

 やはり27日付朝刊は、在阪5紙のうち4紙(朝日、毎日、読売、産経)が、1面トップに大阪府池田市の倉田薫市長の大阪府知事選出馬表明を据えました。橋下徹氏が知事を辞任して大阪市長選へくら替え出馬することを表明したことを受けて、橋下氏が代表を務める大阪維新の会は、後継の知事選候補者に同会の幹事長の府議を擁立することを決めています。その維新の会の候補と知事選で闘うのはだれかがようやく具体的に固まったことで、各紙とも「構図固まる」と位置づけています。

 27日付夕刊では、朝日新聞が全1ページを使い、橋下府政と平松邦夫氏の大阪市政を検証する大型の特集を掲載しています。広告が一切なく、スペースの端から端までカラーのコラージュをはめ込んでいます。毎日新聞の「大阪ダブル選 これはどうする」の3回目は、維新の会が府議会や大阪、堺市議会などに提案した教育基本条例案でした。
 28日付朝刊では、前日にナマの動きが乏しかったためか、各紙とも政界解説風の記事が目立ちました。
 28日夕刊では、毎日新聞が「大阪ダブル選 これはどうする」の4回目に咲洲庁舎を取り上げました。毎日記事によると、この庁舎は大阪湾沿いにある55階建ての超高層建築で、もとは大阪市第三セクター方式で建て、1995年に開業しました。当初からオフィス入居が低迷し、2004年に経営破たん。市が公金を投入しましたが、09年3月に再度破たんしました。そのビルを橋下氏は同年10月に買い取り、府庁舎を全面移転する方針を決定しましたが、東日本大震災では想定以上に揺れたことなどから、最終的に府庁舎の全面移転は断念されました。毎日の記事は、そうした経緯を紹介し「安物買いの銭失いに」との見出しを立てています。
 29日付朝刊では読売新聞が1面で、自民党参院議員で弁護士の丸山和也氏が大阪府知事選に出馬する意向を党関係者に伝えた、と報じました。読売の記事によると、10月11日に自民党府連会長から出馬を打診され、回答を留保していたが、28日になって出馬意向を伝えたとのことです。他紙も29日付夕刊で一斉に報道。自民党府議団は倉田・池田市長の支援を決めており、「自民分裂模様」(毎日)「自民亀裂、民主『連携に水』」(読売)などの見出しが並びました。この“丸山氏問題”は30日になっても調整がつきませんでしたが、週明けの31日付朝刊で産経新聞が1面トップで「自民、丸山氏擁立を断念」と報じ、夕刊でも毎日、日経が、自民党府連が擁立を見送る方向と報じ、収束しつつあるようです。
 このほかの週末の記事では、毎日新聞が29日夕刊に「大阪ダブル選 これはどうする」の5回目に関西空港伊丹空港の統合問題を取り上げ、連載を終えました。また、朝日新聞が31日付朝刊の政治面(4面)に、「揺らぐ2大政党 大阪ダブル選」のカット付きで、民主、自民の2大政党が橋下氏を前にすくんでいる、との全8段の記事を掲載。社会面にも「すったもんだ擁立劇」の見出しとともに両党のリポートを載せました。政治面では、政権交代から2年余りたった2大政党のあり方について随時、報告するとしています。

 さて、ダブル選挙を仕掛けた橋下氏は31日で大阪府知事を辞職。前知事の肩書となります。31日の退任記者会見のやり取りを産経新聞が産経ニュースwestで詳細に紹介しています。

 ※【橋下知事退任会見】(1)「年齢不相応な職でした」 会見は(8)まで
 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/111031/waf11103114330016-n1.htm

 月が改まり、いよいよ11月。各紙の紙面も選挙本番ムードを増してくるのではないでしょうか。